【フリーランスの賃貸審査】収入の証明に出す書類の違いと、引っ越す時期で変わる出し分け
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- 確定申告書の控え・納税証明書・所得証明書の3種類が、それぞれ何を示し、どこで手に入る書類なのか
- 令和8年度の証明書に載るのは令和7年の所得という1年のずれと、引っ越す月で手に入る書類が変わる仕組み
- 年の途中で引っ越したときの請求先と、提出前に提出先へ確かめる点、日程から逆算して書類を揃える順番
4月に内見を済ませ、気に入った部屋の申込書を開くと、「直近の収入を証明する書類」の欄がありました。業務委託で働くフリーランスには毎月の明細がないので、区役所で所得証明書を頼むと、窓口で「今年度の分は6月からです」と言われ、手元に出せるのは前の年度の数字だけだと気づきました。賃貸の審査で何を見るかは貸主・管理会社・保証会社がそれぞれ決めるもので、この記事で確かめられるのは書類の側の性質です。収入の書類は、何を出すかより、どの年の分がいつ出るかで決まります。
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1. 賃貸審査で収入の書類を求められる理由
毎月の明細がない働き方
業務委託で案件を受けるフリーランスには、毎月決まった日に届く明細がありません。報酬は案件ごとの契約と請求で動き、一年分の所得がまとまるのは、年が明けて確定申告をするときです。申込書の「直近の収入を証明する書類」の欄に何を添えるかで迷うのは、この働き方の構造から来ています。
そのため、収入を示す書類として手元に用意できるのは、税の手続きでできる書類です。自分で作る確定申告書の控えと、税務署や市区町村が出す証明書が、その候補に当たります。ただし、どれを提出するかを決めるのは、書類を受け取る側です。
基準は提出先ごとに決まる
入居の審査で何の書類を見て、どう判断するかは、貸主・管理会社・保証会社がそれぞれ決めています。判断の基準は公表されておらず、この記事で使った一次資料にも載っていません。そのため、この記事では「この書類なら大丈夫」とは書きません。書類そのものの性質、つまり何を示し、どの年の所得が載り、いつ手に入るかだけを扱います。
審査の窓口が、保証会社になる場合もあります。国土交通省の賃貸住宅標準契約書は、平成30年3月の改定で、家賃債務保証業者を利用した契約の増加等を踏まえて「家賃債務保証業者型」が作られました1。契約の形が複数あるため、書類を出す相手が貸主なのか、管理会社なのか、保証会社なのかは、申込みの案内で確かめます。
毎月の明細がない人が収入を示すときに使う書類は、大きく3種類に分かれます。
図の作成:Remogu編集部。書類の種類を整理したもので、統計データではありません
では、3種類はそれぞれ何を示す書類なのでしょうか。
2. 3種類の書類が示すもの
書類ごとの出どころと示す内容
3種類の違いは、だれが作る書類か、何を示す書類かの2点で整理できます。確定申告書の控えは自分で作った申告書の写し、納税証明書は税務署が出す書類、所得証明書は市区町村が出す書類です。同じ「収入の書類」でも、手に入る窓口が違います。
国税庁の案内では、納税証明書には種類があり、「その2」が所得金額の証明です2。確定申告書の控えについては、令和7年1月から、税務署が控えに収受日付印を押さない取扱いに変わりました3。所得証明書は、江東区の例では「課税・非課税証明書」という名前で、令和8年度の証明書に令和7年1月から12月分の所得が載ります4。
| 書類 | 出すところ | 示すもの | 押さえる点 |
|---|---|---|---|
| 確定申告書の控え | 自分で作った申告書の写し | 申告した内容 | 令和7年1月から、税務署は控えに収受日付印を押しません3 |
| 納税証明書(その2) | 税務署に交付請求 | 所得金額の証明 | 「その3」は未納の税額がないことの証明です2 |
| 所得証明書(課税証明書) | 市区町村(江東区の例では課税・非課税証明書) | 令和8年度の証明書は令和7年1月から12月分の所得(江東区の例) | 年度の数字と所得の年が1年ずれます4 |
納税証明書の「その3」は別の書類
納税証明書には「その3」もあり、こちらは未納の税額がないことの証明です2。所得金額を示す書類ではなく、収入の証明とは別物です。窓口で「納税証明書」とだけ求められたときは、所得金額の証明がほしいのか、未納の税額がないことの証明がほしいのかで、取る種類が変わります。
たとえば、収入を示す書類として納税証明書を求められたなら、名前の上では「その2」が該当します2。ただし、「その2」と「その3」のどちらを求めているかは、書類を受け取る側が決めることです。迷うときは、提出先にどの種類かを聞くのが近道です。
交付の手続きや手数料は、この記事では扱いません。ここで押さえたいのは、3種類は別々の窓口で手に入り、示す内容も違う、という一点です。次に、証明書に載る年がどう決まるかを見ます。
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3. 証明書に載る年は1年ずれる

年度の数字と所得の年
江東区の案内では、令和8年度の課税・非課税証明書は、令和7年1月から12月分の所得の証明書です4。証明書に「令和8年度」と書かれていても、載っているのは令和7年の所得です。年度の数字と所得の年が、1年ずれます。
所得の年から証明書までは、順に進みます。令和7年1月から12月の所得を、令和8年の確定申告で申告し、その所得をもとに令和8年度の証明書が出ます。
出典:江東区「令和8年度の住民税課税(非課税)証明書、納税証明書の発行開始日について」(2026年4月9日)をもとに作成(江東区の例)
冒頭の場面に戻ると、4月の時点で令和8年度の証明書が出ていなければ、手元に出せるのは前の年度の証明書です。そこに載っているのは、さらに1年前の所得です。申込書の「直近」という言葉と、証明書に載る年は、同じ年を指すとは限りません。
江東区の例として読む
ここで示した年の対応は、江東区の案内に書かれた例です。ほかの市区町村の案内は、この記事では確かめていません。証明書を取る市区町村の案内で、年度と所得の年の対応を確かめてから、書類を選びます。
では、引っ越す月によって、手に入る書類はどう変わるのでしょうか。
4. 引っ越す月で変わる手に入る書類
時期ごとの目安
手に入る最新の書類は、引っ越しを予定する月によって変わります。前の年分の確定申告をする前は、その申告書の控えも納税証明書も手元にありません。新しい年度の所得証明書も、年度が替わってすぐには出ません。
次の表は目安です。国税庁の案内では、確定申告期は納税証明書の発行までに特に時間がかかることがあります3。所得証明書は、江東区の令和8年度の例で、個人で納付する普通徴収の人の窓口・郵送の発行開始日が6月8日です4。
| 引っ越す時期 | 手に入る最新の書類の目安 | 添える情報 |
|---|---|---|
| 1〜2月(前の年分の確定申告の前) | 前の年分の申告書の控えと納税証明書はまだありません。所得証明書は前の年度の分です | 前の年度の証明書には、その1年前の所得が載ります |
| 確定申告の直後〜6月上旬 | 申告書の控えと納税証明書は申告後に用意できます。所得証明書は前の年度の分です | 確定申告期は、納税証明書の発行までに特に時間がかかることがあります3 |
| 6月以降 | 新しい年度の所得証明書が手に入ります | 江東区の令和8年度の例では、個人で納付する人の窓口・郵送の発行開始日は6月8日です4 |
江東区の発行開始日の読み方
6月8日は、江東区の令和8年度の証明書で、個人で納付する普通徴収の人が窓口か郵送で請求するときの発行開始日です4。江東区の案内では、納付の方法によって発行開始日が異なると書かれています4。全員が6月8日から取れる、という日付ではありません。
一方、国税の納税証明書と住民税の証明書は、別の書類です。6月8日は江東区の住民税の証明書の日付で、国税の納税証明書の発行日とは関係がありません。日付を混ぜると、引っ越しの日程を組み違えます。
そのため、自分がどの納め方に当たるのか、証明書を取る市区町村の発行開始日がいつなのかを、先に市区町村の案内か窓口で確かめます。日付は自治体で異なり、江東区の日付は例にすぎません。次は、年の途中で引っ越していたときの請求先です。
5. 年の途中で引っ越したときの請求先
請求先を決める1月1日の住所
江東区の案内では、令和8年1月2日以降に江東区へ転入した人は、1月1日時点の住所地の区市町村へ証明書を請求するよう求めています4。令和8年度の証明書を取るなら、いま住んでいる区ではなく、令和8年1月1日に住んでいた区市町村が窓口です。
たとえば、1月1日にA市に住み、その後B区へ転入した人は、所得証明書をA市に請求します。引っ越しの前後で市区町村が変わっても、請求先は前の住所地に残ります。
図の作成:Remogu編集部。江東区の案内を例に整理したもので、A市・B区は例として置いた名前です
請求の手順は市区町村ごとに確かめる
郵送での請求の手順は、この記事では扱いません。ここで示した1月1日の扱いも、江東区の案内に書かれた例です。ほかの市区町村では、請求先や窓口の案内が違う場合に備えて、請求する市区町村の案内で確かめます。
一方、申込みの日程が迫っているときは、いまの住所と1月1日の住所が同じかどうかを先に思い出します。同じなら窓口はいまの市区町村で、違うなら前の住所地です。次は、提出する前に提出先へ聞いておく点です。
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6. 提出の前に確かめること

提出先に聞く項目と聞き方の例
入居の審査で求められる書類は、貸主・管理会社・保証会社ごとに違います。そのため、書類を取り寄せる前に、提出先へ聞いておくと無駄が出ません。聞く内容は、書類の種類、何年分か、写しか原本か、控えの体裁、マイナンバーの欄、発行までの日数の6点です。いずれも提出先の判断なので、この記事では答えを決めません。
| 確かめること | 聞き方の例 |
|---|---|
| どの書類で足りるか | 確定申告書の控え・納税証明書・所得証明書のうち、どれを出せばよいですか |
| 何年分か | どの年の所得の分を求めていますか |
| 写しか原本か | 写しでかまいませんか。原本が必要ですか |
| 控えの日付印 | 令和7年1月から税務署は控えに収受日付印を押さない取扱いですが、日付印の無い控えを受け付けますか3 |
| マイナンバーの欄 | 控えに番号の欄がある場合、隠してから出してよいですか |
| 発行までの日数 | 証明書の提出はいつまでですか |
日程に響く項目の優先順位
6点のうち、日程に響くのは、書類の種類と、提出の期限です。納税証明書は、国税庁の案内によると、確定申告期に発行までに特に時間がかかることがあります3。期限が近いときは、請求の順番を提出先に相談しておくと動きやすくなります。
控えの日付印は、令和7年1月から税務署が押さない取扱いに変わっています3。日付印が無いのは、押さない取扱いに変わったためです。受け付けるかどうかは、提出先に確かめます。
次は、ここまでの内容を引っ越しの日程に当てはめて、書類を揃える順番に直します。
7. 引っ越しの日程から逆算して揃える
書類を揃える順番
逆算の起点は、引っ越す月です。引っ越す月を決めたら、その月に手に入る最新の書類を確かめます。次に1月1日の住所地を確かめ、提出先に書類の種類を確かめてから、請求します。
図の作成:Remogu編集部。確かめる順番を整理したもので、統計データではありません
請求を最後に置くのは、請求先と日付が分かる前に動くと、書類を取り直す場面が出るためです。種類と年が決まってから請求すれば、窓口や郵送の手配が日程に収まるかを、先に見通せます。
独立して最初の確定申告の前
独立して最初の確定申告の前は、税の書類で独立後の収入を示せない時期があります。申告書の控えも納税証明書も、申告をしたあとに用意できる書類だからです。この時期に何で代えるかは、この記事の資料には書かれていません。提出先に聞きます。
申込書の欄を前に迷った4月の場面も、整理すれば道筋は決まっています。Remogu(株式会社LASSIC運営)は、リモートワーク案件特化のエンジニアマッチングで、案件の90%以上がフルリモート可能です。引っ越し先が決まったら、場所に縛られずに参画できる案件も、あわせて見てみてください。
収入の書類は、何を出すかより、どの年の分がいつ出るかで決まります。書類の名前で迷ったら、引っ越す月から逆算して、その月に手に入る最新の書類を確かめるところから始めます。
8. よくある質問
確定申告書の控えに税務署の日付印が無いのですが、そのまま出せますか
国税庁は、令和7年1月から、申告書等の控えに収受日付印を押さないこととしました3。日付印が無いのは、押さない取扱いに変わったためです。そのまま出せるかどうかは、提出先の判断です。受け付けるかを、提出先に確かめます。
納税証明書と所得証明書は、どちらを出せばよいですか
示すものと出すところが違います。納税証明書の「その2」は所得金額の証明で、税務署に交付請求します2。所得証明書は市区町村が出す書類で、江東区の例では、令和8年度の証明書に令和7年1月から12月分の所得が載ります4。
どちらを求めるかは、提出先次第です。書類の名前だけで決めず、提出先に聞いてから請求します。
独立して1年目で、まだ確定申告をしていません。何を用意すればよいですか
確定申告をする前は、申告書の控えも納税証明書もまだありません。そのため、代わりに何を出せるかを、提出先に確かめます。契約書や請求書で足りるかどうかは、この記事の資料からは言えません。提出先の答えに従って、用意するものを決めます。
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出典・参考情報
*1 国土交通省「賃貸住宅標準契約書」(2024年12月・2026年10月確認)
*2 国税庁「納税証明書の交付請求手続」(2026年・2026年10月確認)
*3 国税庁「令和7年1月からの申告書等の控えへの収受日付印の押なつについて」(2024年12月16日・2026年10月確認)
*4 江東区「令和8年度の住民税課税(非課税)証明書、納税証明書の発行開始日について」(2026年4月9日・2026年10月確認)