【NISAとiDeCoの違い】フリーランスエンジニアが確定申告で控除になる掛金と引き出せる時期
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- NISAは運用益が非課税で投資した額は控除にならないことと、iDeCoの掛金は全額が控除になる違い
- NISAは売却すると翌年に簿価分の枠が復活することと、iDeCoは原則60歳に到達してから受給する流れ
- 収入が波打つ働き方で、控除と引き出しの2つを並べて、NISAとiDeCoに回す順番を決める考え方
確定申告の書類を広げたまま、積み立てているNISAの分は控除に入るのだろうかと手が止まっていませんか。フリーランスエンジニアのNISAは、iDeCoと並べて考えようとすると、違いが整理できないまま決めきれなくなります。控除になるか、いつ引き出せるかの2つで並べると、順番が決まります。では、その2つで並べると、2つの制度の何が見えてくるのでしょうか。
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1. フリーランスエンジニアがNISAを確かめる理由
少額投資非課税制度の位置づけ
金融庁のNISA特設サイトは、NISAを少額からの投資を行う方のために2014年1月にスタートした少額投資非課税制度と案内しています1。確定申告を自分で行うフリーランスエンジニアにとって、NISAの利益が申告でどう扱われるかは、先に確かめておきたい点です。
利益にかかる税金との関係
通常、株式や投資信託を売却して得た利益や受け取った配当には、約20%の税金がかかります。NISA口座で投資した金融商品から得られる利益は、非課税になります1。
ただし、非課税になるのは運用で出た利益であって、投資した額そのものではありません。所得から差し引ける項目とは別の話ですので、まずはNISAにどんな枠があるのかを確かめます。
2. NISAの枠と期間
年間の投資上限額と非課税保有限度額
国税庁のタックスアンサーによると、令和6年以降のNISAの年間投資上限額は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円です2。
これとは別に、非課税保有限度額が1,800万円と定められています。このうち成長投資枠だけで使える上限は1,200万円です2。年間の上限と生涯を通じた限度額の2つがあるため、毎年の投資額と累計の両方を見る必要があります。
非課税保有期間と口座の数
2024年からの非課税保有期間は、無期限になりました1。保有を続ける期限を気にせずに済む制度です。
NISA口座は、1人につき1口座だけ開設できます。金融機関の変更は、年単位で可能です1。
枠と期間の一覧
年間の投資上限額は、つみたて投資枠と成長投資枠で金額が異なります。非課税保有限度額は1,800万円で、成長投資枠だけで使える上限はその内数の1,200万円です。非課税保有期間は無期限で、口座は1人につき1口座となります。次の表で、枠と期間を一度に見渡せます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| つみたて投資枠の年間投資上限額 | 120万円2 |
| 成長投資枠の年間投資上限額 | 240万円2 |
| 非課税保有限度額 | 1,800万円2 |
| 成長投資枠のみの上限(限度額の内数) | 1,200万円2 |
| 非課税保有期間 | 無期限1 |
| 口座の数 | 1人につき1口座1 |
3. 確定申告で控除になるもの・ならないもの
NISAは運用益だけが非課税
NISAで非課税になるのは、NISA口座で投資した金融商品から得られる利益です1。積み立てた額が、確定申告で所得から差し引かれるわけではありません。
損失の扱い
非課税口座で取得した上場株式等を売却して生じた損失は、ないものとみなされます。特定口座や一般口座の配当等や譲渡益との損益通算も、繰越控除もできません2。
利益が非課税になる一方で、損失も確定申告で他の口座の利益と通算できない、という対の関係にあります。
iDeCoの掛金は全額が控除の対象
国税庁のタックスアンサーでは、個人型年金加入者掛金は小規模企業共済等掛金控除の対象で、控除できる金額はその年に支払った掛金の全額です3。iDeCoの運用益も、運用中は非課税です4。
運用益の非課税は2つの制度に共通しており、掛金の控除があるのはiDeCoだけです。
図の作成:Remogu編集部。国税庁・金融庁・厚生労働省の資料を整理したもので、統計データではありません
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4. 引き出せる時期の違い
NISAは売却でき、翌年に枠が復活
NISA口座で保有する商品を売却すると、翌年に非課税保有限度額の枠が復活します。復活する金額は、売却した商品の簿価です1。途中で売却して資金を引き出せる点が、NISAの性質です。
iDeCoは原則60歳に到達してから
一方、iDeCoの老齢給付金は、原則60歳に到達した場合に受給できます4。受け取れる時期が決まっているため、手元に置いておきたい資金とは役割が分かれます。
この違いは、資金をいつ使う予定かによって、どちらを先に考えるかが変わる点にあります。
図の作成:Remogu編集部。金融庁・厚生労働省の資料を整理したもので、統計データではありません
では、iDeCoの枠には、どんな決まりがあるのでしょうか。
5. iDeCoの枠と、国民年金基金・付加保険料との関係
拠出限度額は月68,000円が上限
厚生労働省のiDeCoのページによると、国民年金第1号被保険者(自営業者等)の拠出限度額は月68,000円です。国民年金基金の掛金や国民年金の付加保険料を納めている場合は、それらの額を引いた額が限度になります4。
そのため、iDeCoの枠は単独では決まりません。国民年金基金か付加保険料を納めているかどうかで、iDeCoに回せる月額が変わります。NISAの枠が年間の投資上限額と非課税保有限度額で示されていたのに対し、iDeCoは月額で、ほかの納付額を引いた残りが枠です。
運用益の扱いと、2つの制度の違い
iDeCoの運用益は、運用中は非課税です4。NISAの利益が非課税になる点1とは、同じ扱いです。違いが出るのは、掛金の控除、引き出しの時期、損失の扱い、枠の決まり方の4点です。損失の扱いは、NISAについてだけ資料で確かめられるため、表にはNISAの側だけを載せています。
| 項目 | NISA | iDeCo |
|---|---|---|
| 掛金・投資額の控除 | 控除にならない1 | その年に支払った掛金の全額が控除の対象3 |
| 運用益 | 非課税1 | 運用中は非課税4 |
| 引き出し | 売却でき、翌年に簿価分の枠が復活1 | 原則60歳に到達してから受給4 |
| 損失 | ないものとみなされ、損益通算も繰越控除もできない2 | 資料の確認対象外 |
| 枠 | 年間の投資上限額と非課税保有限度額2 | 月68,000円から国民年金基金の掛金・付加保険料を引いた額4 |
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6. 収入が波打つ働き方での考え方
案件の切れ目に備える資金は引き出せる側
案件ごとに契約が区切られる働き方では、手元に置いておきたい資金と、先の生活のために回す資金とが分かれます。ここからは、資料で確かめた事実を、その分け方に当てはめる考え方として示します。
手元に置いておきたい資金は、NISAの側で考える余地があります。NISAは売却でき、翌年に簿価分の枠が復活するためです1。途中で資金を引き出せる性質が、その理由になります。
先の生活に回す資金は控除のある側
一方、先の生活に回す資金は、iDeCoの側で考える余地があります。掛金はその年に支払った全額が控除の対象で3、受給は原則60歳に到達してからです4。引き出す時期が決まっている代わりに、掛金そのものが控除に入ります。
分け方は、どちらが優れているかの話ではなく、資金をいつ使う予定かで決まります。使う時期が読めない資金は引き出せる側、使う時期が先に決まっている資金は控除のある側に置く、という整理です。
| 観点 | 引き出せる側(NISA) | 控除のある側(iDeCo) |
|---|---|---|
| 引き出し | 売却でき、翌年に簿価分の枠が復活1 | 原則60歳に到達してから受給4 |
| 確定申告の控除 | 投資した額は控除にならない1 | 支払った掛金の全額が控除の対象3 |
| 置く資金の性格 | 手元に置いておきたい資金 | 先の生活に回す資金 |
図の作成:Remogu編集部。国税庁・金融庁・厚生労働省の資料を整理した考え方の図で、統計データではありません
では、この2つの側を、どの順番で並べればよいのでしょうか。
7. NISAとiDeCoを並べる順番
4つの確認を順に行う
並べる順番は、次の4つの確認で決まります。
- 手元に残す資金を決める
- 控除の有無を見る
- 引き出せる時期を見る
- 枠を確かめる
まず、案件の切れ目などで使う予定のある資金を先に分けます。この資金は、売却して引き出せるNISAの側で考えます1。
次に、控除の有無を見ます。NISAは運用益が非課税で、投資した額は控除になりません1。iDeCoは、その年に支払った掛金の全額が控除の対象です3。
3つ目は、引き出せる時期です。iDeCoの老齢給付金は、原則60歳に到達した場合に受給できます4。この時期まで手を付けない資金が、iDeCoに向きます。
最後に、枠を確かめます。NISAには年間の投資上限額2と、非課税保有限度額2があります。iDeCoは月68,000円から、国民年金基金の掛金と付加保険料を引いた額が上限です4。
図の作成:Remogu編集部。国税庁・金融庁・厚生労働省の資料を整理したもので、統計データではありません
冒頭の手が止まった場面に戻る
確定申告の書類を前に、NISAの分は控除に入るのかと手が止まったときの答えは、入りません。NISAで非課税になるのは運用益です1。控除に入るのは、掛金が全額対象のiDeCoです3。
あとは、資金をいつ使う予定かと、枠の空きを確かめるだけです。その土台になる収入は案件から生まれます。Remoguに登録して、自分の経験に合う条件を確かめてみてください。
控除になるか、いつ引き出せるかの2つで並べると、順番が決まります。
8. よくある質問
NISAで積み立てた額は確定申告で控除になりますか
なりません。NISAで非課税になるのは、NISA口座で投資した金融商品から得られる利益です1。掛金が控除の対象になるのはiDeCoで、その年に支払った掛金の全額が対象です3。
NISAで出た損失は、ほかの口座の利益と通算できますか
通算できません。国税庁のタックスアンサーでは、非課税口座で取得した上場株式等を売却して生じた損失はないものとみなされ、特定口座や一般口座の配当等や譲渡益との損益通算も繰越控除もできないと示されています2。
iDeCoと国民年金基金は両方に入れますか
厚生労働省のページが示しているのは、枠の計算です。国民年金基金の掛金や付加保険料を納めている場合、iDeCoの拠出限度額は、月68,000円からそれらの額を引いた額になります4。
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出典・参考情報
*1 金融庁「NISAを知る」(2024年・2026年10月確認)
*2 国税庁「NISA制度」(2026年・2026年10月確認)
*3 国税庁「小規模企業共済等掛金控除」(2026年・2026年10月確認)
*4 厚生労働省「iDeCoの概要」(2026年・2026年10月確認)
*5 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能