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    フリーランスの公益通報|2026年12月の改正法で保護の対象に、禁止される不利益な扱いと通報先を解説

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    白い封筒に折りたたんだ書類を入れている手元の写真です。通報や相談の書類を準備する場面を表しています。

    📘 この記事でわかること

    • 2026年12月1日に施行される改正法で、通報する人にフリーランスと、業務委託関係の終了から1年以内の人が加わること
    • 公益通報になる4つの要素と、通報先が3つに分かれ、通報先ごとに保護を受けるための要件が異なること
    • 通報を理由にした契約の解除や支払う額を下げる行為が禁止されることと、通報の前に確かめる順番

    参画先のシステムを読み込んでいて、利用者のデータの扱いが法令に反していそうな仕様に気づきましたが、指摘すれば契約を切られるのではと、手が止まります。公益通報者保護法の改正法は、令和8年12月1日に施行されます1。通報の前に、自分が保護の対象か、通報先と要件を確かめます。この記事は、その順に進めます。

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    1. フリーランスが公益通報の改正を確かめる理由

    消費者庁の公益通報ハンドブックによると、公益通報者保護法は令和7年6月に改正されました1。改正法の施行は令和8年12月1日で、2026年10月の現時点では、まだ施行前です。

    ただし、フリーランスにとっての変更点ははっきりしています。通報する人に、フリーランスとフリーランスであった者が含まれるようになる点です1。

    では、改正で通報する人はどう変わるのでしょうか。

    2. 2026年12月の改正で通報する人にフリーランスが加わる

    加わる2つの立場

    改正法では、通報する人(通報の主体)に「フリーランス」と「フリーランスであった者」が含まれます1。立場は2つあり、それぞれ定義が違います。

    ここでいうフリーランスは、事業者と業務委託関係にある特定受託事業者の特定受託業務従事者です。ハンドブックは、フリーランス法第2条の定義を指すと説明しています1。

    一方、フリーランスであった者は、業務委託関係が終了して1年以内のフリーランスです1。契約が終わっていても、終了から1年以内であれば、通報する人に含まれます。

    図1:改正の時期と、通報する人に加わる範囲
    改正の時期と通報する人に加わる範囲 令和7年6月 改正 令和8年12月1日 施行 フリーランス 特定受託業務従事者 フリーランスであった者 終了から1年以内

    図の作成:Remogu編集部。消費者庁「公益通報ハンドブック」(2026年6月)を整理したもので、統計データではありません

    取引先のフリーランスと施行日

    取引先のフリーランスなども、通報する人に含まれます1。どの関係の取引先まで当たるかは、この記事では扱いません。消費者庁の公益通報ハンドブックで確かめてください。

    施行日は2026年12月1日です1。施行前の今は、改正の中身を知っておく時期にあたります。

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    では、どんな通報が公益通報になるのでしょうか。

    3. 公益通報になる4つの要素

    公益通報の定義

    公益通報は、通報する人が、役務提供先の不正行為を、不正の目的でなく、一定の通報先に通報することです1。要素は、通報する人、役務提供先の不正行為、不正の目的でないこと、一定の通報先の4つに分けられます。

    通報する内容は、役務提供先における一定の法令違反行為です1。法令違反行為は「一定の」ものに限られるので、何でも通報すれば守られるわけではありません。どの法令違反行為が当たるかは、消費者庁の公益通報ハンドブックで確かめてください。

    4つの要素と中身

    下の表は、4つの要素を、ハンドブックの記載に沿って並べたものです。通報する人は前の節で見たとおり、フリーランスとフリーランスであった者を含みます。通報の対象は一定の法令違反行為、目的は不正の目的でないこと、通報先は一定の通報先です。

    要素中身
    通報する人フリーランスとフリーランスであった者が含まれます1
    通報の対象役務提供先における一定の法令違反行為です1
    通報の目的不正の目的でないことです1
    通報先一定の通報先です1

    不正の目的で通報した場合

    不正の利益を得る目的や他人に損害を加える目的などの不正の目的で通報した場合は、公益通報にはなりません1。目的も、公益通報になるかどうかを分ける要素のひとつです。

    4つの要素のうち、通報先は3つに分かれます。

    4. 3つの通報先と保護要件

    通報先の3区分

    ハンドブックによると、通報先は事業者内部、権限を有する行政機関、その他の事業者外部の3つで、通報先ごとに保護を受けるための要件(保護要件)が異なります1。

    図2:通報先の区分
    通報先の3区分 保護要件は先ごとに異なる 事業者内部 権限を有する 行政機関 その他の 事業者外部 報道機関や 消費者団体など

    図の作成:Remogu編集部。消費者庁「公益通報ハンドブック」(2026年6月)を整理したもので、統計データではありません

    その他の事業者外部の例

    その他の事業者外部の通報先の例には、報道機関や消費者団体などがあります。ライバル企業など、役務提供先の正当な利益を害するおそれがある者は除かれます1。

    保護要件の中身は通報先ごとに違うため、この記事では書きません。通報先を選ぶ前に、消費者庁の公益通報ハンドブックや消費者庁の案内で確かめてください。

    では、通報したことを理由に、事業者は何をしてはいけないのでしょうか。

    5. 禁止される不利益な取扱い

    例に挙げられた4つの行為

    改正法では、事業者は、フリーランスが公益通報をしたことを理由とする不利益な取扱いを禁止されます1。禁止の対象になるのは、通報したことを理由にした取扱いです。

    ハンドブックが例に挙げているのは、業務委託に係る契約の解除、取引の数量の削減、取引の停止、支払う額を下げることなどです1。「など」が付いているため、この4つは例であり、これだけに限った一覧ではありません。

    冒頭の場面で恐れていたのは、契約を切られることでした。契約の解除は、この例の先頭に挙がっています。

    図3:禁止される不利益な取扱いの例
    禁止される不利益な取扱いの例 通報を理由にすると禁止 契約の解除 取引の数量 の削減 取引の停止 支払う額を 下げる

    図の作成:Remogu編集部。消費者庁「公益通報ハンドブック」(2026年6月)を整理したもので、統計データではありません

    損害賠償の請求もできない

    事業者は、公益通報によって損害を受けたことを理由として、公益通報者であるフリーランスに賠償を請求することはできません1。契約を切られる不安と、賠償を求められる不安は別の話で、禁止の規定もそれぞれにあります。

    ただし、この規定が当たるのは公益通報者です。公益通報に当たるかどうかは、通報する人、通報の対象、目的、通報先の4つの要素で決まります1。

    では、通報を思いとどまらせようとする行為は、どう扱われるのでしょうか。

    6. 通報妨害・通報者探索の禁止と事業者の周知

    通報しない合意は無効

    改正法は、事業者が正当な理由なく、フリーランス等に公益通報をしない旨の合意を求めることなどによって、公益通報を妨げる行為を禁止します。これに違反した合意は無効です1。

    たとえば契約書に「取引先の法令違反を外部に通報しない」と書かれていた場合は、この規定が関わってきます。ただし、禁止の対象は「正当な理由なく」の場合です。正当な理由が何にあたるかは、この資料では示されていないため、ハンドブックで確かめてください。

    通報者を探し出す行為の禁止

    事業者は、正当な理由なく、公益通報者を特定することを目的とする行為をしてはなりません1。通報したあとに、だれが通報したのかを事業者が探す行為も、禁止の対象です。

    事業者による体制の周知

    改正法は、体制整備義務の例示として、フリーランス等に対する事業者の公益通報対応体制の周知義務を明示しています1。通報先が事業者内部にある場合に、その窓口が自分に知らされているかどうかは、この義務に関わります。

    3つの規定の位置づけを、下の表で並べます。通報を妨げる合意への対応、通報者を探す行為の禁止、体制の周知は、いずれも事業者の側に課される内容です。フリーランスの側が何かを証明する規定ではなく、事業者が何をしてはならないか、何を知らせなければならないかを定めています。

    項目中身
    通報妨害の禁止正当な理由なく、公益通報をしない旨の合意を求めることなどで通報を妨げる行為を禁止します。違反した合意は無効です1
    通報者探索の禁止正当な理由なく、公益通報者を特定することを目的とする行為をしてはなりません1
    体制の周知フリーランス等に対する、事業者の公益通報対応体制の周知義務を明示します1

    これで、通報したあとの扱いと、通報の前に事業者がしてはならないことが分かりました。では、実際に通報する前に、何をどの順番で確かめればよいのでしょうか。

    7. 通報の前に確かめる順番

    4つを上から確かめる

    確かめるのは4つで、順番は、自分の立場、通報の対象、目的、通報先です。最初に立場を確かめるのは、通報する人に含まれるのが、フリーランスと、業務委託関係が終了して1年以内のフリーランスであった者だからです1。次に対象、目的、通報先へ進みます。

    順番確かめること
    1業務委託関係が続いているか。終了している場合は、終了から1年以内か1
    2通報する内容が、役務提供先における一定の法令違反行為に当たるか1
    3不正の利益を得る目的や他人に損害を加える目的などの、不正の目的でないか1
    4通報先を3つのうちのどれにするか。通報先ごとに保護要件が異なる1
    図4:通報の前の確認の並び
    通報の前の確認の並び 通報先の選択は最後 1. 業務委託関係の継続(終了後は1年以内) 2. 一定の法令違反行為か 3. 不正の目的でないか 4. 通報先と保護要件

    図の作成:Remogu編集部。消費者庁「公益通報ハンドブック」(2026年6月)を整理したもので、統計データではありません

    冒頭の場面に戻る

    参画先のシステムに、法令に反していそうな仕様を見つけたとき、手を止めたまま抱え込む必要はありません。動かせるのは、確かめる順番です。通報の前に、自分が保護の対象か、通報先と要件を確かめます。

    ただし、この4つは入口です。保護要件は通報先ごとに異なる1ので、通報先を決めたら、その先の要件を消費者庁の公益通報ハンドブックで読み込んでください。改正法の施行は令和8年12月1日で、それまでは施行前の状態です1。

    参画先を一つに限らず選べる状態にしておくことも、備えの一つです。Remoguに登録して、リモートで参画できる案件を見ておくことは、次の参画先を持つための一歩です。

    8. よくある質問

    フリーランスはいつから保護の対象になりますか

    改正法は令和8年12月1日から施行されます1。改正法では、通報する人に「フリーランス」と「フリーランスであった者」が含まれます1。施行前の現時点では、まだ施行されていません。

    契約が終わったあとでも保護されますか

    フリーランスであった者は、業務委託関係が終了して1年以内のフリーランスです1。そのため、契約の終了から1年以内であれば、通報する人に含まれます。1年を過ぎた場合の扱いは、この記事の資料には書かれていません。ハンドブックで確かめてください。

    通報したら損害賠償を求められませんか

    事業者は、公益通報によって損害を受けたことを理由として、公益通報者であるフリーランスに賠償を請求することはできません1。ただし、公益通報に当たることが前提です。不正の目的で通報した場合は、公益通報にはなりません1。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 消費者庁「公益通報ハンドブック」(2026年6月・2026年10月確認)
    *2 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能