Intuneのフリーランス案件はリモートで進む?紛失時の遠隔消去と私物端末の判断基準
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- 端末管理の経験のうち、画面と文書で進む仕事と、現地や人の手が要る仕事の分け方と、外の仕事での生かし方
- 653社への調査から見える、端末の紛失への不安の大きさと、紛失対策を十分に実施している割合の開き
- 政府機関等の統一基準が端末に書いている内容と、民間の相手に端末管理を説明するときの物差しとしての使い方
リモートの打ち合わせで、相手の情シス担当者に「ノートPCを1台なくしたと連絡が来たら、消すのは誰の判断になりますか」と聞かれ、管理画面の操作なら答えられるのに、判断の順番は答えられませんでした。端末管理は現物の端末と利用者の対応が付きまとううえ、全端末を遠隔で消せるほどの権限を扱うので、外部のフリーランスがリモートで受けるのは難しいのではないか、と迷う人もいるはずです。先に言っておくと、Intuneの仕事は、遠隔で消せる力より、消すと決める手順を残すことです。
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1. Intuneの経験が外の仕事で生きる場面
画面と文書で進む仕事
端末管理の仕事は、すべてが現物の端末の前で起きるわけではありません。端末の登録をどう設計するか、どの状態の端末を社内の資料に近づけてよいかという準拠の基準、アプリの配布と制限、紛失したときの手順。これらは管理画面と文書で進む仕事で、場所を選びません。以下は書き手の見立てです。
そのため、Intuneを運用してきた経験のうち外の仕事で最も渡しやすいのは、操作の手順そのものより、設計の理由を文書にできる部分です。なぜその条件で端末を登録するのか、なぜその状態を準拠とみなすのか。相手の組織がすでに別の運用を持っていても、理由が書かれていれば議論の土台になります。
図の作成:Remogu編集部。端末管理の仕事を作業の進み方で分けたもので、統計データではありません
現地や人の手が要る仕事
一方で、初回のセットアップの立ち会い、端末の回収、利用者からの問い合わせへの一次対応は、現地や人の手が要ります。端末管理が「外からは受けにくい」と見られるのは、この部分が目に入りやすいからです。
ただし、人の手が要る仕事を自分で抱える必要はありません。相手の組織の情シスや別の担当に置き、自分は手順書とその確認を受け持つ形に分ければ、リモートで受けられる範囲が広がります。どこまでを自分の仕事にするかは案件ごとに違うため、参画前に確かめておく項目の一つになります。これも書き手の見立てです。
では、端末管理の現状は調査でどう見えているのでしょうか。
2. 調査に見る端末管理の現状
製品の利用状況と管理の実施状況
総務省の委託調査(2025年3月の報告書)は、回答した653社に、利用しているエンドポイント管理サービスを聞いています。Microsoft Intuneは90件(13.8%)で、製品名の選択肢の中では最も多い回答でした。一方、「エンドポイント管理サービスを利用していない・わからない」は224件(34.3%)で、製品名のどれよりも多い結果です1。
この13.8%は、回答した653社の中での割合です。市場全体のシェアを表す数字ではないため、Intuneの普及度を示すものとしては読みません。見たいのは、端末管理の仕組みを使っていない、あるいは使っているかどうかを把握していない回答が3割を超えている点です。
同じ調査では、「テレワークの利用者や利用端末の把握・管理」を十分に実施しているのは395件(60.5%)で、実施しているが不十分は195件(29.9%)でした1。把握はおよそ6割が十分と答えている一方、「テレワーク端末の紛失対策」を十分に実施しているのは217件(33.2%)、不十分が228件(34.9%)、実施していないが139件(21.3%)です1。
4つの結果を並べて見る
次の表は、前の項で挙げた結果を、設問ごとの割合と件数で並べたものです。製品の利用状況は回答した653社に聞いた設問で、端末の把握と紛失対策は、同じ653社に聞いた別の設問です。表の中の割合は、すべて653社に対するものとして読みます。
| 項目 | 結果 | 件数 |
|---|---|---|
| エンドポイント管理サービスでMicrosoft Intuneを利用(製品名の選択肢の中で最多) | 13.8% | 90件 |
| エンドポイント管理サービスを利用していない・わからない | 34.3% | 224件 |
| テレワークの利用者や利用端末の把握・管理を十分に実施 | 60.5% | 395件 |
| テレワーク端末の紛失対策を十分に実施 | 33.2% | 217件 |
出典:総務省「テレワークセキュリティに係る実態調査」(2025年3月)をもとに作成。回答した653社への調査です。
この表から、書き手は次のように読みます。把握は6割が十分と答えているのに、紛失対策を十分としているのは3割ほどです。端末を把握できていても、なくなったときに何をするかまでは決まっていない組織が一定数あるのではないか、という見立てです。利用していない・わからないが3割を超える点とあわせると、端末管理の導入や見直しを相談できる入口がある、という範囲までは言えます。案件の需要や件数の話は、この調査からは分かりません。
そして、課題として何が重く見られているのかも、同じ調査から読み取れます。
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3. いちばんの不安は端末の紛失

課題として最も挙がったのは紛失のリスク
同じ調査で、回答した653社に、セキュリティの確保に関して課題に感じる点を聞いています。最も多かったのは「情報端末の紛失に関するリスク」で315件(48.2%)、続いて「テレワーク時の機密情報の取り扱い」が295件(45.2%)でした1。
この数字は、紛失の件数や事故の件数ではなく、課題に感じている割合です。紛失が起きている頻度を示すものではないため、そこは分けて読みます。ただし、端末の扱いが、機密情報の取り扱いと並んで課題の上位にあることは、数字から確認できます。
出典:総務省「テレワークセキュリティに係る実態調査」(2025年3月)をもとに作成。回答した653社。課題に感じる点と紛失対策の実施状況は別の設問
把握と備えの開き
備えの側を見ると、紛失対策を十分に実施しているのは217件(33.2%)にとどまり、不十分が228件(34.9%)、実施していないが139件(21.3%)でした1。課題の1位に挙がった紛失について、十分と答えたのは3社に1社ほどです。
これを先ほどの把握・管理の数字と並べると、利用者や端末の把握を十分としたのは60.5%でした1。書き手は、端末は把握できていても、紛失したときの手が決まっていない組織があるのではないか、と見ています。これは調査の設問から直接言えることではなく、見立てです。
この開きを埋める仕事が、冒頭の問いに近いところにあります。遠隔でロックや消去ができるかどうかより、いつ、誰の判断で、何を記録して行うかが、手順として決まっているかどうかです。そのような手順の物差しを、国の基準はどう書いているのでしょうか。
4. 政府機関等の統一基準が端末に求めること
民間の義務ではない基準を、物差しとして使う
サイバーセキュリティ戦略本部の「政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一基準」は、国の行政機関などを対象にした基準です。民間企業に守る義務があるものではありません。また、Intuneや端末管理サービスの利用を求める記述でもありません。
それでも、この基準が端末についてどう書いているかは、民間の組織に端末管理の考え方を説明するときの参考になります。相手の組織に「基準にこう書かれています」と示せれば、自分の提案が思いつきでないことが伝わります。位置づけはあくまで物差しで、適用の話ではありません。
端末について書かれた3つの記述
統一基準は、端末について、情報システムセキュリティ責任者が利用を認めるソフトウェアを定め、それ以外は利用させないことを求めています2。機関等が支給した端末を機関等の外で使う場合には、盗難、紛失、不正プログラムの感染等による情報窃取を防ぐための技術的な措置を講ずる必要があると、目的・趣旨に書いています2。
さらに、支給されていない端末を業務で使う可能性がある場合は、利用できる機能の制限や追加のセキュリティ対策を施したうえで、機関等の厳格な管理の下で利用させることが必要だと、同じく目的・趣旨に書いています2。ここで書かれているのは必要な管理の方向で、支給以外の端末を使ってよいかどうかは、別の判断です。
次の表は、この3つの記述を、端末管理の仕事に読み替えたものです。右の列は書き手の見立てで、基準そのものの記述ではありません。特に、技術的な措置の中身を遠隔ロック・消去と暗号化の設定と読むのは、書き手の読み替えです。
| 区分 | 統一基準の記述 | 端末管理の仕事での読み替え(見立て) |
|---|---|---|
| 使うソフトウェア | 責任者が利用を認めるソフトウェアを定め、それ以外は利用させない | アプリの配布と制限の設計 |
| 外で使う支給端末 | 盗難、紛失、感染等による情報窃取を防ぐ技術的な措置が必要(目的・趣旨) | 遠隔ロック・消去と暗号化の設定 |
| 支給以外の端末 | 機能の制限と追加の対策を施し、厳格な管理の下で利用させることが必要(目的・趣旨) | 私物端末の扱いのルール |
出典:サイバーセキュリティ戦略本部「政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一基準」をもとに作成。対象は政府機関等で、民間企業の義務ではありません。
相手に説明するときの使い方
この読み替えを実際の場面に当てると、案件の初回の打ち合わせで「外に持ち出す端末の紛失対策は、どの水準を目指しますか」と尋ねる材料になります。基準の記述をそのまま要件にするのではなく、相手の組織が自分たちの水準を言葉にするための手がかりとして出す、という使い方です。
そして、基準に書かれていない部分は、相手の組織と決めるしかありません。たとえば、紛失の連絡を受けてから消去に進むまでの判断を誰が下すのか、という点です。その決め方を、次の節で見ていきます。
5. 遠隔ロックと消去は誰が決めるか
消去を実行する人と、決める人
冒頭の問いに戻ります。遠隔ロックと遠隔消去は、管理画面の操作としては数回の選択で済みます。ただ、消去は端末の中のデータを失わせる操作なので、実行の前に、誰かが「消す」と決めていなければなりません。操作ができることと、決める立場にあることは別です。
書き手の見立てでは、フリーランスが消去を自分の判断で実行する形は避けたいところです。承認者は相手の組織に置き、自分は承認を受けて実行し、その記録を残す側に回ります。この線引きは契約や運用の前提によって変わるため、参画前の打ち合わせで確かめておきます。
そのため、端末管理の設計を請け負うときの成果物は、設定そのものより、紛失の連絡から消去の承認までの流れを書いた手順書です。手順書があれば、担当が入れ替わっても、同じ順番で判断できます。
手順として渡す部分と、相手が決める部分
流れは、紛失の連絡を受け、本人と端末を確かめ、遠隔ロックをかけ、見つからなければ消去の承認を求め、承認を受けて実行し、記録と報告を残す、という順です。書き手が相手の組織に決めてもらいたいと考えるのは、このうち承認の1か所です。
図の作成:Remogu編集部。書き手の見立てで流れを整理したもので、統計データではありません
遠隔ロックは、端末を使えない状態にするだけで、中のデータは残ります。ロックで見つかる場合もあるため、消去の承認は、ロックのあとに置いています。ロックの時点で止めておけるかどうかも、手順に書いておきたい点です。
記録と報告は、実行した人が書きます。いつ連絡を受け、誰が承認し、何を実行したかが残っていれば、のちに相手の組織が経緯を説明するときの材料になります。次は、端末の区分ごとに、この判断の範囲がどう変わるかです。
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6. 私物端末と委託先の端末の扱い

端末の区分ごとに決める範囲
端末の区分によって、管理の方法と消去の範囲は変わります。統一基準は、機関等が支給していない端末を業務で使う可能性がある場合、利用できる機能の制限や追加のセキュリティ対策を施したうえで、機関等の厳格な管理の下で利用させることが必要だと、目的・趣旨に書いています2。対象は政府機関等ですが、区分ごとに管理の度合いを分ける考え方は、民間の相手に説明するときにも使えます。
次の表は、端末を支給端末、私物端末、委託先の端末の3つに分け、管理の方法の例と、決めておくことを並べたものです。管理の方法の例は書き手の見立てで、統一基準の記述ではありません。区分を分ける理由は、消去の範囲が端末全体なのか、業務のデータだけなのかが、区分によって変わるからです。
| 端末の区分 | 管理の方法の例 | 決めておくこと |
|---|---|---|
| 支給端末 | 端末ごとに登録して管理 | 消去の範囲は端末全体 |
| 私物端末 | アプリ単位の保護 | 消去の範囲は業務のデータだけ、本人の同意 |
| 委託先の端末(フリーランス自身の端末) | 相手の管理に登録するか、接続先を制限するか | 契約終了時の扱い |
表の作成:Remogu編集部。管理の方法の例は書き手の見立てで、統一基準の記述ではありません。
とくに私物端末は、端末全体を消すと、本人の私的なデータまで失わせるおそれがあります。そのため、業務のデータだけを対象にする範囲の決め方と、それについて本人の同意を取る手順を、先に決めておく必要があります。
自分の端末も、委託先の端末
端末管理を請け負う自分の端末も、相手の組織から見れば委託先の端末です。相手の端末を管理する側であっても、自分の端末は管理される側に入る場合があります。外部から参画する側が、どう自分の端末を守るかは、委託先を狙う攻撃と外部から参画する側のセキュリティ対策の記事で整理しています。
自分の端末を相手の管理に登録するのか、それとも接続できる先を絞るのかは、案件によって違います。どちらの形でも、契約が終わるときに、登録を外す手順と、端末に残った業務のデータの扱いを、あらかじめ決めておきます。
では、リモートで受ける前に、これらをどの順番で決めればよいのでしょうか。
7. リモートで受ける前に決めておくこと
決める5つと、その順番
書き手の見立てでは、決める順番は、任される権限の範囲、消去の承認者、作業の記録の残し方、自分の端末の扱い、現地作業の切り分け、です。最初に権限の範囲を決めるのは、あとの4つが、どこまでを自分が受け持つのかに左右されるからです。
図の作成:Remogu編集部。書き手の見立てで順番を整理したもので、統計データではありません
権限の範囲は、端末管理の画面でどこまで触れるかを、相手の組織と言葉にそろえて決めます。権限一般の読み方は、案件のセキュリティ権限はどこまで渡されるのかを整理した記事にまとめています。
権限が決まれば、消去の承認者と、記録の残し方が決まります。承認者の名前と連絡の手段、記録の置き場所までを、最初の打ち合わせで書き出しておけば、紛失の連絡が来たときに迷いません。自分の端末の扱いと現地作業の切り分けは、前の節で見たとおり、案件ごとに答えが違う部分です。
冒頭の問いに戻る
相手の情シス担当者に「消すのは誰の判断になりますか」と聞かれたとき、答えるのに必要なのは、管理画面の操作ではなく、承認者と順番を書いた手順でした。Intuneの仕事は、遠隔で消せる力より、消すと決める手順を残すことです。
この手順づくりは、管理画面と文書で進むため、場所を選びません。Remogu(株式会社LASSIC運営)は、リモートワーク案件特化のエンジニアマッチングで、案件の90%以上がフルリモート可能です。まずは登録して、自分の経験に合う条件を確かめてみてください。
8. よくある質問
Intune以外の端末管理の経験でも生きますか
生きると、書き手は見ています。端末の登録、準拠の基準、紛失時の手順という考え方は、使う製品が変わっても共通するためです。製品の画面は違っても、設計の理由を文書にできる経験は、そのまま渡せます。
現地でのセットアップが入る案件はリモートで受けられますか
案件によりますが、現地作業を相手の組織や別の担当に切り分ければ、受けられる場合があります。自分は手順書とその確認を受け持つ形です。どこまでを自分の仕事にするかは、参画前に確かめておく項目になります。
資格は必要ですか
書き手の見立てでは、資格の有無より、見せられる成果物のほうが伝わります。設計した基準や手順書のように、相手の組織が中身を読める形のものがあれば、経験の厚みは説明しやすくなります。
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Intuneの仕事は、遠隔で消せる力より、消すと決める手順を相手の組織に残すことで評価されます。情シスや端末管理のリモート案件から探してみてください。
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※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 総務省「テレワークセキュリティに係る実態調査」(2025年3月・2026年10月確認)
*2 サイバーセキュリティ戦略本部「政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一基準」(2026年9月14日・2026年10月確認)