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    【データサイエンティスト】副業は成果物で区切る|データを持ち出さずに受ける4つの条件

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    打ち合わせ机で、白い紙に描いた3つの四角を相手と指さして確かめる手元

    📘 この記事でわかること

    • 探索的な分析が副業の中で終わらなくなる仕組みと、成果物で区切ると終点が見えるようになる理由
    • 情報処理推進機構(IPA)の「DX動向2026」が示す、企業のデータ利活用の現状と、人材の確保やデータの標準化に集まる課題
    • 成果物を先に決める第1の条件と、集計表・可視化・分析報告・モデルの検証での区切り方の違い

    知人の会社から「売上のデータを見てほしい」と頼まれ、CSVが送られてくる直前に、ふと手が止まりました。どこまで分析すれば終わりなのか、データはどこに置くのかを、まだ何も決めていなかったからです。本業でデータ分析を担うデータサイエンティストでも、業務委託の副業として外から受けるとなると、相手のデータを預かる責任と終わりの見えない作業が気にかかります。データ分析の副業は、成果物の範囲とデータの置き場所から決めます。

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    1. データ分析の副業が終わらなくなる理由

    分析の問いは、データを見るたびに増える

    分析は、データを開くたびに次の問いが生まれる仕事です。売上の推移を出せば、落ち込んだ月の内訳を見たくなります。内訳を出せば、顧客の区分を変えて見直したくなります。本業であれば、この往復を翌週にも続けられるので、終わりが見えなくても作業は回ります。

    ただし、副業は使える時間が先に決まっています。平日の夜や週末の枠は動かせず、問いのほうが後から増えていきます。依頼する側も、データを渡す時点では「見てほしい」と言うだけで、どこまで見てほしいのかは言葉になっていません。冒頭の場面は、この状態で話が始まりかけたところでした。

    終わりを決めないまま受けたときの流れ

    終わりを決めないまま受けると、完了の判断が相手の感覚に委ねられます。こちらが「集計は終わった」と考えていても、相手は「要因まで分かると思っていた」と受け取っているかもしれません。この食い違いは、分析の腕前ではなく、約束の書き方から生まれます。

    探索的な分析では、問いが新しい問いを呼び、終点が置かれません。成果物の決まった分析では、合意した成果物を納めた時点で終わります。

    図1:分析の副業で終わりが決まる場合と決まらない場合
    探索的な分析と成果物の決まった分析の流れの違い 終点の有無で、受ける側の負担が変わる 探索的な分析 問い データ確認 新しい問い 終点なし 成果物の決まった分析 成果物の合意 分析 納品 終点あり

    図の作成:Remogu編集部。分析の進み方を整理した概念図で、統計データではありません

    区切りの単位は成果物に置く

    副業の分析は、作業時間ではなく成果物で区切るのが、この記事の見立てです。「集計表を1つ」「可視化を数枚」「分析報告を1回」のように数えられる単位で約束すれば、納めた時点で終わりが決まります。これは調査の結果ではなく、書き手の見立てです。

    時間で区切る方法もありますが、分析は同じ時間をかけても進み方に差が出ます。成果物で区切れば、早く終わった分を次の相談に回せますし、時間がかかったときは約束の範囲を見直す話ができます。では、データを使う企業の側は、いまどんな状況にあるのでしょうか。

    2. データの利活用は約6割で足踏み

    資料室の金属棚に並ぶ無地の資料箱と、少し引き出された1箱

    データを使う企業は約6割

    独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が2026年7月に公表した「DX動向2026」によると、全社的または部分的にデータを利活用している企業は約6割に達しています1。言い換えると、利活用に至っていない企業も残っています。

    経年では大きく変わっていない

    同じ調査は、約6割という水準が経年的には大きく変わっていないことも示しています1。数字が伸び続けているわけではないので、データを使う企業が一気に増える前提で副業を考えるより、いま目の前にある依頼を、決めた範囲で期日どおりに納める進め方のほうが現実に合います。

    ただし、この数字は企業のデータ利活用の状況を測ったものです。データサイエンティストの副業の需要や人数を測ったものではありません。そのため本記事では、副業の需要を示す根拠には使わず、依頼が生まれる背景として読みます。

    図2:データを利活用している企業の割合
    データを利活用している企業は約6割 約6割の水準が続いている 全社的または部分的に利活用 約6割 それ以外 経年では大きく変わらない

    出典:独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2026」(2026年7月)をもとに作成

    3. 企業が困っているのは人とデータの整備

    データ整備・管理・流通で挙がった課題

    同じ調査では、データ整備・管理・流通の課題として「人材の確保が難しい」が51.2%で最も高く、次いで「データの標準化が難しい」が36.8%、「管理システムが整備されていない」が32.6%でした1。

    表1は、回答の多かった3項目を並べたものです。人材の確保は半数を超え、標準化と管理システムの整備が3割台で続きます。いずれも、分析そのものより手前の、データの整え方に関わる課題です。分析を受ける側から見ると、渡されるデータがこうした課題を抱えている場合を、受ける前に頭に置いておく材料になります。

    課題回答の割合位置づけ
    人材の確保が難しい51.2%最も高い項目
    データの標準化が難しい36.8%次いで高い項目
    管理システムが整備されていない32.6%その次の項目

    データの種類と目的の組み合わせ

    データを利活用している企業に限ると、データの種類と利活用の目的の組み合わせごとの回答率で最も高かったのは、経営指標関連データを経営企画の目的で使う組み合わせで、78.2%でした1。

    この数字は、企業全体の目的別の割合ではなく、データの種類と目的の組み合わせ1つについての回答率です。一方で、分析を外から頼まれる場面で、この使い道に近い依頼がどのくらい来るのかは、この調査からは分かりません。

    副業で受ける側の読み方

    人材の確保が難しいという51.2%は、企業のデータ整備・管理・流通の課題としての回答です1。データサイエンティストの人数が不足していることや、副業の需要の大きさを示す数字ではありません。

    ここから言えるのは、企業の側にデータの整え方の課題があるという点です。そのため受ける側は、分析に入る前に、データの置き場所や項目の定義がどこまで決まっているかを尋ねる必要があります。これは書き手の見立てで、次の節から4つの条件として順に確かめます。

    4. 条件1:成果物を先に決める

    成果物の単位を言葉にする

    1つ目の条件は、成果物を先に決めることです。データを受け取る前に、何をどんな形で納めれば終わりなのかを、相手と文面で合わせます。口頭だけの合意は、後から「そこまでのつもりではなかった」という話になりやすいので、メッセージや契約書に残します。

    成果物は、数えられる単位にします。「分析をする」は終わりを決めませんが、「集計表を1つ納める」は納めた時点で終わりを決めます。副業では、この数えられるかどうかの差が、週末の作業が際限なく伸びるか、予定どおり終わるかを分けます。

    成果物ごとの区切り方

    表2は、副業で受けやすい成果物の例と、それぞれの区切り方です。集計表は集計の軸と期間で、可視化は図の種類と見る人で、分析報告は1つの問いで、モデルの検証は評価の指標と判定の基準で区切ります。右の列は、区切りを書面にするときに、先に相手へ確かめておく内容です。いずれも書き手の見立てで、調査の結果ではありません。

    成果物の例区切り方先に確かめる内容
    集計表集計の軸と期間を書き、表の数で区切る元データの項目の定義
    可視化図の種類と枚数を決め、見る人を限る見る人と使う場面
    1回の分析報告答える問いを1つに絞り、報告1回で区切る問いの文面と報告の形式
    モデルの検証評価の指標と判定の基準を先に書く評価に使うデータの範囲

    区切りを超えた依頼の扱い

    成果物を決めても、納めた後に「もう1つ見てほしい」と言われる場面は来ます。そのときは、追加の成果物として切り出し、新しい約束にします。最初の約束を広げ続けないことが、副業の作業を本業の時間に食い込ませないための線引きになります。

    成果物が決まれば、次に決めるのは、受け取るデータをどこに置くかです。

    5. 条件2:データを持ち出さない置き場所を決める

    鍵の付いた机の引き出しに、外付けの記録媒体をしまう手元

    依頼する側が負う監督の義務

    2つ目の条件は、受け取るデータの置き場所を決め、手元に持ち出さない形にすることです。根拠として読むのは、個人情報保護委員会の「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」です。

    ガイドラインによると、個人情報取扱事業者は、個人データの取扱いの全部または一部を委託する場合、委託先に対し必要かつ適切な監督をしなければなりません2。監督の義務を負うのは、データを預ける委託元の側です。

    副業で分析を受ける側は、この義務を負う立場にありません。ただし、依頼する側が委託先を監督しなければならない以上、受ける側は、データの取扱いの条件を確かめられる関係にあります。置き場所や持ち出しの可否を最初に尋ねるのは、相手の義務に沿った質問です。この読み方はガイドラインの文言ではなく、書き手の見立てです。

    ガイドラインが定めているのは、委託する側の義務です。取扱いの具体的な決まりは相手ごとに違うため、依頼を受けるたびに文面で受け取ります。

    図3:委託元の監督と、受ける側の確認
    委託元の監督と、受ける側が確かめられること 監督する側と受ける側は、条件で結ばれる 委託元の事業者 監督の義務 受ける側 取扱いの条件の確認

    図の作成:Remogu編集部。個人情報保護委員会のガイドラインをもとに関係を整理した概念図で、統計データではありません

    持ち出しが漏えいにつながった例

    同じガイドラインは、社内で人への監督が行き届かなかった事例として、内部規程に違反して、個人データの入ったノート型パソコンや外部記録媒体が繰り返し持ち出され、紛失や漏えいにつながった場合を挙げています2。

    この事例は、委託先の監督の項ではなく、社内の監督の項に載っています。そのため、副業の委託先の事例として読むことはできません。ここでは、持ち出しが漏えいにつながった例として読みます。データが入った端末や記録媒体が動くと、置き場所の決まりは守られなくなります。

    置き場所を決めるときの選択肢

    では、副業の分析では置き場所をどう決めればよいのでしょうか。書き手の見立てとして、確かめたい点は4つあります。相手が用意した環境の中で作業できるか、手元の端末にコピーを残さずに済むか、外部記録媒体へ書き出さずに済むか、納品物にデータの原本を含めずに済むかです。

    相手の環境に入れない場合は、手元で作業しても、作業が終わった時点でデータを消す約束を文面にします。持ち出しを防ぐ決まりを、依頼を受ける前に合わせておけば、あとで取扱いが争点になる場面を減らせます。

    なお、ここで扱った2つの出典は、個人データの取扱いについてのものです。個人データを含まない分析での置き場所は、契約で決めます。データの置き場所が決まれば、残るのは、手伝ってくれる人と時間の取り決めです。

    6. 条件3・4:再委託をしない、連絡の時間帯を決める

    人に手伝ってもらう前に確かめる

    3つ目の条件は、再委託をしないことです。分析が重なった週に、知人のデータサイエンティストへ作業の一部を頼みたくなる場面は考えられます。ただし、データを預けたのは依頼する側で、預かった相手とは別の人にデータを渡す話は、相手の了解がなければ成り立ちません。

    再委託の可否は、依頼する側との約束として最初に決めておく話だと、書き手は考えています。

    依頼を受ける前に、再委託を認めるのか、認めない場合は誰が作業するのかを、依頼する側に尋ねます。認められていない作業を、受けた本人が自分の判断で外へ出さない形にしておけば、依頼する側の監督の範囲から外れるデータが生まれません。

    連絡の時間帯を先に合わせる

    4つ目の条件は、連絡の時間帯を決めることです。本業を持つ人の副業では、返信できる時間が平日の夜や週末に偏ります。相手が日中にすぐ返信を期待していれば、返信の遅さが不信につながります。

    そのため、連絡を受け付ける曜日と時間帯、返信までの目安を、最初に文面で伝えます。急ぎの質問が起きたときの連絡先も、あらかじめ決めておきます。これも書き手の見立てです。

    条件ごとに確かめる内容

    表3は、条件3と条件4について、依頼する側へ先に確かめる内容を並べたものです。再委託では認めるかどうかと作業する人を、連絡の時間帯では受け付ける枠と返信の目安を、それぞれ文面に残します。決めておく場面は、依頼を受ける前の打ち合わせと、作業を始める直前の2回です。

    条件確かめる内容決めておく場面
    再委託をしない再委託を認めるか、認めない場合は誰が作業するか依頼を受ける前の打ち合わせ
    再委託をしない手伝いが必要になったときの相談先依頼を受ける前の打ち合わせ
    連絡の時間帯連絡を受け付ける曜日と時間帯作業を始める直前
    連絡の時間帯返信までの目安と、急ぎの連絡先作業を始める直前

    4つの条件がそろったところで、順番に並べ直します。

    7. 4つの条件を並べると

    条件の順番

    4つの条件は、成果物、置き場所、再委託、連絡の順に決めます。最初に成果物を決めるのは、置き場所も再委託も連絡の時間帯も、何を納めるのかが決まらないと決められないからです。順番は書き手の見立てです。

    図4:副業で受ける前に決める4つの条件
    4つの条件の順番 成果物から先に決める 1 2 3 4 成果物 数える単位 置き場所 保管先の限定 再委託 手伝いの確認 連絡 時間帯の取り決め

    図の作成:Remogu編集部。4つの条件の順番を整理した概念図で、統計データではありません

    事実と見立ての分け方

    この記事で出典のある内容は、5つです。データを利活用している企業は約6割で、経年では大きく変わっていないこと1。データ整備・管理・流通の課題で、人材の確保が最も高かったこと1。目的別では、経営指標関連データの経営企画目的が78.2%だったこと1。

    残る2つは、個人データの取扱いの話です。委託する側が委託先に必要かつ適切な監督をしなければならないこと2。社内で持ち出しが繰り返され、漏えいにつながった事例があること2。4つの条件そのものは、これらを材料にした書き手の見立てです。

    一方で、副業で受ける分析の需要や、始めやすさを示す数字は、ここにはありません。企業のデータの課題と個人データの扱いから、受ける前に決めておきたい点を導いただけです。

    冒頭の場面に戻ると

    知人から、CSVを送る前に「見てほしい」と言われた場面に戻ります。手が止まったのは、準備が足りなかったからではありません。決めておく点が4つあると、まだ知らなかっただけです。成果物の範囲と置き場所を決め、再委託と連絡の時間帯を合わせてから、データを受け取ります。

    Remogu(株式会社LASSIC運営)は、リモートワーク案件特化のエンジニアマッチングで、案件の90%以上がフルリモート可能です。分析の副業を、本業の合間に回る形で受けたいと考えたら、まず登録して、自分の経験に合う条件を確かめてみる一歩があります。データ分析の副業は、成果物の範囲とデータの置き場所から決めます。

    8. よくある質問

    SQLやTableauの経験だけでも副業はできますか

    集計表や可視化を成果物にする依頼であれば、SQLやTableauの経験を活かせる場面は考えられます。表2で見たとおり、集計表は集計の軸と期間、可視化は図の種類と見る人で区切れます。

    モデルの検証まで求められる依頼では、評価の指標や判定の基準も約束に入ります。受ける前に、成果物の範囲を文面で合わせます。これは書き手の見立てです。

    週1日や土日だけでも分析の副業は回りますか

    成果物で区切れば、使える時間が限られていても、終わりを決められます。たとえば「集計表を1つ」「分析報告を1回」のように数えられる単位で約束し、連絡の時間帯も合わせておけば、週末だけの作業でも予定を立てやすくなります。

    ただし、問いが増える探索的な分析を、時間の枠だけで受けると終点が置かれません。これも書き手の見立てで、調査の結果ではありません。

    個人データを扱わない分析なら気にしなくてよいですか

    この記事で取り上げた委託先の監督と持ち出しの事例は、個人データの取扱いについてのものです2。個人データを含まない分析に、同じ決まりがそのまま当てはまるとは、この資料からは言えません。

    それでも、データの置き場所と持ち出しは、個人データでなくても、契約で決めておく点です。売上のように社外へ出したくないデータもあるため、依頼を受ける前に、取扱いの条件を文面で受け取ります。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2026」(2026年7月・2026年10月確認)
    *2 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」(2025年・2026年10月確認)