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    【Salesforce Marketing Cloud】副業の配信設定で決める3つの条件

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    午前の机で、無地の封筒3通の真ん中に水色の丸シールを貼る指

    📘 この記事でわかること

    • 通信販売の電子メール広告が承諾した相手にだけ送る原則であることと、承諾の記録を3年間保存する決まり
    • 総務省が送信ドメイン認証技術をなりすまし対策に挙げていることと、広告配信で得た反応データを委託先が自社のために使えない扱い
    • 副業で配信の設定を受ける前に、同意の記録・送信ドメイン・反応データの3点を委託元と決める手順

    Salesforce Marketing Cloudの副業の初回打ち合わせで、「配信リストはこちらで用意したので、明日の朝に送れるようにしてください」と頼まれました。設定に入ろうとして、そのリストの同意をいつ、どこで取ったのかを尋ねたところ、その場の誰も答えられません。外から業務委託で入った自分が、同意の無い相手への送信まで責任を負うのではないか。その不安は、設定の腕前では消えません。Marketing Cloudの副業は、設定の前に、同意とデータの持ち主を確かめます。

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    1. Marketing Cloudの副業で迷いやすい点

    設定の腕前と、配信の責任は別の話

    本業でMarketing Cloudのメール配信や顧客データの連携を触っていれば、ジャーニーの組み直しも配信の設定も、手が動く仕事です。副業の相談が来たとき、迷いはそこにはありません。迷うのは、配信先のリストが誰のもので、その人たちから送ってよいという承諾を誰が、どう取ったのかという点です。

    本業なら、同意の管理は社内の別の部署が持っていて、配信を担当する側は渡されたリストを前提に動けます。副業では、その前提が見えません。委託元がリストを用意したと言っても、承諾の記録がどこにあるのかを、設定を受ける側が確かめる手段を持っているとは限りません。これは書き手の見立てです。

    委託元が持つものと、副業者が触るもの

    そこで、配信まわりの仕事を2つに分けて考えます。配信の同意、顧客データ、送信に使うドメインは、委託元の事業が持っているものです。配信の設定、ジャーニーの組み立て、データ連携の設定は、副業で触る作業です。この線引きは書き手の整理で、法令や契約が定めたものではありません。

    図1:配信まわりの持ち主と作業の分け方
    委託元が持つもの 副業者が触るもの 配信の同意 顧客データ 送信ドメイン 配信の設定 ジャーニー データ連携の設定

    図の作成:Remogu編集部。配信まわりの仕事を整理したもので、統計データではありません

    左の列が決まっていないまま右の列に手を付けると、設定は終わっても、送ってよい相手かどうかは誰も確かめていない状態になります。まず、左の列の1つ目にあたる承諾の原則から、法令の側の説明を見ていきます。

    2. 電子メール広告は「承諾した相手にだけ」が原則

    特定商取引法の通信販売での説明

    ここで扱うのは、特定商取引法の通信販売における電子メール広告の話です。消費者庁の特定商取引法ガイドは、消費者があらかじめ承諾しない限り、事業者が電子メール広告を送信することを原則禁止していると説明しています(オプトイン規制)1。承諾を取った相手にだけ送るのが出発点で、リストに載っているから送ってよい、という扱いではありません。

    ただし、この説明は通信販売の電子メール広告が対象です。BtoBの配信や、通信販売ではないお知らせのメールにそのまま当てはまるとは限りません。副業で受ける配信がどちらにあたるのかは、委託元に尋ねて確かめる点です。別の法律である特定電子メール法の中身は、この記事では扱いません。

    対象の広がりと、記録の保存

    同じガイドは、このオプトイン規制の対象を、通信販売事業者(販売業者又は役務提供事業者)だけにとどめていません。通信販売電子メール広告受託事業者も対象になると説明しています1。規制は、販売する側だけの話ではありません。

    とはいえ、配信の設定を手伝う副業のエンジニアがこの受託事業者にあたるかどうかは、この資料からは分かりません。契約の形しだいで、読み方が変わります。そのため、副業を受ける前に、自分の立場がどの呼び方にあたるのかを委託元と確かめておきたいところです。

    もう1点、記録の決まりがあります。消費者から承諾や請求を受けた場合は、最後に電子メール広告を送信した日から3年間、その承諾や請求があった記録を保存することが必要だと説明されています1。この記録を残すのは事業者の側です。副業の設定作業の側が保存の義務を負うと読む根拠は、この資料にはありません。

    ガイドの説明を3項目に並べる

    消費者庁のガイドの説明は、原則、対象、記録の3項目に分けて読むと見通しがつきます。承諾の前提が原則禁止であること、販売する側に限らず受託事業者も対象に入ること、承諾や請求の記録を送信日から3年間残すことの3つです。副業で配信の設定を受けるなら、承諾の記録がどこにあるのかを最初に尋ねる理由は、この3項目の最後にあります。

    項目消費者庁の説明
    原則消費者があらかじめ承諾しない限り、電子メール広告の送信を原則禁止1
    対象通信販売事業者だけでなく、通信販売電子メール広告受託事業者も対象1
    記録承諾や請求の記録を、最後に送信した日から3年間保存1

    承諾の原則を押さえたところで、次に、送信する側のメールが本物であることを示す仕組みを見ます。

    3. なりすまし対策として挙げられている送信ドメイン認証

    オフィスのカウンターに置かれた木の仕分け棚に無地の封筒が整然と並ぶ

    総務省の迷惑メール対策の中での位置づけ

    総務省は迷惑メール対策の技術的解決策として、なりすましメールを防止するための送信ドメイン認証技術を挙げています2。名前としてはSPF・DKIM・DMARCなどが知られていますが、この記事では仕組みや設定の手順には立ち入りません。総務省が並べる技術的対策の例の1つとして、位置づけだけを確かめます。

    これを唯一の対策として書く資料ではなく、これを設定しておけばよいと読める資料でもありません。副業で配信の設定を受けるとき、送信ドメイン認証の話が出てきたら、迷惑メール対策の中の1つの技術として扱います。

    図2:迷惑メール対策の中の送信ドメイン認証技術
    迷惑メール対策 技術的解決策 なりすましの防止 送信ドメイン認証技術 設定状況を公表

    図の作成:Remogu編集部。総務省の迷惑メール対策のページを整理したもので、統計データではありません

    設定状況の公表と、副業での判断の所在

    総務省はもう1点、JPドメイン名を対象にした調査をもとに、送信ドメイン認証技術の設定状況の結果を種別ごとに取りまとめて公表しています2。公表されているという事実はここまでで、設定率の数字はこの記事では取り上げません。

    では、副業の現場ではどうなるでしょうか。送信に使うドメインのDNSを変えるには、そのドメインを管理している人の判断が要ります。これは書き手の見立てですが、副業で入った側が自分の判断で触る場所ではなく、委託元の管理者と相談して進める場所だと考えるのが安全です。

    つまり、送信ドメインの設定は、配信の設定とは別の判断になります。設定作業を受ける前に、誰がその判断をするのか、変更が必要になったら誰に頼むのかを決めておくと、作業の途中で止まりません。

    送信する側の準備を見たところで、次は、配信で集まった反応のデータは誰のものなのかを確かめます。

    4. 配信で得た反応データは誰のものか

    委託された範囲の中でだけ取り扱う

    個人情報保護委員会のQ&Aは、委託先は委託に伴って委託元から提供された個人データを、委託された業務の範囲内でのみ取り扱わなければならないとしています3。顧客の一覧やメールアドレスを預かって配信の設定をする作業は、まさにこの場面にあたり得ます。

    副業のエンジニアが個人情報保護法上の委託先にあたるかどうかは、契約と取扱いの実態しだいです。どの場合も委託先になる、とは言えません。ただ、データを預かる立場で作業するなら、この範囲の考え方を前提に動くのが堅実です。個人情報保護法の委託先の監督については、別の記事で一般論を整理しています。

    配信で取得した本人の反応の扱い

    同じQ&Aは、個人データの取扱いの委託を受けた者について、その個人データを利用して取得した個人データも、委託された業務以外には取り扱えないとしています。広告に対する本人の反応等の別の個人データを、委託先が自社のために利用することはできない、という整理です3。

    Q&Aの言葉は「本人の反応等」で、開封やクリックの数字そのものを指しているわけではありません。そのため、配信で集まった反応のデータを、副業者が自分のスキル資料や次の営業のための材料に使えるかどうかは、データの種類を確かめたうえで、委託元と取り決めておく点になります。

    下の表は、2つの場面を並べたものです。

    場面Q&Aの整理
    委託に伴って提供された個人データ委託された業務の範囲内でのみ取り扱う3
    広告に対する本人の反応等委託先が自社のために利用することはできない3

    ここで押さえるのは、データの持ち主が委託元にあるという向きです。この向きが分かれば、設定の前に取り決めておく項目が自然に見えてきます。

    5. 受ける前に決める3つの条件

    同意の記録と送信ドメイン

    ここから先は、前の4つの節を受けた書き手の見立てです。副業で配信の設定を受ける前に、委託元と3つの条件を決めておきます。1つ目は、同意の記録がどこにあり、設定を受ける側がどう確かめられるかです。承諾の記録を残すのは事業者の側ですから、場所と確認の方法を言葉にしてもらいます。

    2つ目は、送信ドメインの設定を誰が判断するかです。送信ドメイン認証技術はなりすまし対策の技術的な解決策に挙げられていますが2、DNSの変更は、ドメインを管理している人の判断が要ります。変更が必要になったときの連絡先を、初回の打ち合わせで決めておくと、設定が途中で止まりません。

    反応データの扱いと作業後の消去

    3つ目は、配信で集まった反応のデータの扱いと、作業が終わったあとの消去です。委託先は委託された業務の範囲内でのみ個人データを取り扱う、という整理がQ&Aに示されています3。預かったデータを、作業が終わった手元にいつまで残すのかを、はっきり決めておきます。

    3つの条件は、どれも設定の腕前とは別の話です。反対に言えば、この3つが決まれば、設定そのものは、本業で触ってきた経験をそのまま使えます。

    図3:副業を受ける前に委託元と決める3点
    1 同意の記録の所在と確認の方法 2 送信ドメインの設定の判断者 3 反応データの扱いと作業後の消去

    図の作成:Remogu編集部。受ける前の確認事項を整理したもので、統計データではありません

    3つの条件が決まったら、次は契約と作業環境の側で何を確かめるかです。

    6. 契約と作業環境で確かめること

    机でノートパソコンの天板を閉じかけ、もう片手で書類にペンを添える

    権限と本番配信の線引き

    3つの条件を決めても、契約と作業環境が曖昧なら、現場で迷います。これも書き手の見立てで、資料に定めがあるものではありません。まず確かめたいのは、アカウントと権限がどう付与されるかです。副業で与えられる権限が配信の設定までなのか、本番配信の実行まで含むのかで、責任の線引きは変わります。

    とくに、本番配信の実行ボタンを誰が押すかは、早めに決めておく点です。設定は副業者が組み、押す判断は委託元が持つ形にしておくと、同意の確認と送信の判断が、同じ人の手の中にそろいます。

    テスト配信とデータの持ち出し

    次に、テスト配信の宛先です。検証のために送るメールが、実際の顧客に届く設定になっていないかを、作業の前に確かめます。宛先を社内のテスト用アドレスに限る取り決めがあれば、設定の確認を安心して進められます。

    データの持ち出しの禁止範囲も、文章にしておきます。顧客データをローカルに保存してよいか、画面の共有にどこまで映してよいか、作業ログをどう残すかは、契約の細部に表れます。秘密保持の範囲も、本業での立場との関係を含めて、書面で確かめます。

    確かめること例
    アカウントと権限付与のされ方と、本番配信まで触れる範囲
    本番配信の実行実行ボタンを誰が押すか
    テスト配信宛先が顧客に届かない設定か
    データの持ち出し保存と共有の禁止範囲
    作業ログ残し方と保管の期間
    秘密保持対象になる情報の範囲

    契約と環境の確認がそろえば、本業との並べ方を考える段階に入れます。

    7. 本業と並べるための受け方

    確認の順番を決めておく

    通信販売の電子メール広告には、承諾した相手にだけ送る原則があります1。送信ドメイン認証技術は、迷惑メール対策の技術的解決策に挙げられています2。委託先は委託された業務の範囲内でのみ個人データを取り扱います3。3つの資料に共通するのは、配信の同意、送信の仕組み、データの扱いの決定が、設定する側ではなく、事業を持つ側にあるという向きです。

    そのため、副業の受け方は、確認の順番として並べると動かしやすくなります。同意の記録を確かめ、送信ドメインの判断者を確かめ、データの扱いを合意してから、設定作業に入ります。本番配信を送る判断は、委託元が持ちます。この順番は書き手の整理で、資料が定めた手順ではありません。

    図4:受け方の順番
    1 同意の記録の確認 2 送信ドメインの確認 3 データの扱いの合意 4 設定作業 5 本番配信の判断は委託元

    図の作成:Remogu編集部。受け方を整理したもので、統計データではありません

    本業の合間に収まる形にする

    この順番には、本業と並べやすいという副次的な利点もあります。確認の4段階は、委託元とのやり取りと、設定の作業に分けられます。やり取りは本業の休憩や夜に、設定作業はまとまった時間に、と切り分けると、日々の予定に収めやすくなります。これも書き手の見立てです。

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    冒頭の打ち合わせの場面に戻ります。リストを渡されて、同意をいつどこで取ったのかを誰も答えられなかったとき、設定の手を止めて尋ねることは、仕事の遅れではなく、仕事の入口です。Marketing Cloudの副業は、設定の前に、同意とデータの持ち主を確かめます。

    8. よくある質問

    Marketing Cloud以外のMAツールの副業でも同じ考え方で受けられますか

    受けられます。同意とデータの持ち主を先に確かめる点は、ツールが変わっても同じです。ただし、権限の付与のされ方や本番配信の操作は、ツールごとに違います。契約と作業環境の確認は、ツールに合わせてやり直してください。これは書き手の見立てです。

    土日だけで受けられる仕事はありますか

    案件によって異なります。本番配信の時刻に立ち会わなくてよい設定や検証の作業は、区切りやすい部類です。反対に、配信の直前の確認が要る仕事は、平日の時間に寄ることがあります。本番配信の判断を委託元が持つ形にしておくと、土日の作業と切り分けやすくなります。これは書き手の見立てです。

    本業の顧客と同じ業界の配信を受けるときに確かめることは何ですか

    本業の契約や社内規程で、副業がどう扱われているかをまず確かめます。そのうえで、本業で知った情報を副業に持ち込まないための秘密保持の範囲を、委託元とも合意しておきます。同じ業界でも、顧客の一覧やデータは別の持ち主のものです。これは書き手の見立てで、個別の判断は契約書と社内の規程に従います。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 消費者庁「通信販売」(2025年6月1日・2026年10月確認)
    *2 総務省「迷惑メール対策」(2026年6月30日・2026年10月確認)
    *3 個人情報保護委員会「「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A」(2025年7月1日・2026年10月確認)