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    個人事業主の休業補償は課税される?所得補償保険の保険金と保険料、損害賠償金の扱いを解説

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    手首にサポーターを着けた人がソファで休み、ローテーブルに閉じたノートパソコンと書類が置かれた写真です。病気やけがで仕事を休む場面を表しています。

    📘 この記事でわかること

    • 所得補償保険の保険金は非課税である一方で、その保険料は必要経費に入れられないという、保険金と保険料の扱いの違い
    • 事故の損害賠償金のうち、治療費や働けない期間の補償は非課税で、必要経費の補てんや資産の損害は収入に入る分かれ目
    • 治療費として受け取った額を医療費控除で差し引く扱いと、受け取ったお金の名目を確かめる順番

    自転車で転んで手首を痛め、2週間キーボードに触れずに過ごしました。回復したころ、保険会社から保険金を振り込んだという通知が届きます。これは今年の売上に入れるのか、それとも別に扱うのか、手が止まっていませんか。体の損害の補償か、事業の費用や資産の補てんかで、受け取ったお金の扱いを分けます。

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    1. 個人事業主が休業補償の扱いを確かめる理由

    入金の名目で税の扱いが変わる

    病気やけがで稼働できない期間に受け取るお金は、一つとは限りません。自分で加入した所得補償保険の保険金もあれば、事故の相手から支払われる賠償金もあります。それぞれに税の扱いが定められているので、入金の名目を確かめる作業が先に来ます。

    この記事は、国税庁のタックスアンサーの記述に沿って進めます。所得補償保険の保険金は、身体の傷害に基因して支払を受ける保険金に当たり、非課税です1。一方で、保険料のほうは、事業主が自己を被保険者として支払っても家事費にあたり、必要経費に算入できません1。

    売上にも経費にも入れる前に

    入金のたびに売上へ入れてしまうと、非課税のお金まで事業の収入に混ぜることになります。反対に、保険料を経費として入れれば、必要経費に算入できないものを経費に載せることになります。どちらも、名目を確かめないまま帳簿に写したときに起こります。

    では、保険金そのものは、どんな性質のお金なのでしょうか。

    2. 所得補償保険の保険金は非課税

    所得補償保険が補てんするもの

    国税庁のタックスアンサーによると、所得補償保険とは、被保険者が病気やけがにより業務に従事できなかった期間の収益の補てんとして保険金を支払う損害保険契約です1。働けなかった期間の収入の穴を埋める保険なので、受け取った保険金を売上の一種と考えたくなります。

    ただし、国税庁は、この保険金を身体の傷害に基因して支払を受ける保険金に当たるとしており、非課税です1。補てんの対象が収益であっても、支払いの原因が体の傷害にあるため、事業の売上とは別の区分で見ます。

    冒頭の手首の例に当てはめると、キーボードに触れなかった2週間に対して所得補償保険の保険金が支払われたなら、その保険金は非課税の保険金です。売上の欄には入れません。

    図1:働けなかった期間から課税の区分までの流れ
    所得補償保険の保険金が非課税になる流れ 保険金は非課税の区分に入る 病気・けが 業務に従事 できない期間 保険金 非課税

    図の作成:Remogu編集部。国税庁のタックスアンサーを整理したもので、統計データではありません

    加入している保険が当たるかの確かめ方

    加入している保険が、国税庁の言う所得補償保険に当たるかどうかは、この資料には書かれていません。保険証券や保険会社の案内で、補償の内容を確かめてください。入院給付金のような個別の給付金の扱いも、資料には載っていないため、保険会社の案内や税務署で確かめます。

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    3. 所得補償保険の保険料は必要経費にならない

    自分を被保険者にした保険料

    保険金が非課税なら、保険料は経費に入るのでは、と考える人もいるでしょう。しかし、国税庁のタックスアンサーによると、事業主が自己を被保険者とした所得補償保険の保険料を支払っても、その保険料は家事費であり、必要経費に算入することはできません1。

    事業のために入った保険でも、被保険者が事業主本人であれば、保険料は家事費に区分されます。帳簿をつける段階で、保険料の支払いを事業用の口座から行っていても、経費の科目には入れません。

    保険金と保険料の扱いを並べる

    所得補償保険では、受け取る保険金と支払う保険料で、税の扱いが分かれます。保険金は身体の傷害に基因して支払を受けるものなので非課税で1、保険料は事業主が自己を被保険者とする限り家事費にあたり、必要経費に算入できません1。入ってくるお金は課税の対象外に、出ていくお金は経費の対象外に区分されます。

    項目資料の扱い
    所得補償保険の内容病気やけがで業務に従事できなかった期間の収益の補てんとして、保険金を支払う損害保険契約です
    受け取る保険金身体の傷害に基因して支払を受ける保険金にあたり、非課税です
    事業主が自己を被保険者として支払う保険料家事費にあたり、必要経費に算入できません

    この表は、保険金と保険料を別々の欄で見るための整理です。次の節では、事故の相手から受け取る損害賠償金に目を移します。

    4. 事故の損害賠償金と働けない期間の補償

    治療費・慰謝料・損害賠償金

    冒頭の自転車の事故が、相手のいる事故だったとします。国税庁のタックスアンサーによると、交通事故などのために被害者が受け取る治療費、慰謝料、損害賠償金などは非課税です3。保険金だけでなく、加害者側から支払われるお金にも、体の損害に対するものは課税されない区分があります。

    この区分の中には、働けない期間の補償も入っています。国税庁のタックスアンサーによると、非課税となる例には、負傷して働けないことによる収益の補償をする損害賠償金が含まれます3。休業した分の収入を補う趣旨のお金であっても、負傷が原因であれば非課税の例に入ります。

    図2:事故の相手から受け取る賠償金の内訳
    体の損害に対する賠償金の区分 三つとも課税の対象外 治療費 慰謝料 働けない期間の補償 非課税

    図の作成:Remogu編集部。国税庁のタックスアンサーを整理したもので、統計データではありません

    事業に従事できなかった補償は収入に含めない

    決算書の書き方の資料にも、同じ向きの記述があります。国税庁の資料によると、心身に損害を加えられ事業に従事できなかった場合の補償として受け取る慰謝料その他の損害賠償金は、収入金額には含めません4。事業の収入として決算書に載せる額から、この補償は外します。

    したがって、事故で稼働できなかった期間の補償を受け取ったときは、売上の欄に入れる前に、その補償が心身の損害に対するものかを確かめます。もう一つの区分は、必要経費の補てんや資産の損害に対する賠償金で、こちらは扱いが変わります。

    では、損害賠償金のすべてが非課税なのでしょうか。次の節で、収入に入る部分を確かめます。

    5. 必要経費の補てんと資産の損害は収入になる

    賠償金に含まれる必要経費の補てん

    国税庁のタックスアンサーによると、損害賠償金のうちに必要経費に算入される金額を補てんするための金額が含まれている場合は、その部分は各種所得の収入金額とされます3。損害賠償金という名前が付いていても、中身が必要経費の穴埋めなら、収入の側に入ります。

    ここで分かれるのは、賠償金の名前ではなく、何を補う金額かです。心身の損害に対する部分は非課税ですが3、同じ賠償金の中に経費を補てんする金額が混ざっていれば、その部分だけが収入金額の扱いになります。

    資産の損害に対する賠償金

    もう一つの区分が、事業で使う資産に加えられた損害です。国税庁のタックスアンサーによると、資産に加えられた損害について受け取る損害賠償金は原則として非課税ですが、個人事業者が受け取る収益補償や必要経費補てんのための損害賠償金などは課税の対象となります5。

    冒頭の自転車の事故で、手首のほかに仕事で使うノートパソコンも壊れたとします。体の損害に対する賠償金と、パソコンという資産への賠償金は、別の区分です。パソコンの損害に付いた収益補償や必要経費の補てんは、課税の対象に入ります。

    仮店舗の賃借料で見る課税の向き

    タックスアンサーには、具体例も載っています。仮店舗の賃借料の補償として受け取った損害賠償金は、事業所得の収入金額となり、支払った賃借料は、支払った年の事業所得の必要経費となります5。受け取った賠償金は収入に、支払った賃借料は経費に入ります。

    図3:賠償金の二つの行き先
    賠償金が非課税になる側と収入に入る側 名目で行き先が分かれる 心身の損害 経費と資産 治療費・慰謝料 働けない期間の補償 必要経費の補てん 資産の損害の収益補償 非課税 収入に入る

    図の作成:Remogu編集部。国税庁のタックスアンサーを整理したもので、統計データではありません

    では、治療にかかったお金と、見舞金として届くお金は、どちらの側に入るのでしょうか。

    6. 治療費と見舞金の扱い

    治療費として受け取った額は医療費から差し引く

    治療費は非課税の区分に入りますが3、受け取って終わりではありません。国税庁のタックスアンサーによると、治療費として受け取った金額は、医療費控除を受ける場合に支払った医療費の金額から差し引きます3。

    つまり、病院に支払った額のうち、加害者側などから治療費として戻った分は、医療費控除の計算に使う医療費に含めません。受け取った額と支払った額を、同じ事故の中で突き合わせる作業が加わります。

    見舞金が非課税になる範囲

    事故のあとには、見舞金が届くこともあります。国税庁のタックスアンサーによると、非課税となる見舞金は、社会通念上それにふさわしい金額のものに限られ、収入金額に代わる性質を持つものなどは除かれます3。

    一方で、ふさわしい金額が具体的にいくらなのかは、この資料には書かれていません。見舞金の額が気になるときは、税務署に確かめます。

    受け取ったお金資料の扱い
    治療費として受け取った額医療費控除を受ける場合、支払った医療費の金額から差し引きます
    社会通念上ふさわしい金額の見舞金非課税です
    収入金額に代わる性質を持つ見舞金非課税の見舞金からは除かれます

    この3点を押さえると、事故のあとに届くお金は、非課税のもの、収入に入るもの、医療費から差し引くものに分けられます。次の節では、その分け方を順番にまとめます。

    7. 受け取ったお金を確かめる順番

    入金の通知が届いたときの4つの問い

    通知が届いたら、帳簿に写す前に、四つの問いを順に当てます。何のための支払いか、保険金か損害賠償金か、保険料を経費に入れていないか、治療費分を医療費控除で差し引いたか、の順です。前の問いで区分が決まれば、後ろの問いはその区分の中で確かめます。

    順番確かめること資料の扱い
    1何のための支払いか心身の損害に対するものは非課税の区分です。必要経費の補てんや資産の損害の収益補償は、収入に入る側です
    2保険金か損害賠償金か所得補償保険の保険金は非課税です。損害賠償金は、内訳ごとに区分が分かれます
    3保険料を経費に入れていないか事業主が自己を被保険者とした所得補償保険の保険料は家事費で、必要経費に算入できません
    4治療費分を差し引いたか治療費として受け取った額は、医療費控除を受ける場合に支払った医療費から差し引きます

    冒頭の手首の例に当てはめる

    図4:入金のあと帳簿に写す前の確認
    受け取ったお金を確かめる4つの問い 名目の確認から始める ① 何のための支払いか ② 保険金か損害賠償金か ③ 保険料を経費に入れていないか ④ 治療費分は医療費控除で差し引く

    図の作成:Remogu編集部。国税庁のタックスアンサーを整理したもので、統計データではありません

    2週間キーボードに触れなかった手首の例で、順に当てはめます。振り込まれたのが所得補償保険の保険金なら、②の時点で非課税の保険金だと分かります1。売上の欄には入れず、保険料のほうも経費に入れません1。

    相手のいる事故なら、①から当てはめます。治療費、慰謝料、働けない期間の補償は非課税です3。ただし、仕事で使う機材の損害に付いた収益補償や、必要経費を補てんする金額が混ざっていれば、その部分は収入に入ります5。

    そのうえで、治療費として受け取った分は、医療費控除を受けるなら支払った医療費から差し引きます3。入院給付金のような個別の給付金の扱いは、この資料には載っていません。保険会社の案内や税務署で確かめます。

    通知を受け取った日にすること

    手首を痛めて仕事を休んだ日々は、振込の通知で一区切りになります。入金額を売上に写す前に、支払いの名目を手元の書類で確かめる。この一手間で、非課税のお金を収入に混ぜることも、経費にならない保険料を経費に載せることも防げます。

    通知を前にして手が止まったら、冒頭の一言に戻ります。体の損害の補償か、事業の費用や資産の補てんかで、受け取ったお金の扱いを分けます。分け方が決まれば、売上に入れるか、医療費から差し引くかも、迷わず帳簿に移せます。

    8. よくある質問

    所得補償保険の保険料は経費になりますか

    事業主が自己を被保険者として支払う所得補償保険の保険料は、家事費にあたり、必要経費に算入できません1。事業用の口座から支払っていても、扱いは変わりません。

    所得補償保険の保険金は確定申告に書きますか

    所得補償保険の保険金は、身体の傷害に基因して支払を受ける保険金にあたり、非課税です1。売上や収入金額に入れる対象ではありません。確定申告書の個々の欄にどう反映するかは、この資料には書かれていないので、税務署の案内で確かめます。

    事故で受け取った賠償金は全部非課税ですか

    全部が非課税とは限りません。治療費、慰謝料、損害賠償金などは非課税ですが3、損害賠償金のうちに必要経費を補てんする金額が含まれていれば、その部分は収入金額に入ります3。

    資産の損害に対する賠償金も、原則は非課税ですが、個人事業者が受け取る収益補償や必要経費補てんのためのものは課税の対象です5。受け取った賠償金の内訳が分からないときは、支払った側の説明書きで名目を確かめます。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 国税庁「所得補償保険の保険金を受け取ったとき」(2026年4月・2026年10月確認)
    *2 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能
    *3 国税庁「加害者から治療費、慰謝料及び損害賠償金などを受け取ったとき」(2026年4月・2026年10月確認)
    *4 国税庁「青色申告決算書(一般用)の書き方」(2025年10月・2026年10月確認)
    *5 国税庁「個人事業者が事業所得の必要経費を補てんするための損害賠償金を受け取ったとき」(2026年4月・2026年10月確認)