個人事業主の受取利息は売上に入れる?事業用口座の預金利息と利子所得・消費税の扱いを解説
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- 預金の利息は利子所得に区分され、その金額は源泉徴収される前の額になることと、事業の売上とは区分が別であること
- 利息は支払を受ける際に源泉徴収されて納税が終わる源泉分離課税で、確定申告をすることはできないことと、令和9年分以後の扱い
- 取引先への貸付金の利子が事業所得の雑収入になる違いと、預貯金や貸付金の利子が消費税の非課税取引に当たること
会計ソフトに事業用口座の明細を取り込むと、「利息 23円」の行が入っていました。売上に入れるのか、消してよいのか、入力の手が止まります。少額でも、帳簿のどこに置くかが決まらないと先へ進めません。この記事では、預金の利息は事業の売上とは別の所得として扱い、確定申告の外で納税が終わることを、国税庁の資料で確かめます。
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1. 個人事業主が受取利息の扱いを確かめる理由
同じ口座に並ぶ報酬と利息
事業用口座に入るのは、クライアントからの報酬だけではありません。預金に付いた利息も、同じ通帳の明細に並びます。ただし、その行が事業の売上なのかどうかは、明細の見た目からは分かりません。
国税庁の資料を見ると、預金の利息は利子所得に区分されます1。一方で、取引先などに事業上貸し付けた貸付金の利子のように、事業に伴って生ずる収入は、雑収入として事業所得の収入金額になります2。同じ「利子」という名前でも、行き先が分かれています。
この記事で使う資料と、確かめる先
使う資料は、国税庁のタックスアンサー2点と、青色申告決算書(一般用)の書き方です。利子所得の区分と源泉徴収、消費税の非課税取引、事業に伴う利子の収入の扱いを、それぞれの資料の言葉のまま引きます。
帳簿でどの勘定科目を使うかは、これらの資料に書かれていません。そこは、お使いの会計ソフトの案内か税理士に確かめる先として残します。では、預金の利息は、まずどの所得に入るのでしょうか。
2. 預金の利息は利子所得
利子所得に含まれる範囲
国税庁のタックスアンサーは、利子所得を、預貯金および公社債の利子などに係る所得と説明しています1。事業用口座に付いた預金の利息は、この預貯金の利子に当たります。
事業用の口座だからといって、利息が事業の売上に変わるわけではありません。資料が区分の基準にしているのは、口座の用途ではなく、利子という収入の種類です。
金額は源泉徴収される前の額
同じタックスアンサーは、利子等の収入金額(源泉徴収される前の金額)が、そのまま利子所得の金額になると書いています1。税が引かれたあとの額ではなく、引かれる前の額が基準です。
手元の通知にある金額が、源泉徴収の前か後かは、この資料からは分かりません。利息の通知の見方は、取引のある金融機関に確かめます。
預金の利息は利子所得に、事業の売上は事業所得に区分され、同じ口座に入っても区分は別になります。
図の作成:Remogu編集部。国税庁の資料の区分を整理したもので、統計データではありません
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3. 源泉分離課税で納税が終わる
支払の際に引かれて完結する課税
国税庁のタックスアンサーによると、利子所得は原則として、支払を受ける際に一律15.315パーセント(他に地方税5パーセント)が源泉徴収されます1。この源泉徴収によって納税が完結する課税の方式を、源泉分離課税といいます。
同じ資料は、源泉分離課税の対象となる利子所得について、確定申告をすることはできないとも書いています1。原則どおりの預金の利息であれば、事業の売上や利益の計算に混ぜて申告する場面はありません。
冒頭の「利息 23円」も、この区分の利息なら、売上の欄に加えて税額を計算する対象ではないことになります。帳簿での置き場所は、会計ソフトの案内や税理士に確かめます。
令和9年分以後の変更点
同じタックスアンサーは、令和8年度税制改正により、令和9年分以後は防衛特別所得税が創設されると書いています1。ただし、防衛特別所得税と復興特別所得税の合計税率に変更はないとも書かれています。
この記事では、利息の金額ごとの税額の試算はしません。実際に引かれた額は、金融機関から届く通知で確かめます。
資料の記載を項目ごとに並べる
下の表は、国税庁のタックスアンサーが利子所得について書いている内容を、この記事で使う順に並べています。区分、金額の基準、源泉徴収、課税の方式、確定申告、令和9年分以後の扱いの6項目です。帳簿の勘定科目は資料に書かれていないので、表には入れていません。
| 項目 | 資料の扱い |
|---|---|
| 区分 | 預貯金および公社債の利子などに係る所得を、利子所得とする1 |
| 金額の基準 | 源泉徴収される前の収入金額が、そのまま利子所得の金額になる1 |
| 源泉徴収 | 原則として、支払を受ける際に一律15.315パーセント(他に地方税5パーセント) |
| 課税の方式 | 源泉分離課税で、納税が完結する1 |
| 確定申告 | することはできない |
| 令和9年分以後 | 防衛特別所得税が創設されるが、合計税率に変更はない1 |
では、事業の収入になる利子とは、どこが違うのでしょうか。
4. 事業所得に入る利子との違い
預金利息と貸付金の利子
国税庁の青色申告決算書(一般用)の書き方によると、取引先などに事業上貸し付けた貸付金の利子など、事業に伴って生ずる収入は、雑収入として事業所得の収入金額になります2。預金の利息が利子所得に区分されるのと、行き先が違います1。
どちらも「利子」と呼ばれますが、資料が分けているのは、利子が生まれた取引です。預貯金に付いたものか、取引先に事業上貸し付けたお金に付いたものか。その違いで、区分が変わります。
図の作成:Remogu編集部。国税庁の資料の区分を整理したもので、統計データではありません
どちらに当たるかを見分ける手がかり
見分ける手がかりは、金額の大小ではなく、利子が付いた元の取引です。事業用口座の預金に付いた利息なのか、取引先に貸し付けたお金の利子なのかを、通帳や契約の記録から確かめます。
貸付金の利子を帳簿にどの科目で入れるかや、決算書のどの欄に書くかは、会計ソフトの案内か税理士に確かめる内容です。本稿が引いた資料は、事業に伴う利子が雑収入として事業所得の収入金額になる、というところまでを述べています2。
所得の区分の次に確かめたいのは、消費税の扱いです。
5. 消費税では非課税
課税しない取引の定め
国税庁のタックスアンサーによると、事業者が事業として対価を得て行う取引であっても、課税しない非課税取引が定められています4。対価を得る取引の中に、消費税の対象から外れるものが別に置かれています。
同じ資料は、預貯金や貸付金の利子が、この非課税取引に当たると書いています4。事業用口座に付いた預金の利息は、預貯金の利子です。
所得税の区分とは別に決まる扱い
所得税では、預金の利息は利子所得に区分されます1。消費税では、同じ預貯金の利子が非課税取引に当たります4。二つの税のそれぞれで扱いが決まるので、通帳の利息の行は、税ごとに資料で確かめます。
貸付金の利子も、消費税では非課税取引に当たります4。一方、所得税では、事業に伴う貸付金の利子は雑収入として事業所得の収入金額になります2。所得税の区分が違っても、消費税の非課税は共通しています。
預貯金の利子も貸付金の利子も、消費税では課税しない取引の側に並びます。
図の作成:Remogu編集部。国税庁の資料の記載を整理したもので、統計データではありません
では、預金の利息以外の利子は、所得税でどう扱われるのでしょうか。
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6. 非課税の利子と特定公社債の利子
預金の利息と扱いが分かれる利子
国税庁のタックスアンサーは、納税準備預金の利子などは非課税と書いています1。この資料は利子所得の説明なので、先ほどの消費税の非課税取引とは別の話です。
特定公社債等の利子等については、源泉徴収とともに申告分離課税の対象となり、確定申告しないことも選択できると書かれています1。預金の利息は、源泉分離課税の対象で確定申告をすることはできません1。課税の方式が違います。
利子の種類ごとの資料の扱い
次の表は、預貯金の利子、特定公社債等の利子等、納税準備預金の利子などを、タックスアンサーの記載のまま並べています。見るのは、課税の方式と、確定申告の扱いです。事業用口座に付く利息が当たるのは、いちばん上の預貯金の行です。残る2行は、利息の通知や契約書に別の名前の利子が出てきたときに、見比べるために置いています。
| 利子の種類 | 資料の扱い |
|---|---|
| 預貯金の利子 | 源泉分離課税で納税が完結し、確定申告をすることはできない1 |
| 特定公社債等の利子等 | 源泉徴収とともに申告分離課税の対象となり、確定申告しないことも選択できる1 |
| 納税準備預金の利子など | 非課税1 |
どの種類の利子かは、口座を開いている金融機関に確かめます。利子の種類が違えば、確定申告の扱いも変わります。
では、帳簿をつける前に、どの順番で確かめればよいのでしょうか。
7. 帳簿をつける前に確かめる順番
利子の種類から始める4つの点
確かめる順番は4つです。まず、利息がどの口座の、何の利子なのか。次に、預貯金の利子か、貸付金の利子か。三つ目は、源泉徴収が済んでいるか。最後に、帳簿での科目を会計ソフトの案内か税理士に確かめます。
この順番にしたのは、資料の区分が利子の元の取引で分かれているからです。預貯金の利子なら利子所得1、取引先に事業上貸し付けた貸付金の利子なら雑収入として事業所得の収入金額です2。消費税は、どちらの利子も非課税取引に当たります4。
順番ごとの資料の記載
下の表は、4つの確かめる点それぞれに、国税庁の資料が何を書いているかを対応させています。最後の行だけは、資料に勘定科目の記載がありません。そのため、この記事では科目を断定せず、会計ソフトの案内か税理士に確かめる先として残しました。表の上の3行は、本文で引いた資料の記載と同じ内容です。
| 順番 | 確かめる点 | 資料の記載 |
|---|---|---|
| 1 | 利息がどの口座の、何の利子か | 預貯金および公社債の利子などに係る所得を、利子所得とする1 |
| 2 | 預貯金の利子か、貸付金の利子か | 事業上貸し付けた貸付金の利子は、雑収入として事業所得の収入金額になる2 |
| 3 | 源泉徴収が済んでいるか | 原則として、支払を受ける際に15.315パーセント(他に地方税5パーセント)が源泉徴収される1 |
| 4 | 帳簿での科目 | 資料に記載はなく、会計ソフトの案内か税理士に確かめる |
4つの点のうち、科目は最後に決めます。
図の作成:Remogu編集部。国税庁の資料をもとに確かめる順番を整理したもので、統計データではありません
「利息 23円」の行に戻る
会計ソフトの明細に「利息 23円」が出て、手が止まったときは、4つの点を上から順に当てはめます。預貯金の利子であれば、利子所得の区分で、源泉分離課税により確定申告をすることはできません1。
売上に入れるか消すかで迷っていた行は、売上かどうかを決める前に、利子の種類を確かめる行になります。預金の利息は事業の売上とは別の所得として扱い、確定申告の外で納税が終わることを確かめます。残る帳簿の科目は、会計ソフトの案内か税理士に聞きます。
帳簿の置き場所が決まれば、次に考えるのは、これからどの案件に参画するかです。Remogu(株式会社LASSIC運営)に登録して、自分の経験に合う条件を確かめるところから始めてみてください。
8. よくある質問
事業用口座の利息は確定申告に書きますか
国税庁のタックスアンサーは、原則どおりの利子所得について、源泉分離課税の対象で、確定申告をすることはできないと書いています1。事業用口座の預金利息は、預貯金の利子です1。
ただし、取引先に事業上貸し付けた貸付金の利子は、雑収入として事業所得の収入金額になります2。どちらの利子かは、元の取引から確かめます。
受取利息に消費税はかかりますか
預貯金や貸付金の利子は、消費税の非課税取引に当たります4。事業者が事業として対価を得て行う取引でも、課税しない取引が定められています4。
令和9年から利息の税金は変わりますか
令和8年度税制改正により、令和9年分以後は防衛特別所得税が創設されます。ただし、防衛特別所得税と復興特別所得税の合計税率に変更はありません1。
実際に引かれた額は、金融機関から届く通知で確かめます。
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出典・参考情報
*1 国税庁「利子所得」(2026年4月・2026年10月確認)
*2 国税庁「青色申告決算書(一般用)の書き方」(2025年10月・2026年10月確認)
*3 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能
*4 国税庁「非課税となる取引」(2026年4月・2026年10月確認)