Shopifyのフリーランス案件|構築実績を特商法と個人情報の対策で伝えるポイントを整理
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- 注文の最後の画面でストアの運営者が負う表示の義務と、2024年の通信販売分野の行政処分に現れた執行の例
- 「注文内容の最終確認」の表題が義務ではなく望ましい例であることと、定期便の代金の見せ方を実績に結ぶ考え方
- 漏えい等の報告で不正アクセス等が22.3%を占める内訳と、委託先として個人データに触れたときの説明の仕方
案件の打ち合わせで、Shopifyの実績を「テーマの改修をいくつも手がけました」と話したところ、「定期便の注文画面で、2回目以降の代金はどう見せましたか」と聞き返されました。聞かれていたのは作業の数ではなく、その画面が何に応えていたかです。フリーランスとして業務委託の案件に参画するとき、Shopifyの経験が管理画面の設定作業と見られないかと迷っていませんか。Shopifyの実績は、作った画面の数より、その画面が何に応えたかで伝わります。
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1. Shopifyの実績が設定作業に見えてしまう理由
作業の名前だけが並んだときの読まれ方
ストアの立ち上げ、テーマの改修、アプリの導入。Shopifyの職務経歴に並ぶのは、こうした作業の名前になりがちです。作業の名前は何をしたかを伝えますが、誰のどんな責任を支えたかまでは伝えません。
そのため、読む側の頭の中では、管理画面の設定を重ねた仕事と、コードを書いて画面を組んだ仕事の区別がつきにくくなります。区別がつかないのは経験の量ではなく、実績の言葉が作業の側に寄っているからだと書き手は考えています。この節の整理は書き手の見立てで、統計や資料に基づく話ではありません。
ストアの運営者が気にしている場所
ストアを持つのは販売業者、つまり運営者です。運営者は商品を売る責任とあわせて、注文の画面にどんな表示を置くか、個人の情報をどこまで預けるかにも責任を負います。その責任の置き場所は、次の節から資料をもとに確かめます。
構築や改修を任された側には、運営者が気にしている場所に自分の作業を結びつけて話せるかどうかが、打ち合わせで問われます。テーマ改修の件数は、注文確認画面の表示を見直した経験に書き換えられます。アプリ導入とストア立ち上げも、同じ向きで書き換えられます。
図の作成:Remogu編集部。実績の言い方の例を整理したもので、統計データではありません
では、置き換えた先にある表示の義務とは、具体的に何を指すのでしょうか。
2. 注文の最後の画面に課される表示の義務
最終確認画面で義務になっていること
注文の最後の画面は、消費者が内容を確かめて申し込みを確定する場所です。消費者庁の資料「現行法令における規律の状況」(2026年1月22日)は、令和3年度の特定商取引法改正で、通信販売の詐欺的な定期購入商法への対策として、最終確認画面において基本的事項の表示義務を課したと整理しています1。
義務を負うのは、販売業者であるストアの運営者です。消費者庁の公表(2025年1月16日)は、最終確認画面で表示が義務となる項目として、分量、販売価格、支払の時期と方法、引渡時期、申込みの撤回・解除、申込みの期限を挙げています2。
つまり、最終確認画面は運営者の側から見ると、表示の義務を果たす場所です。構築者は義務を負う当事者ではありませんが、その画面を実際に組んでいるのは構築者です。
行政処分に現れた執行の例
執行の例として、同じ消費者庁の公表は、通信販売の分野で2024年5月から12月末までの8か月間に行った行政処分4案件のうち3案件が、令和3年の法改正で追加された最終確認画面の表示義務の違反を含む事案だったと説明しています2。処分を受けたのは販売業者です。
ただし、この4案件と3案件は通信販売の分野全体の数です。Shopifyで作られたストアの数ではなく、ECサイトに限った数でもありません。数字から言えるのは、最終確認画面の表示が実際に処分の対象になっている、という範囲までです。
義務と執行例の整理
最終確認画面の表示義務について、誰が負うのか、いつ入ったのか、何が対象か、処分の例はどうだったかを1つの表にまとめています。改正の時期は消費者庁の「現行法令における規律の状況」、執行の例は「特定商取引法の通信販売分野における執行状況について」と、出典が2つに分かれるため、各行に番号を付けて区別しています。処分の数は通信販売分野全体の数で、個別のストアを指すものではありません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 義務を負う人 | 販売業者(ストアの運営者)2 |
| 義務が入った時期 | 令和3年度の特定商取引法改正1 |
| 義務の対象 | 最終確認画面における基本的事項の表示1 |
| 執行の例 | 2024年5月から12月末までの通信販売分野の行政処分4案件のうち3案件が、最終確認画面の表示義務の違反を含む2 |
では、この最終確認画面の表題や、定期便の代金の見せ方は、どう考えればよいのでしょうか。
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3. 「注文内容の最終確認」の表題と定期便の見せ方

表題は義務ではなく望ましい例
同じ消費者庁の公表は、最終確認画面であることが消費者に分かるよう、画面の表題に「注文内容の最終確認」と記載することが望ましいとして、ガイドラインの改正を行ったと説明しています2。
気をつけたいのは、ガイドラインが望ましいと示しているのは表題の例で、この文言そのものが義務ではない点です。表題を「注文内容の最終確認」にしたと書くのは事実の報告として正確ですが、「義務なので付けました」と書くと、資料より強い言い方になります。
図の作成:Remogu編集部。購入の流れの一例を整理したもので、統計データではありません
定期便の代金の見せ方を実績にする
最終確認画面の表示義務は、通信販売の詐欺的な定期購入商法への対策として入りました1。この経緯から考えると、定期便を扱うストアでは、代金の見せ方が運営者の関心事になると書き手は見ています。
そこで、2回目以降の代金をどう表示したか、最初の注文と何が違って見えるかを確かめた経験は、運営者の義務に応えた実績として語れます。ここも書き手の見立てで、資料がそう述べているわけではありません。ダークパターンの詳細は、ダークパターンを避ける誠実なUI設計の記事で扱っています。
次は、個人情報の側で運営者が出す報告の内訳を見てみましょう。
4. 漏えいの報告で2番目に多い不正アクセス等
報告事案の類型別内訳
個人情報保護委員会の令和7年度年次報告によると、同委員会が受けた個人データの漏えい等の報告のうち、不正アクセス等の不正の目的をもって行われたおそれのある漏えい等は22.3%で、報告義務の類型として2番目に多い類型でした3。
この22.3%は、同委員会が受けた報告事案の類型別内訳です。ECサイトだけの数ではなく、Shopifyのストアに限った数でもありません。ストアの構築者にとってのリスクの大きさを測る数字としては読めない点に、気をつけたいところです。
出典:個人情報保護委員会「令和7年度個人情報保護委員会 年次報告」をもとに作成。同委員会が受けた報告事案の類型別内訳です
運営者の側から読む
報告を出すのは、個人データを扱う事業者です。構築や改修で管理画面や連携アプリに関わる人は、報告を出す当事者ではなくても、運営者がその仕組みを説明するときに材料を渡す立場になります。これは書き手の見立てです。
では、委託先として個人データに触れたとき、その範囲をどう説明すればよいのでしょうか。
5. 委託先として個人データに触れたときの説明
注意喚起が整理していること
個人情報保護委員会の注意喚起(2026年10月7日改訂)は、報告された不正アクセスによる漏えい事案を分析し、問題点を九つの事例に類型化しています4。九つの事例の中身はここでは扱わず、資料そのものを確認してください。
同じ注意喚起は、これらの問題への措置が十分でない場合、個人情報取扱事業者が安全管理措置(法第23条)や委託先の監督(法第25条)の違反と判断される可能性があるとしています4。義務を負うのは個人データを扱う事業者、つまりストアの運営者の側です。
注意喚起はさらに、脆弱性への対応や強固な認証方式などの対策について、どれか一つを講じればよいのではなく、多層的に講ずる必要があるとしています4。
監督を受ける側として語れること
運営者が委託先を監督する義務を負うということは、構築や改修を任された側は、監督を受ける立場になるということです。そのとき運営者が知りたいのは、受託者が個人データのどこまで触れたかだと書き手は考えます。
たとえば、管理画面にどの権限で入ったか、連携アプリにどの範囲の情報を渡したかを整理して残しておけば、運営者が監督の記録を作るときの材料になります。これは書き手の見立てで、注意喚起がこの記録の形を指定しているわけではありません。
注意喚起の三つの点を、構築者として語れることに対応させると、次の表のようになります。右の列は書き手の見立てです。委託先の監督の詳細は、個人情報保護法でフリーランスに求められることを扱った記事で扱っています。
| 注意喚起の要点 | 構築者として語れること(書き手の見立て) |
|---|---|
| 九つの事例に類型化4 | 自分が触れた範囲の確認 |
| 委託先の監督(法第25条)は運営者の義務4 | 監督を受ける側として出した記録 |
| 多層的に講ずる4 | 管理画面の権限と連携アプリの範囲の整理 |
次は、ここまでの材料を実績の文章にどう書き直すかを考えます。
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6. 実績を書き直すときの型

作業の言い方から義務の言い方へ
実績を書き直す手順は3つに分かれます。作業の名前を書き、それが運営者のどの義務に応えていたかを言い換え、最後にその根拠になる材料を添えます。作業の名前を消すのではなく、後ろに運営者の義務を足すかたちです。
運営者の義務の言い方は、前の節までで確かめた範囲に限ります。最終確認画面の基本的事項の表示、個人データを扱う事業者としての安全管理や委託先の監督が、その中身です。構築者が義務を負う当事者であるかのように書くと、事実と食い違います。
言い換えの例と添える材料
言い換えの例を、添える材料とあわせて並べます。どの行も書き手の見立てによる書き方の例で、資料が定めた書式ではありません。材料は、手元に残っているものだけを添えれば足ります。
| 作業の言い方 | 運営者の義務の言い方 | 添える材料 |
|---|---|---|
| チェックアウトまわりの改修 | 最終確認画面の表示事項の確認 | 修正前後の画面の説明 |
| アプリ導入 | 個人データに触れる範囲の整理 | 権限の一覧 |
| 公開作業 | 公開前の確認の順番 | 確認表 |
ただし、材料は実際にあったものだけを書きます。手元に画面の記録が残っていなければ、何を確認したかを言葉で説明できる範囲にとどめます。職務経歴書の書き方の詳細は、案件の実績を職務経歴書でどう見せるかの記事で扱っています。
書き直した実績を、打ち合わせでどう話すかも決めておく必要があります。
7. 打ち合わせで聞かれたときの答え方
答える順番
冒頭の打ち合わせで聞かれたのは、2回目以降の代金をどう見せたかでした。この問いに答えるときは、最初に誰の義務かを置きます。最終確認画面の表示義務は販売業者であるストアの運営者が負うもので、その画面を組む側として何に応えたかを話す、という順序です。
次に、自分が触れた範囲を述べます。画面の表示だけを触ったのか、管理画面の権限や連携アプリにも関わったのかで、運営者が確かめたいことは変わります。そのあとで、確認した中身と残した記録を順に話します。
図の作成:Remogu編集部。答え方の順番の一例を整理したもので、統計データではありません
実績を言葉にして閉じる
この記事で確かめたのは、最終確認画面の表示義務、通信販売分野の執行の例、漏えい等の報告の内訳、委託先の監督の4つです。どれも義務を負うのは運営者で、構築者は、その義務に応える画面や仕組みを実際に組む立場にいます。
Shopifyの実績は、作った画面の数より、その画面が何に応えたかで伝わります。テーマ改修の件数が頭に浮かんだら、その1件が運営者のどの責任を支えていたかを一言添えてみてください。打ち合わせで聞き返されても、答えの置き場所が決まっていれば慌てずに済みます。
Remogu(株式会社LASSIC運営)は、リモートワーク案件特化のエンジニアマッチングで、案件の90%以上がフルリモート可能です。書き直した実績を携えて、経験に近い案件をのぞいてみるところから始めるのも一つの方法です。
8. よくある質問
Shopify以外のECカートの経験でも同じように語れますか
語れると書き手は考えます。最終確認画面の表示義務は販売業者に掛かるもので、カートの種類によって変わるものではないからです。作業の名前を置き換えれば、運営者の義務に応えた実績として同じように言い換えられます。これは書き手の見立てです。
法律の専門家でなくても、特定商取引法の話をしてよいのですか
話してかまいませんが、法的な判断を代わりに行う話し方は避けます。話すのは、運営者が確かめるための材料を画面で用意した、という範囲です。法的な判断は運営者側の専門家が行うもので、構築者が引き受けるものではありません。
個人データに触れない作業だけの経験でも実績になりますか
実績になると書き手は考えます。個人データに触れない設計にしたこと自体が、運営者への説明の材料になるからです。どの作業で触れず、どの権限を使わなかったかを整理しておけば、触れた範囲の説明と同じ位置に置けます。
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出典・参考情報
*1 消費者庁「現行法令における規律の状況」(2026年1月22日・2026年10月確認)
*2 消費者庁「特定商取引法の通信販売分野における執行状況について」(2025年1月16日・2026年10月確認)
*3 個人情報保護委員会「令和7年度個人情報保護委員会 年次報告」(2026年7月・2026年10月確認)
*4 個人情報保護委員会「不正アクセスによる個人データ漏えい防止のための注意喚起」(2026年10月7日・2026年10月確認)