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    【ITストラテジスト】フリーランスが論述で問われる実績の言語化と2026年度試験の違い

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    「ITストラテジストの実績の言語化」を示す図です。経験/課題/施策/評価を並べています。強調しているのは評価です。事業の言葉でと添えています。

    📘 この記事でわかること

    • ITストラテジスト試験が想定する役割と、2026年度に出題される科目B-1の記述式・科目B-2の論述式の形
    • 試験ページの対象者像と業務を、上流の案件の面談で使える言葉に置き換えた対応表と、事業の言葉の選び方
    • 論述式の考え方を借りて、自分の実績を経験・課題・施策・評価の順に事業の言葉で説明する並べ方

    IT戦略の立案を支える案件の面談で、「これまでの経験を、事業の成果とつなげて説明してください」と求められました。担当した基盤の刷新も、移行の工程管理も、話せるのは技術の話ばかりで、答えに詰まってしまいました。技術に問題があったのではなく、実績を並べる言葉が技術のままだったのです。上流の実績は、技術ではなく事業の言葉で書き直します。そのための手がかりが、ITストラテジスト試験のページに並ぶ言葉の中にあります。

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    1. ITストラテジスト試験を実績の言葉づくりに使う理由

    面談で問われる事業との結びつき

    冒頭の面談で聞かれたのは、使った技術の名前ではなく、その仕事が事業のどこを変えたのかでした。そうした問いに答えるには、実績の書き方そのものを見直す必要があります。

    ただし、事業の言葉を一から自分で作るのは手間がかかります。そこで、ITストラテジスト試験の対象者像を、言葉の見本として借ります。情報処理推進機構(IPA)の試験ページは、対象者像を、高度IT人材として確立した専門分野をもち、企業の経営戦略に基づいて、ビジネスモデルや企業活動における特定のプロセスについて、ITを活用して事業を改革・高度化・最適化するための基本戦略を策定・提案・推進する者と示しています1。

    資格ではなく言葉の見本として読む

    この記事は、試験の受け方や対策を扱いません。見るのは、試験ページに並ぶ言葉と、論述式という形式です。

    たとえば「基本戦略を策定・提案・推進する」は、自分の実績を説明するときの順番の見本になります。何を対象に、何を提案し、どこまで進めたかをこの順に話せば、技術の話が事業の話に変わります。

    一方で、試験ページの言葉は試験が想定する人物像であり、フリーランスの案件の条件ではありません。そのため、案件の条件のようには読まず、言い換えの手がかりとして使います。

    案件を探す場面では、Remogu(株式会社LASSIC運営)は、リモートワーク案件特化のエンジニアマッチングで、案件の90%以上がフルリモート可能です2。場所を問わず案件を探しながら、実績の書き直しを進められます。

    次は、この試験がどのような位置づけにあるのかを見ます。

    2. ITストラテジスト試験の位置づけ

    目指す方として挙げられている役割

    IPAの試験ページは、ITストラテジスト試験を、CIOやCTO、ITコンサルタントを目指す方に最適としています1。

    ここで描かれる役割は、経営戦略に基づくIT戦略の策定です。あわせて、ITを高度に活用した事業革新、業務改革、競争優位を獲得する製品・サービスの創出を企画・推進し、ビジネスを成功に導くことが挙げられています。

    この3つは試験が想定する立場の名前であり、案件の名称ではありません。そこで、肩書きよりも「何を企画・推進するのか」に注目して読みます。

    図1:試験ページが想定する役割の並び
    試験ページが想定する役割の並び 経営戦略に基づくIT戦略の策定 事業革新・業務改革・製品サービスの創出 CIO CTO ITコンサルタント ビジネスを成功に導く

    出典:情報処理推進機構「ITストラテジスト試験」(2026年)をもとに作成

    2026年度の実施方式

    試験ページは、2026年度はCBT方式により前期に実施するとしています1。日程や申込期間はこの記事では扱いません。最新の情報は公式のページで確かめてください。

    次に、試験ページが挙げる対象者像と業務を、面談で使う言葉と並べていきます。

    3. 対象者像と業務と役割の言葉

    対象者像を4つの部品に分けて読む

    対象者像1は一文で書かれていますが、分けると実績の説明に使える部品が見えてきます。確立した専門分野、経営戦略との結びつき、対象にする特定のプロセス、基本戦略の策定・提案・推進の4つです。

    技術者の実績は、このうち最後の「何をしたか」だけで語られがちです。専門分野、事業との結びつき、対象のプロセスを先に置くと、同じ仕事でも聞き手に届く範囲が変わります。

    資料の言葉と案件での言い換え

    表1は、試験ページの言葉を、面談で使う言い方に置き換えた対応表です。左の列が試験ページの言葉で、右の列が記事での言い換えです。言い換えは資料にある表現ではなく、この記事の整理であり、案件の条件を示すものではありません。自分の実績を話す前に、各行に当てはまる事実を1つずつ書き出すと、説明の穴が見つかります。

    項目資料の言葉案件での言い換え(記事の整理)
    立ち位置確立した専門分野をもつ自分の専門分野を先に名乗る
    戦略の土台企業の経営戦略に基づく事業の方針と、その中での位置づけを示す
    対象ビジネスモデルや企業活動における特定のプロセスどの業務、どの事業のプロセスを対象にしたかを示す
    行動基本戦略を策定・提案・推進するITで何を変える提案をし、どこまで進めたかを示す
    評価実施結果を評価する変えた結果をどう確かめたかを示す

    業務と役割に置かれた評価の視点

    試験ページは、業務と役割として、ITを活用した事業革新、業務改革、革新的製品・サービス開発を企画・推進又は支援する業務に従事することを挙げています1。あわせて、業種ごとの事業特性を踏まえて、経営戦略の実現に向けたITを活用した事業戦略を策定し、実施結果を評価することなども挙げています。

    目を引くのは、策定の次に「実施結果を評価する」が置かれている点です。実績の説明も、作ったところで終えず、結果をどう確かめたかまで話します。

    もう1つは「業種ごとの事業特性を踏まえて」の部分です。同じ基盤刷新でも、小売と製造とでは事業への効き方が違います。どの業種のどの事情を踏まえた仕事だったのかを、言葉にして添えます。

    では、試験そのものはどのような形で出題されるのでしょうか。

    4. 2026年度の試験の形

    実施方式と取り上げる科目

    2026年度の試験は、CBT方式により前期に実施されます1。この記事で取り上げる科目は、科目B-1と科目B-2の2つです。実績の説明に近い形式をもつのが、この2つだからです。

    科目ごとの形式と時間

    表2は、2科目の形式、試験時間、出題数と解答数を並べたものです。科目B-1は記述式で、科目B-2は論述式です。試験時間は科目B-1が90分、科目B-2が120分と、後者のほうが長く取られています。どちらも出題されたすべての問いに答えるのではなく、決められた数だけを選んで解答する形です。

    科目形式試験時間出題数と解答数
    科目B-1記述式90分3問中2問を解答
    科目B-2論述式120分2問中1問を解答

    記述式と論述式の違い

    試験ページによると、科目B-1は試験時間90分の記述式で、3問中2問を解答します1。科目B-2は試験時間120分の論述式で、2問中1問を解答します1。

    実績の説明に近いのは論述式です。1問に120分をかけ、自分の考えと経験を文章で順に組み立てる形式だからです。口頭の面談でも、同じ順番で話を組み立てられれば、事業の言葉で実績を説明できます。

    では、論述式の形を、実績の説明にどう使うのでしょうか。

    5. 論述式の形を実績の説明に使う

    論述式から借りる組み立ての構え

    論述式の科目B-2は、試験時間120分で、2問中1問を解答する形式です1。選んだ1問に長い時間をかけ、考えを文章で順に組み立てます。面談で聞かれた「これまでの経験を、事業の成果とつなげて説明してください」は、この形式とよく似た依頼です。

    ただし、この記事は論述の書き方や答案の型を示すものではありません。借りるのは、考えを順番に組み立てて相手へ渡す構えだけです。採点の基準は試験ページに書かれていないため、そこには触れません。

    面談は口頭なので、120分もの時間はありません。だからこそ、話す順番を先に決めておきます。順番が決まっていれば、質問の角度が変わっても、同じ順に話を戻せます。

    経験・課題・施策・評価の4段

    記事の整理として、実績を経験、課題、施策、評価の4段に並べます。経験は関わった事業と自分の立場、課題は事業側が抱えていた困りごと、施策はITで変えた内容、評価は変えた結果をどう確かめたかです。最後の評価は、業務と役割に実施結果の評価が挙げられている点1とも重なります。

    図2:論述式の考え方を借りた実績の並べ方
    論述式の考え方を借りた実績の並べ方 評価まで話して一つの実績 経験 関わった事業 課題 事業側の困りごと 施策 ITで変えた内容 評価 確かめた結果

    図の作成:Remogu編集部。実績の並べ方を整理したもので、統計データではありません

    課題の段では、使った技術の名前を口にしません。事業側から見た困りごとを一文で言います。評価の段では、数字が手元にあれば数字を、なければ確かめた方法を言います。

    紙1枚で4段を埋める手順

    手順は紙1枚でできます。縦に4段を書き、担当した案件を1つ選んで、各段を短い文で埋めます。まず経験の段に、依頼元の事業と自分の立場を書き、次に課題、施策、評価の順に進めます。

    埋まらない段が見つかったら、それが説明の穴です。当時の資料や依頼元とのやり取りの記録を見返し、その段に必要な事実を探します。思い出せない部分は推測で埋めず、分かる範囲で話すと決めておきます。

    4段が並んだら、次は上流の案件で使われる言葉へ整えます。

    6. 上流の案件で説明する言葉

    面談の場面ごとに添える事実

    面談の問いは、場面ごとに求める言葉が変わります。表3は、試験ページの対象者像1と業務の記述1を手がかりに、面談の場面と添える事実を対応させた記事の整理です。資料にある言葉は中央の列だけで、左右の列は案件の条件ではなく、この記事の考え方を示しています。

    面談の場面(記事の整理)資料の言葉実績に添える事実(記事の整理)
    自己紹介のとき確立した専門分野をもつ専門分野と、担当した業務の範囲を最初に名乗る
    事業との関係を聞かれたとき企業の経営戦略に基づく/業種ごとの事業特性を踏まえる事業の方針と、業種の事情を一文ずつ添える
    何をしたかを聞かれたとき基本戦略を策定・提案・推進するITで何を変える提案をし、どこまで自分で進めたかを分ける
    結果を聞かれたとき実施結果を評価する変えた結果を確かめた方法と、その結果を示す

    技術の言葉から事業の言葉への置き換え

    同じ仕事でも、技術の言葉だけで話すと、聞き手は事業のどこが変わったのかを自分で補わなければなりません。図3は、冒頭の面談で出た基盤の刷新と移行の工程管理を例に、言い換える先を並べています。

    図3:同じ仕事を2通りに話し分ける
    同じ仕事を2通りに話し分ける 技術の言葉 事業の言葉 基盤の刷新 対象にした業務のプロセス 移行の工程管理 事業への影響の範囲 運用の見直し 変えた結果の確かめ方

    図の作成:Remogu編集部。言い換えの方向を整理したもので、統計データではありません

    たとえば「基盤の刷新を担当しました」だけでは、何を対象にした仕事なのかが見えません。「どの業務のプロセスを対象に、基盤を刷新したのか」まで言えば、事業の言葉になります。これは対象者像にある「特定のプロセス」1に対応します。

    移行の工程管理も同じです。工程をどう守ったかに加えて、移行が事業にどこまで影響するかを、自分がどこまで見ていたかを添えます。見ていた範囲が広いほど、上流の仕事に近い説明になります。

    一方で、事業の言葉だけでは技術の裏づけが伝わりません。そこで、技術の言葉は捨てずに、事業の言葉を先に、技術の言葉を根拠として後ろへ置きます。順番を入れ替えるだけで、同じ実績の受け取られ方が変わります。

    次は、この置き換えを実績1件ずつに当てはめる順番を決めます。

    7. 実績を言葉にする順番

    4つの問いを順に置く

    順番は4つです。関わった事業、ITで変えたこと、評価したこと、次に提案することの順に、1件の実績へ問いを当てます。図4は、面談の前に1件ずつ確かめるための並びです。

    図4:面談の前に1件ずつ確かめる並び
    面談の前に1件ずつ確かめる並び 1 関わった事業 対象にした業務のプロセス 2 ITで変えたこと 変える前と後の違い 3 評価したこと 確かめた方法と結果 4 次に提案すること 次に変える内容

    図の作成:Remogu編集部。実績の確認の順番を整理したもので、統計データではありません

    1件ずつ書き出す手順

    手順1は、担当した案件を1つ選び、関わった事業の欄に、依頼元の事業が何を目的にしていたかを書くことです。技術名は書かず、事業の名前と、対象にしたプロセスだけを置きます。

    手順2は、ITで変えたことの欄です。ここは技術の言葉でかまいません。ただし、変える前と変えた後を並べて書き、何が違ったのかが読み取れるようにします。

    手順3は、評価したことの欄です。業務と役割には、実施結果を評価することが挙げられています1。結果の確かめ方も、上流の仕事の一部として扱います。数値が手元にあれば数値を、なければ確かめた方法と、誰が確かめたかを書きます。

    手順4は、次に提案することの欄です。対象者像に挙げられた基本戦略の策定・提案・推進1のうち、提案に当たる部分です。評価を踏まえて、次に何を変えるかを一文で書きます。

    面談で問われた順に取り出す

    書き出した4つは、そのまま読み上げません。事業との関係を聞かれたら1つ目、何をしたかを聞かれたら2つ目、結果を聞かれたら3つ目、今後を聞かれたら4つ目を取り出します。

    案件を複数担当してきたなら、同じ手順をもう1件ずつ繰り返します。そのうえで、面談の依頼元の事業に近い順に、話す実績を選びます。

    冒頭の面談への答え

    冒頭の面談に戻ります。事業の成果とつなげて説明してほしいと言われたとき、基盤の刷新を、対象にした業務のプロセスと、変えた結果の確かめ方とともに話せれば、技術の話だけで詰まらずに済みます。上流の実績は、技術ではなく事業の言葉で書き直します。

    書き直した実績を持って案件を探すときは、まずRemoguに登録して、自分の経験に合う条件を確かめてみてください。4つの欄に書いた内容が、条件を見比べるときの物差しになります。

    8. よくある質問

    フリーランスでも受験できますか

    この記事が参照した試験ページの範囲では、フリーランスの受験について確かめられる記述はありません。受験資格や申込の条件は、情報処理推進機構(IPA)の公式の受験案内で確かめてください。

    2026年度はいつ実施されますか

    試験ページでは、2026年度はCBT方式により前期に実施するとされています1。具体的な日程や申込期間はこの記事では扱いません。公式のページで最新の情報を確かめてください。

    論述式はどんな形式ですか

    科目B-2が論述式で、試験時間は120分、2問中1問を解答します1。科目B-1は記述式で、試験時間は90分、3問中2問を解答します1。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 情報処理推進機構「ITストラテジスト試験」(2026年・2026年10月確認)
    *2 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能