フリーランスのガソリン代と車の経費の考え方|業務分の分け方と記録・消費税の扱いを整理
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- 私用と兼ねる車のガソリン代が家事関連費にあたる理由と、取引の記録に基づいて業務の分だけが必要経費になる条件
- 按分の基準として国税庁の資料が挙げる使用面積・使用時間・使用回数と、それを車に当てはめた分け方の見立て
- リモート中心で出向く場面が限られる働き方での移動の分類と、ガソリン代・車両本体・駐車場代それぞれの扱い
月に一度の客先での打ち合わせの帰り、ガソリンスタンドで満タンにして、レシートを財布にしまいました。「これは仕事の分」と思ったところで、タンクの中身には週末の買い物で走った分も入っていると気づき、レシートを見たまま手が止まります。同じ車で仕事にも私用にも走っているフリーランスは、ガソリン代をどこまで経費にしてよいのでしょうか。その答えは、国税庁の資料をたどると一つの言葉にまとまります。ガソリン代は、給油した日ではなく、走った目的で分けます。
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1. 家事関連費としてのガソリン代と、経費になる範囲
ガソリン代が挙がっている資料
この記事は、フリーランスとして事業を行っていて、同じ車を私用にも使っている場合を想定しています。所得の区分によって扱いが変わる部分は、確認した資料だけでは言えないので触れません。
国税庁の「白色申告者の決算の手引き(農業所得用)」は、電話・電気・水道などの料金や損害保険料と並べて、ガソリン代を家事関連費の例に挙げています1。農業所得者向けの冊子なので、エンジニアの申告にそのまま当てはまると言い切れる資料ではありません。それでも、ガソリン代が家事と事業の両方にまたがる費用の例として国税庁の資料に出てくる点は、考え方の入口になります。
手引きは、こうした費用を家事上の経費と事業上の経費に区分し、家事用として使用している部分は必要経費から除くとしています1。給油のレシートは1枚でも、その中身は仕事で走った分と私用で走った分に分かれるということです。
必要経費になる条件
家事関連費の一般的な扱いは、国税庁のタックスアンサーNo.2210にあります。必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合の、その区分できる金額に限られるとしています2。
この条件は、区分できない分は必要経費にならない、という向きで読むのが安全です。レシートが手元にあることと、業務で走った分を区分できることは別の話です。給油の記録に加えて、どの移動が業務だったかを後から説明できる材料が要ります。
家事関連費の一般論として、回線やスマホ端末の按分はフリーランスエンジニアの通信費は何割まで経費?家事按分の基準とスマホ端末の扱いの違いで扱っています。この記事では、車の話に絞って進めます。
所得税での扱いの整理
ここまでの資料の記述を、項目ごとに並べ直します。私用と兼ねる車のガソリン代は家事関連費にあたり、そのうち業務遂行上直接必要で明らかに区分できる部分だけが必要経費になります。家事用として使った部分は、必要経費から除く側に入ります。区分の根拠になるのは、取引の記録などです。給油のたびに残るレシートは、この記録の一部です。
| 項目 | 所得税での扱い |
|---|---|
| 私用と兼ねる車のガソリン代 | 家事関連費です1。 |
| 業務遂行上直接必要で、明らかに区分できる部分 | 必要経費になります2。 |
| 家事用として使った部分 | 必要経費から除きます1。 |
| 区分の条件 | 取引の記録などに基づいて区分できることです2。 |
では、その区分は何を物差しにすればよいのでしょうか。
2. 按分の基準の例と、割合が書かれていない理由
資料が挙げる基準の例
手引きは、家事用に消費した金額を、使用面積・使用時間・使用回数などの適切な基準によってあん分計算して、必要経費から除くとしています1。部屋なら面積、機器なら使った時間、といったように、費用の性質に合う物差しを選ぶ考え方です。
資料に書かれているのは、基準の例までです。車のガソリン代にはどの基準を使うのか、車ならこう分けるのか、という指定は、この箇所にありません。物差しを選ぶ作業は、読者の側に残されています。
ここから先は、書き手の見立てです。車の場合、業務で走った回数や日数は使用回数に近く、走った距離は使用時間や面積に代わる物差しになると考えられます。どちらを使うにしても、毎月同じ物差しで分けることが、後から説明するときの前提になります。
出典:国税庁「白色申告者の決算の手引き(農業所得用)」をもとに作成。右側の分け方はRemogu編集部の見立てで、資料に定められたものではありません
割合の数字を書かない理由
何割までなら経費にしてよい、という数字は、この記事では書きません。資料の該当箇所に、具体的な割合が示されていないからです1。手引きの記載例に出てくる数字も、その例の中の数字であって、車に当てはめられる目安として載っているものではありません。
もう一つの理由は、割合が走り方で変わることです。打ち合わせが続く月と、ほとんど出向かない月とでは、同じ車でも業務の分は違ってきます。他の人の割合を借りるより、自分の走った記録から出した数字のほうが、聞かれたときの説明の土台になります。
先に決めておきたいのは、どの物差しで分けるかと、その物差しに必要な記録を残せるか、の2点です。次の節では、リモート中心の働き方で車の使い方がどう分かれるかを見ていきます。
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3. リモート中心の働き方での車の使い方の分類

出向く場面が限られる働き方の利点
ここからは書き手の見立てです。リモートが中心の働き方では、車に乗る場面の多くは仕事と関係がありません。客先での打ち合わせや、機材の受け取りと返却のように、業務で車を使う場面は限られます。
業務の移動が限られていると、その1回ずつを書き留められます。日数や回数で数える物差しは、毎日車で動く働き方よりも、この働き方のほうが当てはめやすいはずです。ただし、資料がそう定めているわけではなく、続けやすい記録の形を考えた結果の整理です。
走った回数や距離そのものの目安は、ここでは出しません。人によって出向く先も頻度も違い、他の人の数字は自分の根拠にならないためです。
業務・私用・混ざる移動の3分類
車の使い方は、業務の移動、私用の移動、混ざる移動の3つに分けると整理しやすくなります。業務の移動は、客先や打ち合わせの場所へ向かう走行と、機材を受け取ったり返したりする走行です。私用の移動は、買い物や私用の外出での走行を指します。
図の作成:Remogu編集部。移動の分け方を整理したもので、統計データではありません
判断が分かれるのは、3つ目の混ざる移動です。打ち合わせの帰りに買い物へ寄った日は、1回の走行が業務と私用にまたがります。この日のガソリン代を割る方法は資料に書かれていないため、どの地点までが業務で、どこからが私用だったかを、記録の目的欄に分けて書いておくのが現実的です。これも書き手の見立てです。
業務と私用の分け方が決まると、次に気になるのは、ガソリン代以外の車の費用です。
4. 車にかかる費用の種類と扱い
ガソリン代と車両本体の違い
車にかかる費用は、ガソリン代だけではありません。車両本体は、事業用に使用する車両として減価償却資産にあたります。国税庁の「帳簿の記帳のしかた(事業所得者用)」は、減価償却資産について、取得に要した費用を使用可能期間に配分して必要経費に算入し、固定資産台帳を記帳して管理するとしています3。
給油のたびに支払うガソリン代とは、費用の動き方が異なります。ガソリン代は使った分を記録に積み上げ、車両本体は取得した費用を期間に配分する、という違いです。減価償却の計算方法は、この記事では扱いません。
私用と兼ねる車の本体について、業務の分をどう計算するかは、確認した資料の該当箇所に書かれていません。書き手の整理としては、ガソリン代と同じく、業務で使う部分を区分して考えます。具体的な計算は、申告の資料や税務署の案内で確かめてください。
駐車場代と有料道路代の考え方
駐車場代と有料道路代は、確認した資料に扱いが書かれていないため、書き手の見立てになります。払ったときの移動が業務かどうかで考えると、判断の軸がぶれません。
たとえば、客先での打ち合わせのために払った駐車場代は、業務の移動で生じた費用です。一方、私用で寄った買い物先の駐車場代は、私用の側に入ります。混ざる移動の日は、その支払いがどちらの目的で生じたかを、レシートの裏や記録に書き添えておくと、後から区分を説明しやすくなります。
費用の種類ごとの整理
ガソリン代、車両本体、駐車場代と有料道路代は、それぞれ考え方の根拠が違います。ガソリン代は資料に家事関連費の例として挙がっており、車両本体は減価償却資産という別の枠で整理されます。駐車場代と有料道路代は、資料に直接の記載がなく、移動の目的で考える形になります。資料に根拠のあるものと、書き手の見立てのものを分けて読んでください。
| 費用 | 考え方 |
|---|---|
| ガソリン代 | 家事関連費として、業務の分を区分します1。 |
| 車両本体 | 事業用に使用する車両は減価償却資産で、使用可能期間に配分して必要経費に算入します3。私用と兼ねる場合は、業務の分を区分して考えます(書き手の見立て)。 |
| 駐車場代・有料道路代 | 払ったときの移動が業務かどうかで考えます(書き手の見立て)。 |
次は、車ではなく電車やバスで出向く場合に、扱いがどう変わるかです。
5. 電車やバスで出向く場合との違い
車で行く場合の区分
車で客先へ向かうと、費用はガソリン代として給油のたびに発生します。給油したタンクの燃料は、行きにも帰りにも、寄り道にも使われます。そのため、1回の給油と1回の打ち合わせを結びつけることはできず、レシートの金額をそのまま業務の費用とは言えません。
ガソリン代は家事関連費にあたり、業務の分を区分して必要経費にする、という流れは前の節までのとおりです1。区分の根拠として、給油のレシートと、業務の移動の記録を並べて残しておく形になります。
電車・バスで行く場合の違い
電車やバスで出向く場合は、払った運賃がその移動のためのものです。私用の買い物の分が同じ運賃に混ざり込むことは、まずありません。ここは書き手の見立てですが、業務で出向いた移動の運賃は、その移動が業務だったことを示せれば、そのまま業務の費用として整理できます。
消費税の面では、国税庁の「帳簿の記帳のしかた(事業所得者用)」が、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる取引の例を挙げています。その一つが、公共交通機関特例の対象として適格請求書の交付義務が免除される、3万円未満の公共交通機関による旅客の運送です3。記載例は3万円未満の鉄道料金で、通常の記載事項に加えて、該当する旨などを帳簿に書く必要があります。
この例に、ガソリン代は挙がっていません3。電車やバスの運賃と同じ扱いになる、と読み替えないよう注意してください。
出典:国税庁「帳簿の記帳のしかた(事業所得者用)」をもとに作成。業務の移動の分という整理はRemogu編集部の見立てで、資料に定められたものではありません
客先から交通費を受け取る場合
客先から交通費を別に受け取るのか、報酬に含まれているのかで、ガソリン代の見え方は変わります。受け取り方の分かれ方は、案件の交通費は立替になる?報酬に含まれるかの分かれ方を解説で扱っています。
この記事では、受け取り方を決めつけず、自分が払ったガソリン代のうち業務の移動にあたる分を区分する、という視点で進めます。次の節では、消費税の立場によってレシートの位置づけがどう変わるかを見ます。
登録して自分に合う条件を知る →
6. 消費税の立場ごとのレシートの位置づけ

簡易課税と2割特例の場合
ガソリン代のレシートは、所得税の経費の根拠になるだけでなく、消費税の計算にも関わります。ただし、消費税では立場によって、レシートの位置づけが違ってきます。
国税庁の「記帳のしかた(消費税編)」は、簡易課税制度を選択している場合や、2割特例の適用を受ける場合について、課税売上高から納付する消費税額を計算するため、帳簿及びインボイス等の保存は仕入税額控除の要件ではないとしています4。ガソリン代の仕入税額を、給油のレシートから拾う計算にはならないということです。
とはいえ、レシートが不要になるわけではありません。所得税では、取引の記録などに基づいて業務の分を区分できることが、必要経費になる条件です2。消費税の要件から外れても、所得税の経費の根拠としてレシートを残す理由は変わりません。
一般課税と免税事業者の場合
一般課税の場合は、前の資料の裏返しで、帳簿とインボイス等の保存が仕入税額控除の前提になります。これは書き手の読み方で、要件の細かい中身は仕入税額控除の要件とは?フリーランスエンジニアが経費で確かめる帳簿と請求書の保存と注意点で扱っています。
免税事業者は、仕入税額控除そのものが関係しません。それでも、所得税の経費の根拠として、給油のレシートと業務の移動の記録を残す点は、他の立場と同じです。
立場ごとの位置づけの比較
どの立場でも、給油のたびのレシートは手元に残す、という行動は変わりません。変わるのは、そのレシートが消費税の計算で果たす役割です。
| 立場 | ガソリン代のレシートの位置づけ |
|---|---|
| 簡易課税・2割特例 | 帳簿とインボイス等の保存は、仕入税額控除の要件ではありません4。所得税の経費の根拠として、レシートは残します(書き手の見立て)。 |
| 一般課税 | 帳簿とインボイス等の保存が、仕入税額控除の前提になります(上の資料の裏返しとしての書き手の読み方)。 |
| 免税事業者 | 仕入税額控除は関係しません。所得税の経費の根拠として、レシートは残します(書き手の見立て)。 |
消費税の立場にかかわらず残すものがはっきりしたので、次は記録の残し方と、年末の締めを見ていきます。
7. 記録の残し方と年末の締め
残す記録の項目
ここからは、区分の根拠になる記録の話です。必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて区分できる金額に限られます2。給油のレシートに加えて、業務の移動の記録を残しておくと、区分の根拠がそろいます。
記録する項目は、日付、行き先、目的、距離の4つで十分です。これは書き手の見立てで、国税庁が定めた様式ではありません。目的の欄には、客先での打ち合わせ、機材の受け取りのように、業務だと分かる言葉を書きます。混ざる移動の日は、業務の用事を済ませた地点と、私用に寄った地点を分けて書きます。
出向く場面が限られる働き方なら、1回ずつ書いても手間は大きくなりません。月に数回の打ち合わせなら、帰宅したその日のうちに数行書き足せば、翌月に思い出す必要がなくなります。
年末の一括減算と車両の台帳
国税庁の「帳簿の記帳のしかた(事業所得者用)」によると、家事関連費は家事上の経費を除いて記載するのが原則です。ただし、その使用状況に基づいて、年末に一括して家事上の経費を減算する記載のしかたもできます3。記載例は水道光熱費で、家事関連費一般の説明です。
給油のたびに業務の分と私用の分を分けるのが原則で、年末にまとめて除く方法もあります。ガソリン代でどちらを使うにしても、年末に家事の分を除く根拠となるのは、その年の走り方の記録です。
車両本体のほうは、事業用に使用する車両として減価償却資産にあたり、固定資産台帳を記帳して管理します3。台帳は、年末にまとめて記載しても構いません。
出典:国税庁「帳簿の記帳のしかた(事業所得者用)」をもとに作成。記録の項目はRemogu編集部の見立てで、国税庁の様式ではありません
レシートの1枚を、走った目的で分ける
冒頭の場面に戻ります。客先の帰りのガソリンスタンドで、満タンにしたレシートを前に手が止まる。その手が止まる理由は、給油の日付ではなく、走った目的が1枚のレシートの中に混ざっていることです。ガソリン代は、給油した日ではなく、走った目的で分けます。
分ける物差しは、使用回数や距離のように、毎月同じものを選びます。記録は、日付、行き先、目的、距離の4つを、その日のうちに数行書きます。そのうえで、レシートは給油のたびに残します。
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8. よくある質問
ガソリン代は何割まで経費にしてよいですか
何割までという数字は、確認した資料に示されていません1。資料が挙げているのは、使用面積・使用時間・使用回数などの適切な基準でのあん分計算という考え方です。そのうえで、必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる金額です2。割合は、自分の走り方の記録から出します。
走行の記録をつけ忘れた月はどうすればよいですか
これは書き手の見立てです。カレンダーの打ち合わせの予定や、請求の記録から、業務で出向いた日を拾い直せます。拾えた日の行き先と目的を、後から書き足してください。分からなかった分を推計の数字で埋めることはせず、翌月からは移動のたびに書く形に戻します。
客先から交通費を受け取ったら、ガソリン代は経費にできませんか
一概には言えません。交通費の受け取り方によって、扱いが分かれるためです。立替として受け取るのか、報酬に含まれているのかの分かれ方は、案件の交通費は立替になる?報酬に含まれるかの分かれ方を解説で扱っています。個別の判断は、申告の資料や税務署の案内で確かめてください。
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出典・参考情報
*1 国税庁「決算の手引き」(2026年10月1日・2026年10月確認)
*2 国税庁「必要経費の知識」(2026年4月1日・2026年10月確認)
*3 国税庁「帳簿の記帳のしかた」(2026年5月1日・2026年10月確認)
*4 国税庁「消費税の経理処理と記帳」(2026年5月1日・2026年10月確認)