Webディレクターの副業はどこから受ける?窓口を持たず確認から始める方法と再委託の条件
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- 連絡の窓口を持つ仕事と公開前の確認を持つ仕事の違いと、副業の時間を本業から切り離して考える手がかり
- 広告表示のステルスマーケティング規制の内容と、サイトに載せる口コミの確認項目に入れておきたい観点
- アクセシビリティの点検を区切って受ける道筋と、確認の仕事を始めるときに決めておく範囲と成果物
副業の打ち合わせで、「制作会社さんとのやり取りは日中が中心です」と言われました。本業でも日中は進行に追われているので、やはり本業と重なるかと思いかけたところで、相手が続けます。「お願いしたいのは、公開前のページの確認なんです」。Webディレクターが業務委託で副業を受けるとき、連絡の多さが壁に見えるのは、仕事を一つの塊として見ているからです。Webディレクターの副業は、窓口を持つ仕事か、確認を持つ仕事かで分けます。
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1. Webディレクターの副業が難しく見える理由
窓口の仕事と確認の仕事は別物
本業でもWebディレクターをしていると、副業の依頼を聞いた瞬間に頭へ浮かぶのは、クライアントと制作者の間を行き来する毎日の連絡です。連絡は相手の営業時間に合わせて動きます。そのため、副業で同じ型の仕事を受けると本業の時間と重なりそうだと感じるのは、自然な反応です。
ただし、Webディレクターの仕事は一つの塊ではありません。クライアントとの連絡を受ける仕事、制作者に指示を出す仕事、進行を調整する仕事は、誰かが動くたびに自分も動く必要があります。一方、公開前のページを確かめる仕事や、要件の抜け漏れを点検する仕事は、確かめる対象が手元に渡ってから自分の時間で進められます。ここでは前者を「窓口を持つ仕事」、後者を「確認を持つ仕事」と呼びます。この分け方は資料にあるものではなく、書き手の見立てです。
窓口を持つ仕事が本業と重なりやすい理由
窓口を持つ仕事は、連絡が届いた時刻に返すことで価値が出ます。クライアントから修正の相談が届けば、制作者へ伝え、返答を待ち、またクライアントへ戻します。打ち合わせで「やり取りは日中が中心」と言われた場面のように、この往復は相手の稼働時間に沿って動きます。
そのため、窓口を持つ仕事を副業で受けるときは、連絡に返せる時間帯を先に決めておく必要があります。決めずに受けると、本業の合間に返信を書く形になり、どちらの仕事にも気持ちが残ります。
確認を持つ仕事は区切りが見えやすい
確認を持つ仕事には、渡される物と期日があります。公開前のページの表示を確かめる、要件の抜け漏れを探す、アクセシビリティの点検をする、といった仕事は、確かめる範囲と提出する物を先に決められます。決められる分、本業のない夜や休日の枠に置いて考えられます。
図の作成:Remogu編集部。仕事の分け方を整理したもので、統計データではありません
では、確認を持つ仕事のうち、広告の表示の確認から見ていきます。まず、広告の表示にどんな規制があるのかを、消費者庁のガイドブックで確かめます。
2. 広告の表示とステルスマーケティングの規制
告示の指定と時期
広告の表示を確認する仕事で、最初に押さえたいのはステルスマーケティングの規制です。消費者庁の景品表示法ガイドブック(2026年3月改訂版)によると、ステルスマーケティングへの対応として、消費者庁は令和5年3月に景品表示法第5条第3号に基づく新たな告示を指定しました1。
ただし、令和5年3月は告示を指定した時期です。2026年に規制が始まったわけではなく、最近になって厳しくなったと読むのも、資料の範囲を超えます。
表示の内容の決定に関与した事業者
同じガイドブックは、表示の内容の決定に関与した事業者には、自ら表示の内容を決定した事業者だけでなく、他の事業者にその決定を委ねた事業者も含まれると説明しています1。広告の文面や載せ方を自分で決めていなくても、決定を他の事業者に任せたなら関与した事業者に含まれる、という説明です。
そのため、Webディレクターや制作会社がこの事業者に当たるかどうかを、一般論で言い切ることはできません。資料はその点を述べていないからです。「規制を受けるのは広告主だけ」とも、「Webディレクターは対象外」とも、「Webディレクターが対象」とも書けません。個別の判断は事案しだいで、クライアントや専門家に確認することになります。
ガイドブックの記載の整理
左の列は資料が説明している項目、右の列はその記載の中身です。資料に書かれていない事柄は、表にも本文にも足していません。
| 項目 | ガイドブックの記載 |
|---|---|
| 告示の指定時期 | 令和5年3月に、景品表示法第5条第3号に基づく新たな告示を指定1 |
| 表示の内容の決定に関与した事業者 | 自ら決定した事業者に加えて、他の事業者に決定を委ねた事業者も含まれる1 |
| Webディレクターや制作会社が当たるか | 資料には書かれていません。個別の判断は事案しだいです |
副業で表示の確認を受けるときは、気づいた点を伝えるところまでを自分の仕事とし、適否の判断はクライアントや専門家に任せる線を引きます。この線を最初に決めておけば、確認の仕事が法的な判断の請け負いに広がるのを防げます。
次は、この規制が制作の現場でどんな掲載ページに関わってくるのかです。
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3. サイトに載せる口コミが問題になる例

ガイドブックが挙げる例
同じガイドブックは、ステルスマーケティングに当たる例の一つとして、事業者がインフルエンサーに対価を提供して自社商品を薦める投稿を依頼し、その投稿を自社ウェブサイトに第三者の自主的な感想のように掲載する場合を挙げています1。
この例で問題になるのは、依頼による投稿が、第三者の自主的な感想のように見える点です。口コミや感想を載せること自体が問題になると読むのは誤りで、資料が挙げているのは、依頼と掲載がつながっている場合です。
出典:消費者庁「事例でわかる景品表示法」(2026年3月改訂版)をもとに作成
サイト制作の現場に出てくる場面
サイトを作る仕事では、お客様の声や口コミを載せるページが出てくる場面があります。ここからは書き手の見立てですが、載せる文面を誰がどう集めたのかは、制作側から見えないことがあります。
だからこそ、公開前の確認項目に「広告であることが分かる表示になっているか」を入れておく価値があります。確認項目に入れるだけなら、集めた経緯を調べる作業は要りません。ページを見て、気づいた点を伝える範囲で済みます。
判断はクライアントや専門家に確かめる
確認項目に入れる目的は、気づいた点をクライアントに伝えることです。ある掲載がステルスマーケティングに当たるかどうかは、個別の判断が事案しだいとなるため、副業のディレクターが適否を言い切る場面ではありません。クライアントや専門家に確認してもらう流れを、受ける前に決めておきます。
次は、広告表示とは別に区切って受けやすい確認として、アクセシビリティの点検を見ます。
4. アクセシビリティの点検を区切って受ける
デジタル庁のガイドブックの位置づけ
アクセシビリティの点検も、確認の仕事として区切れます。デジタル庁の「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」は、2025年10月16日にデジタル社会推進標準ガイドラインへInformative文書として編入されました2。
資料に書かれている位置づけは、Informative文書としての編入です。義務を定めた文書とも、基準を定めた文書とも、資料の記載だけでは言えません。位置づけを書くときは、この記載の範囲で止めます。
資料の記載の整理
資料名、発行元、編入の日付、位置づけの四つを並べます。発注側と点検の観点をそろえるとき、どの資料を共通の土台にするかを確かめる材料になります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 資料名 | ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック |
| 発行 | デジタル庁 |
| 編入の日付 | 2025年10月16日2 |
| 位置づけ | デジタル社会推進標準ガイドラインへ、Informative文書として編入 |
点検を区切って受ける考え方
点検は、対象の画面と点検の観点が決まれば、結果を表にして渡すところで区切れます。窓口の連絡と違い、相手の返信を待たずに自分の時間で進められる部分が大きい、というのが書き手の見立てです。
実務では、点検の観点を発注側とそろえる材料として、このガイドブックを共通の資料に使えます。ただし、ガイドブックはInformative文書なので、観点の一覧がそのまま義務の一覧になるわけではありません。何を点検の範囲にするかは、発注側と話して決めます。
適合レベルやJISにまつわる話は、この記事では扱いません。別の記事で扱っているので、そちらを読んでください。
次は、ここで挙げた確認の仕事を、実際にどんな形と成果物で受けるのかを見ます。
5. 確認の仕事の形と成果物
確認の仕事の例
確認の仕事には、いくつかの形があります。公開前のページの表示を確かめる仕事、口コミを載せるページに広告であることの表示があるかを見る仕事、アクセシビリティを点検する仕事、要件の抜け漏れを探す仕事です。この四つは、ここまでの節で取り上げた確認を、仕事の形として並べ直したものです。
ただし、この四つは例です。受けてよい確認の一覧でも、受けなければならない確認の義務でもありません。クライアントによって、確かめたい対象は変わります。ここに挙げた形から、自分の経験で見られる範囲のものを選んで話し合う、という使い方を想定しています。
仕事の形ごとの成果物
確認の仕事は、何を渡して終わるのかを先に決められる点が強みです。ここからは書き手の見立てですが、成果物を決めておくと、打ち合わせの内容も短くなります。「確かめたら、この表を出します」と伝えれば、相手も受け取る準備ができるからです。
たとえば公開前の表示確認なら、気づいた箇所を指摘の一覧にまとめて渡します。口コミ掲載ページの確認なら確認項目表、アクセシビリティの点検なら点検結果の表、要件の抜け漏れ確認なら要件と画面の対応表が、それぞれの成果物の候補です。
図の作成:Remogu編集部。確認の仕事の例を整理したもので、統計データではありません
範囲を決めるときの線引き
確認の仕事は、受ける前に範囲を書き出しておくと、頼まれる内容が広がりにくくなります。対象のページ、確かめる観点、渡す物、期日の四つを、メールの短い文面で構いませんので相手と共有します。
そのうえで、適否の判断は引き受けない線を添えます。第2節と第3節で見たように、広告表示の判断は事案しだいです。気づいた点を伝える仕事と、結論を出す仕事を、最初から分けておきます。
次は、窓口を持つ仕事から一歩進んで、制作者に作業を頼む側になったときに何を決めるかです。
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6. 制作者に頼む側になるときの取引条件

頼む側になる場面
窓口を持つ仕事を受けると、デザイナーやコーダーに作業を頼む場面が出てきます。ここからは書き手の見立てですが、窓口の仕事は頼む側にもなりやすい仕事です。自分が頼まれる側から頼む側に変わった瞬間に、決めることが増えます。
公正取引委員会のフリーランス法パンフレットによると、取引条件の明示義務(第3条)はフリーランス同士の取引も対象で、発注する側がフリーランスである場合にも義務が課されます3。自分がフリーランスだから関係ないとは言えません。
ただし、副業の個人が義務の主体になるかどうかは、要件しだいです。資料はその要件の判定を、この記事の範囲では述べていません。頼む側になる可能性があるなら、条件を示す準備をしておく、という使い方を勧めます。
再委託の例外を使う場合に明示する事項
公正取引委員会のフリーランス法Q&Aによると、特定業務委託事業者が再委託の場合の支払期日の例外を適用したときは、元委託業務の対価の支払期日から30日以内の支払期日を定めます4。
同じQ&Aは、この例外を適用する特定業務委託事業者に、3条通知で通常の事項に加えて、再委託である旨・元委託者の名称等・元委託業務の対価の支払期日を明示する必要があると説明しています4。例外を使うかどうかは任意で、使う場合に3点を書き足す形です。
ここで注意したいのは、この規定が例外を使う特定業務委託事業者の場合の話だということです。副業の個人が制作者に頼むときに、この例外や支払期日の規定がそのまま当てはまるとは、資料から言えません。当てはまるかは要件しだいなので、制度そのものの詳しい説明は案件の再委託の支払期日と明示を解説した記事を読んでください。
場面ごとに決めることの整理
表の左の列が頼む側になる場面、右の列がその場面で決めることです。例外の欄は、例外を使う発注事業者の場合に限った記載で、副業の個人の一般的な義務の一覧ではありません。
| 場面 | 決めること |
|---|---|
| 自分が制作者に作業を頼む | 取引条件を書面か電磁的方法で明示する。フリーランス同士の取引も対象3 |
| 再委託の例外を使う発注事業者の場合 | 3条通知に、再委託である旨・元委託者の名称等・元委託業務の対価の支払期日を明示4 |
| 支払期日 | 例外を使う場合は、元委託業務の対価の支払期日から30日以内に定める4 |
なお、「元委託の支払期日」は定められた期日のことで、実際に支払われた日ではありません。表の期日を読むときは、この違いに気をつけます。作る側との担当範囲の切り分けは、Webディレクターの案件で作る側との境界を整理した記事にまとめています。
次は、ここまでの確認の仕事と頼む側の条件を、本業と並べるための受け方に組み直します。
7. 本業と並べるための受け方
受け方の順番
これまでの節を踏まえると、副業の受け方には順番があります。まず、頼まれた仕事が窓口を持つ仕事か、確認を持つ仕事かを分けます。次に、確認の仕事なら、確かめる範囲と渡す物を決めます。この順番は、書き手の見立てです。
三つ目は、判断の責任の持ち主を確かめることです。広告表示のように適否が事案しだいの確認では、気づいた点を伝える側と、結論を出す側が分かれます。最後に、制作者へ作業を頼む側になるなら、取引条件を示す準備をします。
図の作成:Remogu編集部。受け方の順番を整理したもので、統計データではありません
確かめた先に、案件を探す一歩がある
順番が決まれば、次に必要なのは、確認の仕事を受けられる案件に出会うことです。Remogu(株式会社LASSIC運営)は、リモートワーク案件特化のエンジニアマッチングで、案件の90%以上がフルリモート可能です。場所を問わず、本業のない時間に進められる仕事を探す入口として使えます。
案件の条件は時期によって変わります。そこで、まず登録して、自分の経験に合う条件を確かめてみる、という動き方を勧めます。登録の段階では、何を引き受け、何を引き受けないかを考えておけば、条件を見る目が定まります。
打ち合わせの言葉に戻る
冒頭の打ち合わせに戻ります。「制作会社さんとのやり取りは日中が中心です」と聞いて、本業と重なると思いかけた場面でした。相手が続けた「お願いしたいのは、公開前のページの確認なんです」という一言で、同じ副業の話が別の形に見えたはずです。
連絡の多さが壁に見えたのは、仕事を一つの塊として見ていたからでした。Webディレクターの副業は、窓口を持つ仕事か、確認を持つ仕事かで分けます。分けてみれば、本業と並べられる仕事の輪郭が、手元に見えてきます。
8. よくある質問
制作の経験がまだ少なくても確認の仕事は受けられますか
書き手の見立てでは、受けられる余地があります。確認の仕事は、確かめる項目を発注側と先にそろえておけるからです。制作の経験より、項目に沿って一つずつ見て、気づいた点を一覧にする丁寧さが、成果物の中身に出ます。
ただし、項目に無い範囲まで判断を求められたときは、自分で答えを出さず、クライアントや専門家に確認してもらう流れを決めておきます。最初の範囲づけを、メールの短い文面でそろえておくと、行き違いが減ります。
土日だけで受けられる仕事はありますか
これも書き手の見立てですが、公開日の前に区切れる確認は、日程を決めやすい仕事です。ページが手元に渡る日と、指摘を返す日を決めておけば、平日の連絡を待たずに、土日に確かめる形をつくれます。
一方、制作者への指示出しや進行の調整は、相手が動く時間に合わせる仕事です。土日だけで受けたいときは、確認の仕事を軸に、渡す日を先に合意してから受けるのが現実的です。
本業のクライアントと同じ業界の副業を受けるときに確かめることは何ですか
書き手の見立てとして、確かめたいのは二つあります。一つは、本業先との契約書や社内の規程に、副業の扱いが書かれているかどうかです。書かれている内容は本業先ごとに違うので、受ける前に自分の手元の書類で確かめます。
もう一つは、秘密保持の範囲です。同じ業界の副業では、本業で知った情報と副業で見る情報が近くなりやすいため、どこまでを持ち込まず、持ち出さないかを先に整理しておきます。判断に迷うときは、本業先や専門家に確認します。
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Remoguは、株式会社LASSICが運営するITエンジニア・デザイナー専門のリモートワーク案件紹介サービスです。フルリモート・ハイブリッドの案件から、スキルに合うものを探せます。
Webディレクターの副業は、連絡の窓口を持つ仕事より、表示の確認のように区切れる仕事から始めると本業と並べやすくなります。リモートで受けられるWebディレクターの案件から探してみてください。
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※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 消費者庁「事例でわかる景品表示法」(2026年3月・2026年10月確認)
*2 デジタル庁「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」(2025年10月16日・2026年10月確認)
*3 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(2024年・2026年10月確認)
*4 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法 Q&A」(2026年・2026年10月確認)