UiPathのフリーランス案件はロボットを直すか止めるか?延命と廃止の判断基準
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- UiPathのロボットが止まる、または要らなくなる3つのきっかけと、製品のサポートが届かない範囲
- 自治体向けの資料から見える、導入が広がったあとに残る課題と、延命か廃止かを分ける5つの観点
- 見直しの場面で外部の経験者に頼まれる仕事の形と、受ける前に発注元と決めておく範囲
打ち合わせで「このロボット、最近よく止まるので直していただけますか」と頼まれ、画面を共有していただきました。ところが話を聞くと、ロボットが操作している業務システムは来年入れ替わる予定だといいます。新しくロボットを作る仕事は一巡し、UiPathのフリーランス案件は古いロボットの後始末ばかりになるのではと迷う方にとって、身近な場面ではないでしょうか。直す前に、そのロボットを続けるかどうかを決めます。この一言が、業務委託で入るUiPath案件の仕事を分けます。
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1. UiPathのロボットが止まる・要らなくなるきっかけ
意図せず取りやめになる例
総務省が自治体向けにまとめた「自治体におけるRPA導入ガイドブック」(2025年7月)は、総務省の調査結果にあった事例を挙げています。自治体が意図せずRPAを取りやめた例の1つが、自動化していた処理が基幹系システムに実装された場合です。導入して数年でそのRPAが不要になり、費用対効果も悪くなったと紹介されています1。
ただし、これは自治体の事例の1つで、何団体で起きたかは示されていません。民間企業のUiPath案件に当てはめて、頻度を語る材料にはなりません。ここでは、ロボットの寿命は作った時点で決まらず、周りのシステムの動きで要らなくなることがある、という見方の入口として使います。
ここから先は書き手の見立てです。ロボットは画面や項目を操作して動くため、操作先のシステムが改修や入れ替えで変わると、同じ手順では動かなくなる場合があります。止まる原因がロボットの外にあるなら、ロボットだけを見ていても答えは出ません。
ロボットの寿命を分ける3つのきっかけ
きっかけは、書き手の整理では3つに分けられます。1つ目は操作先のシステムの改修や更改、2つ目は自動化していた処理が業務システム側に実装されること、3つ目は効果が下がることです。このうち2つ目が、先ほどのガイドブックの例に当たります1。
図の作成:Remogu編集部。総務省のガイドブックの事例と書き手の見立てを整理したもので、統計データではありません
1つ目と2つ目は、ロボットを直しても解決しません。操作先が変わる前に直しても、変わったあとにまた直すことになり、処理が業務システムに移れば直す対象そのものが消えるためです。3つ目の効果の低下は、ロボットが動いていても起こります。止まったかどうかだけで判断すると、動いているのに見合わないロボットを見落とします。
では、止まったロボットを直す費用や手間は、だれが受け持つのでしょうか。次の節で、製品のサポートがどこまで届くかを見ます。
2. 製品のサポートが届かないところ
製品標準のサポートの位置づけ
総務省が自治体向けにまとめたガイドブックには、RPAツールの製品標準のサポートについての説明があります。UiPathで保守を請け負う立場から見ると、止まったロボットの相談先をどこまで頼れるかに関わる話です。
ただし、これはRPAツール一般の説明で、UiPathのサポート内容を述べたものではありません。UiPathの製品ごとのサポートの条件は、この資料には書かれていないため、この記事では扱いません。
サポートの範囲と中身
ガイドブックの説明を3つの区分に並べたのが表1です。製品標準のサポートに含まれるのは、製品自体の不具合や問合せへの対応です。一方、シナリオの作成がうまくできないときや、業務システムの改修などでシナリオが動作しなくなったときの支援は、対象外になっていることが多いと説明しています。製品によっては、別途有償のサポートメニューが用意されているとも述べています1。
| サポートの範囲 | 中身 |
|---|---|
| 製品標準に含まれる | 製品自体の不具合や問合せへの対応 |
| 対象外になっていることが多い | シナリオの作成がうまくできないときの支援/業務システムの改修などでシナリオが動作しなくなったときの支援 |
| 製品によっては別途有償 | 別途用意されているサポートメニュー |
止まったロボットを直す側
資料から言えるのは、業務システムの改修などで動かなくなったロボットの支援が、製品標準の外になっていることが多い、というところまでです1。 そのため、動かなくなったロボットを直すのは、ロボットを持つ側の仕事になります。
ここから先は書き手の見立てです。ロボットを作った人がいなくなった場合や、保守に手が回っていない場合には、シナリオを読んで直せる外部の経験者に声がかかる余地があります。UiPathでロボットを作り、運用した経験は、その場面で判断の材料になります。
ただ、直せる人がいても、直すべきロボットかどうかは別の問題です。次の節では、ロボットの数が増えた先で何が起きるかを、自治体の調査から見ます。
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3. 導入が広がったあとに残る、技術を理解する難しさ

自治体で広がるRPAの導入
総務省の調査(令和6年12月31日現在)では、都道府県・指定都市を除くその他の市区町村のうち、RPAの導入済みは43%でした。実証中・導入予定・導入検討中を含めると、約63%がRPAの導入に向けて取り組んでいます2。
この割合は自治体の団体数に対するものです。動いているロボットの数や、民間企業の導入率を示すものではありません。導入済みの43%と、取り組み中を加えた約63%は、重ならない別々の数ではなく、後者が前者を含む関係にあります。
出典:総務省「地方自治体におけるAI・RPAの実証実験・導入状況等調査」(2025年6月30日)をもとに作成。自治体の団体数の割合で、ロボットの数ではありません
書き手の見立てでは、導入済みの団体にはロボットが動き続けており、その外側にも導入へ進む団体があります。導入が広がるほど、動き続けるロボットを見直す場面も増えると考えられます。民間企業でも、基幹システムを更改するときには、操作先が変わるロボットの見直しが起きうると見ています。
技術を理解する難しさの増加
同じ総務省の調査の概要には、導入に向けた課題を自治体の類型別に経年で比べた結果もあります。都道府県とその他の市区町村では、「RPAの技術を理解することが難しい」との回答が、令和4年度から令和6年度の3年間の調査で一貫して増加しています2。
ただし、これは導入に向けた課題への回答で、導入済みの団体が運用で感じている課題ではありません。保守を請け負う仕事の需要を、この結果から読み取れるわけでもありません。
それでも、技術を理解する難しさが増しているなら、ロボットの動き方を読み、判断の材料を作れる人の出番はあると書き手は見ています。作る仕事が一巡したあとも、動き続けるロボットをどうするかを考える場面は残ります。では、続けるか止めるかは、どう決めるのでしょうか。
4. 延命か廃止かを決める判断基準
資料が示す運用ルールの例
総務省のガイドブックは、運用ルールの例を2つ示しています。1つは、RPAの利用状況や効果を集約して改善策を検討し、効果が著しく低い場合は廃止の判断もありうる、というものです1。
もう1つは、システム改修や更改を行うときや、外部システムの仕様変更を把握したときに、管理台帳を使ってRPAへの影響を評価する、というものです1。 どちらも自治体向けの例示で、廃止を第一の選択肢として示したものではありません。
民間企業の案件に当てはめるなら、書き手の見立てとして、この2つは「効果を見る」と「周りの変更を見る」という見直しの入口になります。
延命と廃止・移管を分ける5つの観点
表2は、延命か廃止・移管かを考えるときの5つの観点を並べた書き手の整理で、総務省の資料が示した基準ではありません。効果の大きさ、操作先のシステムの変更予定、処理を業務システム側へ移す予定の3つは、2つの運用ルールの例とつながります。直せる人の有無と、止まったときに手作業へ戻せるかは、保守を請け負う側から見た観点として加えました。
| 観点 | 延命に傾く場合 | 廃止・移管に傾く場合 |
|---|---|---|
| 効果の大きさ | 手作業に戻すと負担が大きく、効果がはっきりしている | 効果が小さく、直す手間のほうが重い |
| 操作先のシステムの変更予定 | 当面変わる予定がない | 近く改修や入れ替えが決まっている |
| 処理を業務システム側へ移す予定 | 移す予定がない | 業務システム側に同じ処理が実装される予定がある |
| 直せる人の有無 | 直せる人がいる、または頼める先がある | 直せる人がおらず、頼める先も見つからない |
| 止まったときに手作業へ戻せるか | 戻す手順がなく、止めると業務がすぐ滞る | 手順が残っていて、手作業へ戻せる |
5つの観点が、すべて同じ側に傾くとは限りません。たとえば効果は大きいのに、操作先が来年入れ替わる場合は、延命に傾く観点と廃止・移管に傾く観点が同時に出ます。そのときは、延命しながら移管の準備を並べて進める道もあります。
判断を下すのは発注元です。観点ごとに状況を整理した表があれば、発注元との協議は進めやすくなります。では、その整理を作る仕事は、どんな形で頼まれるのでしょうか。
5. 見直しで外部に頼まれる仕事の形
資料が示す保守体制の推奨
総務省のガイドブックは、特定の人しかメンテナンスできない属人化を解消するため、全庁的な保守体制の整備や、必要に応じて事業者への保守作業依頼を検討しておくことが望ましい、としています1。 自治体の職員に向けた推奨で、保守を外部に頼む選択肢があることを示した文言です。
ただし、ここでいう事業者は、個人で業務委託を受けるフリーランスを指すとは限りません。外部への依頼が増えているという裏づけも、この資料にはありません。資料から言えるのは、保守を外部に頼む道が、運用の備えとして示されているところまでです。
そこから先は書き手の見立てです。保守を頼まれる場面があるなら、ロボットを直す作業だけでなく、続けるか止めるかを決める前の整理も、外部の経験者に頼まれる仕事になりえます。
仕事の形と、手元に残る成果物
見直しの場面で頼まれうる仕事を、書き手の整理では4つの形に分けられます。棚卸し、影響の評価、改修、廃止・移管です。形が違えば、発注元に渡す成果物も変わります。
図の作成:Remogu編集部。書き手の整理で、総務省の資料が示した区分ではなく、統計データでもありません
棚卸しでは、動いているロボットを一覧にして、何を操作しているかをそろえます。影響の評価では、操作先の変更予定とロボットの手順を突き合わせ、どこが動かなくなりうるかを表にします。総務省のガイドブックが、改修や更改のときに管理台帳で影響を評価するとしているのは、この評価に近い作業です1。
改修は、直したロボットに、直した理由と手順を残す仕事です。廃止・移管は、止める手順と、業務システム側へ移したい処理の要望をまとめる仕事になります。どの形でも、最後に残るのは作業の記録ではなく、発注元が次の判断に使える成果物です。
形によって変わる関わり方
棚卸しや影響の評価は、ロボットを直す前に頼まれる仕事です。たとえば、操作先の入れ替えが決まっている案件では、改修に入る前に影響の評価だけを区切って受ける形が考えられます。直す範囲が広がる前に、判断の材料を先にそろえられるためです。
一方、改修や廃止・移管は、発注元の判断が出たあとに動く仕事です。どの形から入るかで、契約の区切りも変わります。次の節では、こうした仕事にUiPathの経験がどう生きるかを見ます。
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6. UiPathでロボットを作った経験が生きるところ

経験と見直しの場面の対応
ロボットを作る仕事が一巡したと感じる方でも、作る過程で身につけた経験は、見直しの場面で形を変えて使えます。表3は、UiPathでロボットを作った経験と、見直しで生きる場面の対応を並べた書き手の整理です。総務省の資料が示したものではなく、仕事の進め方から考えた見立てです。
| 経験 | 見直しで生きる場面 |
|---|---|
| 例外処理を書いた経験 | 止まり方の読み取り |
| 画面の要素の指定を直した経験 | 操作先の変更の影響の見積もり |
| 業務担当者と手順をすり合わせた経験 | 手作業へ戻す手順の整理 |
| 複数のロボットを運用した経験 | 棚卸しと優先順位づけ |
例外処理を書いた経験があると、ロボットがどこで止まったかのログから、原因が操作先の変更なのか、データの違いなのかを読み分けやすくなります。画面の要素の指定を直した経験は、操作先の画面が変わるときに、どのロボットのどの指定が影響を受けるかを見積もる場面で使えます。
業務担当者と手順をすり合わせた経験は、止めるときに手作業へ戻す手順を整理する場面に重なります。複数のロボットを運用した経験は、棚卸しで何から手をつけるかを決めるときの拠りどころです。どれも、新しく作る場面とは別の仕事で使われます。
作る仕事が一巡したあとに残るもの
書き手の見立てでは、作る仕事が一巡しても、動き続けるロボットを続けるか止めるかを見極める仕事は残ります。操作先のシステムが変わる限り、見直しの場面は繰り返し訪れるためです。この仕事は、ロボットを作った経験がある人ほど、判断の材料を具体的に作れます。
ただし、そうした仕事がどれだけ続くかは、資料からは分かりません。先細りになるかどうかを、ここで言い切ることはできません。言えるのは、作る経験が、見直しの場面でも別の形で使えるところまでです。では、そうした仕事を受けるとき、何を先に決めておけばよいのでしょうか。
7. 受ける前に決めておく範囲
発注元と決める4つのこと
見直しの仕事は、直す範囲が広がりやすい性質があります。ロボットを1つ直すと、同じ操作先を使う別のロボットにも影響が及ぶためです。受ける前に、4つのことを発注元と順に決めておきます。
図の作成:Remogu編集部。書き手の整理で、統計データではありません
最初に決めるのは、対象にするロボットの範囲です。1つのロボットを直すのか、同じ操作先を使うロボットをまとめて見るのかで、仕事の量が変わります。次に、続けるか止めるかを決める人を確かめます。判断が出ないまま作業だけが先に進むと、直したロボットが翌月に要らなくなる場面も起こりえます。
3つ目は、止めるときに手作業へ戻す段取りです。業務担当者が手順を知らないままロボットを止めると、業務が滞ります。最後に、成果物と契約の区切りを決めます。一覧や評価の表で終えるのか、改修まで含めるのかを、あらかじめ分けておくと、仕事が広がりすぎるのを防げます。
判断を下す側と、材料を作る側
続けるか止めるかを下すのは、発注元です。フリーランスは、その判断の材料を作る側に立ちます。材料とは、表2のような観点で整理した状況と、続ける場合と止める場合それぞれの見通しです。結論を決める立場ではないため、発注元と協議して決める形を、受ける前に確かめておきます。
Remogu(株式会社LASSIC運営)は、リモートワーク案件特化のエンジニアマッチングで、案件の90%以上がフルリモート可能です。リモートで進める前提でも、この4つは打ち合わせの場で先に決められます。まず登録して、自分の経験に近い案件の条件を確かめてみるのも、最初の一歩です。
冒頭の打ち合わせの場面に戻ります。ロボットが止まるので直してほしいと頼まれたとき、すぐに画面を開く必要はありません。直す前に、そのロボットを続けるかどうかを決めます。その問いを発注元と一緒に立てられることが、作る仕事が一巡したあとも、UiPathの経験を仕事につなげる入口になります。
8. よくある質問
UiPath以外のRPAツールの経験でも同じ考え方で受けられますか
書き手の見立てでは、受けられます。ロボットの寿命が操作先のシステムの変更で決まる点は、ツールが違っても変わらないためです。ただし、製品ごとの機能や画面の指定の方法は異なるので、使ったことのないツールのシナリオを読む場面では、事前に発注元と範囲を確かめておきます。
生成AIが広がるとRPAの仕事はなくなりますか
書き手の見立てでは、なくなると言い切れる材料はありません。仮にRPAの一部が別の仕組みに置き換わるとしても、置き換えるかどうかを決める判断の仕事は残ります。続けるか止めるかを決める点は、これまでの話と同じです。RPA経験者の進路は、RPA経験者の次の一手を整理した記事でも扱っています。
見直しの仕事はリモートで進められますか
案件によって異なります。先に確かめたいのは、操作先のシステムへの接続方法、検証できる環境の有無、画面を共有できるかの3つです。この3つが決まれば、棚卸しや影響の評価のように、画面と資料で進められる仕事は、リモートでも組み立てやすくなります。
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出典・参考情報
*1 総務省「自治体におけるRPA導入ガイドブック」(2025年7月・2026年10月確認)
*2 総務省「地方自治体におけるAI・RPAの実証実験・導入状況等調査」(2025年6月30日・2026年10月確認)