税抜経理と税込経理の違い|フリーランスエンジニアが「課税事業者」になったときの帳簿
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- 税込経理方式と税抜経理方式で、収入や必要経費に書く金額が変わることと、減価償却費の計算も方式に合わせること
- 免税事業者のときに必要経費へ書く金額の考え方と、税込経理方式で納めた消費税や還付された税額の扱い方
- 課税事業者か免税事業者か、税込経理か税抜経理かを確かめることと、帳簿を付け始める前に見る3つの点
インボイスの登録をして課税事業者になった年、帳簿を付けていて手が止まりました。受け取った請求書には消費税の額が取引の金額と別に書いてありましたが、帳簿には消費税を含めた金額を書くのか、抜いた金額を書くのか分かりませんでした。帳簿に書く金額は、消費税等を含めて経理するか、区分して経理するかで変わります。まず、2つの経理の仕方がそれぞれ何を指しているかを確かめます。
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1. 税込経理方式で書く金額
消費税等の経理処理には、2つの方式があります。消費税等の額を区分しないで経理する方式と、区分して経理する方式です。ここでは、区分しない税込経理方式から見ていきます。
請求書に書かれた消費税の額を、取引の代金と区分しないで、そのまま帳簿に書く経理の仕方が税込経理方式です。この方式なら、消費税等相当額を含めた金額が収入金額または必要経費になります1。
案件の報酬を事業所得として申告しているときも、税込経理方式なら、収入金額には消費税等相当額を含めた金額を書きます1。
この区分をするかしないかで、同じ請求書からでも帳簿に書く金額が変わります。次の表で、2つの方式を並べます。
| 方式 | 消費税等の額の扱い | 収入金額・必要経費に書く金額 |
|---|---|---|
| 税込経理方式 | 取引の代金と区分しません | 消費税等相当額を含めた金額1 |
| 税抜経理方式 | 取引の代金と区分します | 原則として消費税等相当額を除いた金額1 |
表の右側の列が、実際に帳簿へ書く金額です。税込経理方式の欄には、消費税等を含めた金額が並びます。
次に、区分して経理する税抜経理方式を見ます。
2. 税抜経理方式で書く金額
逆に、消費税等の額を取引の代金と区分して経理する方式もあります。税抜経理方式です。
税抜経理方式によっている場合は、原則として消費税等相当額を除いた金額が収入金額または必要経費になります1。区分するかどうかで、帳簿に書く金額の基準が分かれます。
請求書には、取引の代金と消費税の額がどちらも書いてあります。税抜経理方式では、このうち消費税等の額を除いた金額を、収入金額や必要経費として書きます1。
同じ請求書からでも、方式によって帳簿に書く金額は違います。次の図で、2つの金額を並べます。
図の作成:Remogu編集部。同じ請求書について、税込経理方式と税抜経理方式でそれぞれ帳簿に書く金額の違いを整理したもので、統計データではありません
図の右側が、税抜経理方式で帳簿に書く金額です。消費税等相当額を除いた金額を使います。
次に、この区分が減価償却費の計算にどう関わるかを見ます。
3. 減価償却費の計算と経理方式
減価償却費を計算するときも、この区分がそのまま関わってきます。収入や必要経費の金額を確かめたときと、見る場所は同じです。
まず、金額の基準を確かめます。税込経理方式によっているなら消費税等相当額を含めた金額で、税抜経理方式によっているなら原則として消費税等相当額を除いた金額で、減価償却費を計算します1。
収入金額や必要経費のときと、考え方は変わりません。取引の代金と消費税等の額を区分しないで経理しているなら含めた金額のまま、区分して経理しているなら除いた金額で計算します。
収入や必要経費の区分が、そのまま引き継がれます。減価償却費の計算だけ、違う基準に切り替わるわけではありません。
機器や設備など、業務で使う資産を取得した金額がある年は、この考え方をそのまま当てはめます。含める金額と除く金額のどちらで記録するかは、収入や必要経費のときに確かめた方式のとおりです。
経理の負担も含めて、自分に合う案件の条件を確かめる →
4. 免税事業者の必要経費
課税事業者の場合は、方式によって書く金額が分かれました。では、免税事業者のときはどうなるのでしょうか。
消費税の免税事業者は、消費税等相当額を含めた金額を必要経費にします1。
課税事業者は、税込経理方式か税抜経理方式かで、必要経費に書く金額が分かれます。免税事業者には、この分かれ目がありません。
減価償却費を計算するときも、免税事業者は消費税等相当額を含めた金額で計算します1。
課税事業者と免税事業者で、必要経費に書く金額がどう分かれるかを、次の図で並べます。
図の作成:Remogu編集部。課税事業者と免税事業者で、必要経費に書く金額の基準がどう分かれるかを整理したもので、統計データではありません
図の右側が免税事業者の基準で、消費税等相当額を含めた金額が必要経費です。
次に、税込経理方式によっているときの、納めた消費税の扱いです。
5. 税込経理方式で納めた消費税と租税公課
税込経理方式なら、申告して納める消費税等の額は、必要経費(租税公課)に入ります。ここで確かめるのは、どの年の必要経費にするかです。
原則は、消費税等の申告書を提出した日の属する年に、必要経費(租税公課)とすることです1。
ただし、未払金に計上して、本年分の必要経費(租税公課)にしても差し支えありません1。
納付税額を必要経費にする年には、原則と、未払金に計上したときの、2つの扱いが示されています。次の表で並べます。
| 計上のしかた | 必要経費にする年 |
|---|---|
| 原則 | 申告書を提出した日の属する年です1 |
| 未払金に計上 | 本年分にしても差し支えありません1 |
表の上の行が原則で、下の行が、未払金に計上したときの扱いです。
納付税額が必要経費になる年を、次の図で確かめます。
図の作成:Remogu編集部。税込経理方式の納付税額を必要経費にする年について、原則と、未払金に計上したときの扱いを整理したもので、統計データではありません
では、納めるのではなく戻ってくる側になるときは、どう扱うのでしょうか。
6. 還付税額と雑収入
税込経理方式では、納めた税額だけでなく、還付税額が生じることもあります。
生じた還付税額は、収入金額の中の雑収入という項目に入ります。ここでも、どの年の収入金額にするかを確かめます。
原則は、消費税等の申告書を提出した日の属する年の収入金額(雑収入)にすることです1。
ただし、未収入金に計上して、本年分の収入金額(雑収入)にしても差し支えありません1。
税込経理・税抜経理の帳簿を踏まえて、自分に合う案件の条件を確かめる →
7. 帳簿を付ける前の3つの確認
帳簿を付け始める前に、確かめる点が3つあります。1つ目は、課税事業者か免税事業者かという点です。免税事業者は、消費税等相当額を含めた金額を必要経費にします1。
課税事業者と免税事業者とでは、必要経費に書く金額の基準が違います。ここが最初の分かれ目です。課税事業者であれば、次に税込経理方式か税抜経理方式かを確かめます。
2つ目に確かめるのは、税込経理方式によっているか、税抜経理方式によっているかです。税込経理方式なら、消費税等相当額を含めた金額を収入金額または必要経費にします1。税抜経理方式なら、原則として除いた金額です1。
3つ目に確かめるのは、税抜経理方式のときの年末の差額です。年末現在の仮受消費税等の金額と仮払消費税等の金額との差額と、消費税等の納付税額または還付税額とに、差額が生じることがあります1。
こうした差額など、分からない点があるときは、最寄りの税務署に尋ねます1。
3つの確認を、次の表で並べます。
| 確かめる点 | 内容 |
|---|---|
| 課税事業者と免税事業者の別 | 免税事業者は、消費税等相当額を含めた金額が必要経費です1 |
| 税込経理方式と税抜経理方式の別 | 税込経理方式は消費税等相当額を含めた金額1、税抜経理方式は原則として除いた金額です1 |
| 税抜経理方式での年末の差額 | 差額が出たときは、最寄りの税務署に尋ねます1 |
表の3つを、確かめる順番として次の図に示します。
図の作成:Remogu編集部。帳簿を付け始める前に確かめる順番を整理したもので、統計データではありません
税込経理方式なら、消費税等相当額を含めた金額が収入金額または必要経費です1。税抜経理方式なら、原則として除いた金額です1。減価償却費の計算も、同じ基準に合わせます1。税込経理方式の納付税額は、申告書を提出した日の属する年の必要経費(租税公課)にするのが原則です1。
帳簿に書く金額は、消費税等を含めて経理するか、区分して経理するかで変わります。帳簿を付け始める前に、どちらの方式で経理するかを確かめます。
8. よくある質問
税抜経理方式にすると、減価償却費の計算も変わりますか
変わります。税抜経理方式によっているときは、原則として消費税等相当額を除いて減価償却費を計算します1。
還付税額を未収入金に計上してもよいですか
未収入金に計上して、本年分の収入金額(雑収入)にしても差し支えありません1。原則は、申告書を提出した日の属する年の収入金額にすることです。
仮受消費税等と仮払消費税等の差額が合わないときは、どうしますか
納付税額または還付税額との間に差額が生じたときなど、分からない点は、最寄りの税務署に尋ねます1。
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