空白期間ができたフリーランスが確かめる3つのポイントと年金・税の仕組み
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- 6か月以上の業務委託で発注事業者に求められる30日前の予告と、短期間の契約が例外事由に挙がっていること
- 国民年金の免除・猶予を受けた期間と未納の期間の違いと、前年の所得を基準に届く予定納税の仕組み
- 赤字の年を翌年以後に繰り越せる青色申告の特典と、次の案件の打ち合わせで空白期間を伝える順番
案件が終わって2週間がたった月の初め、収入が入らないなかで、郵便受けに予定納税の通知が届いていました。フリーランスの空白期間は、こうした場面で年金と税の不安に変わります。空白期間の支払いは、去年の自分が決めています。確かめる点は、契約の終わり方、年金と税の手続き、次の案件での伝え方の3つです。
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1. 契約の終わりの予告と例外
予告する側は発注事業者
空白期間は、案件が終わる日よりも前の、契約の終わり方から始まっています。終わりを知らされる時期によって、次の案件を探せる時間が変わるからです。
フリーランス・事業者間取引適正化等法では、発注事業者がフリーランスに6か月以上の業務委託をしている場合、契約を解除する、または更新しないときは、少なくとも30日前までに予告しなければなりません1。予告する義務を負うのは発注事業者です。フリーランス側の義務ではありません。
ただし、この予告の対象は6か月以上の業務委託です。6か月に満たない契約に同じ義務があるかどうかは、この記事では扱いません。
予告が届いた日から契約が終わる日まで、少なくとも30日の幅があります。この間に次の案件の探し方や打ち合わせの日程を考え始められる、というのは書き手の見立てです。
予告が要らない例外
厚生労働省の発注事業者向けの案内では、予告の例外事由の1つに、業務委託の期間が30日以下など短期間である場合が挙げられています2。この記事で取り上げるのは、例外事由の1つです。
短期間の契約だからといって、予告なしに契約を終えてよいと決まるわけではありません。例外に当たるかどうかは、契約の内容で変わります。例外の全体と予告の運び方は、中途解除の予告と例外を扱った記事で整理しています。
予告の対象と時期の整理
予告について押さえる点は4つです。予告する側は発注事業者で、フリーランスではありません。対象は6か月以上の業務委託で、時期は契約を解除する、または更新しないときの、少なくとも30日前までです1。例外の1つとして、業務委託の期間が30日以下など短期間の場合が挙げられています2。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 予告するのは | 発注事業者 |
| 対象 | 6か月以上の業務委託 |
| 時期 | 少なくとも30日前まで |
| 例外の1つ | 業務委託の期間が30日以下など短期間 |
契約の終わり方が分かったら、次は収入が止まったあいだの年金です。
2. 免除・猶予を受けた期間と未納の期間の違い
免除・猶予を受けた期間の扱い
日本年金機構の案内では、保険料の免除・納付猶予を受けた期間中に、病気やけがで障害や死亡といった不測の事態が発生し、一定の要件に該当する場合は、障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取れます3。
この案内が述べているのは、免除・納付猶予を受けた期間についてです。一定の要件の中身や年金額は、この記事では扱いません。日本年金機構の案内で確かめます。
手続きをせず未納となった期間
一方、手続きをせず未納となった場合は、全額免除の期間なら受け取れた老齢基礎年金の2分の1(税金分)を受け取れません3。
同じ空白期間でも、免除・猶予を受けたのか、手続きをせず未納としたのかで、年金の扱いが分かれます。収入が止まった月ほど、納付の優先順位が後ろに回りがちです。そのため、支払えないときの選択肢として、免除・猶予の制度があることを先に知っておきたいところです。
手続きの有無で変わる受け取り方
空白期間の国民年金は、大きく2つに分かれます。免除・猶予を受けた期間は、不測の事態で一定の要件に該当すれば、障害基礎年金や遺族基礎年金の対象です。手続きをせず未納となった期間は、全額免除の期間なら受け取れた老齢基礎年金の2分の1(税金分)を受け取れません。分かれ目は、手続きをしたかどうかです。
出典:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」(2026年10月16日)をもとに作成
免除の種類や、申請できる期間、未納の扱いは、所得が減ったときの国民年金の免除を扱った記事に分けて書いています。次は、同じ案内にある失業等の事由による申請です。
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3. 失業等の事由による免除・猶予の申請

申請の事由と確認書類の区分
日本年金機構の案内には、先ほどの障害・遺族の話とは別の項目として、失業等の事由による免除・納付猶予の申請があります3。
この申請で、失業等の事実が確認できる書類の区分の1つに、「事業の廃止(廃業)または休止の届出を行っている方」が挙げられています3。区分は複数あり、この記事で取り上げるのはその1つです。
当てはまるかどうかの確かめ方
案件が途切れたというだけで、この区分に当たるとは言えません。どの区分に当たるのか、どの書類で確かめられるのかは、日本年金機構の案内か年金事務所で確かめます。
この記事は、空白期間があるというだけで、廃業や休止の届出を出すことを勧めるものではありません。届出の扱いは、年金事務所や税務署に確かめてください。
年金の次は、前年の所得を基準に届く税の話です。
4. 前年の所得を基準に届く予定納税
予定納税の仕組み
国税庁のタックスアンサーによると、予定納税は、その年の5月15日現在で確定している前年分の所得金額や税額などを基に計算した予定納税基準額が15万円以上となる人が、その年の所得税の一部をあらかじめ納める制度です4。翌年の確定申告で、納めた額の過不足を精算します4。
計算の基にするのは、前年分の所得金額や税額です。冒頭の「空白期間の支払いは、去年の自分が決めています」は、この仕組みを指しています。
見直しの手続きは別の記事で
通知を受け取ったあとの見直しの手続きや、確定申告での精算の流れは、予定納税の通知と精算を扱った記事にまとめています。この記事では、前年の所得が基準になる点だけを押さえます。
年金と予定納税の基準の並べ方
空白期間の年に届く支払いのうち、予定納税は前年分の所得金額や税額が基準で、予定納税基準額が15万円以上の人が対象です4。国民年金は、免除・猶予を受けた期間と未納の期間で扱いが違います3。どちらも、その年の稼働の有無だけで決まる仕組みとは書かれていません。
| 届くもの | 基準と扱い |
|---|---|
| 予定納税 | 前年分の所得金額や税額が基準。予定納税基準額が15万円以上の人が対象 |
| 国民年金 | 免除・猶予を受けた期間と未納の期間で扱いが違う |
次は、事業の収支が赤字になった年の扱いです。
5. 赤字の年の繰越しと青色申告
控除しきれない純損失の扱い
空白期間のある年は、報酬が入らないまま仕事のための支出だけが残り、事業の収支が赤字になる場合があります。その年の損失をどう扱うかが、翌年以後の税の負担に関わってきます。
国税庁のタックスアンサーによると、事業所得などの損失(赤字)を損益通算(ほかの所得との通算)しても控除しきれない純損失の金額は、通常の場合、翌年以後3年間にわたって繰り越し、各年分の所得金額から控除します5。
青色申告の特典である点
この繰越しは、青色申告の特典です5。青色申告をしていない場合に同じ扱いになるかどうかは、この記事では扱いません。
青色申告を始める申請の期限は、青色申告の承認申請の期限を扱った記事で整理しています。赤字の年に特典を使いたいときは、申請を済ませているかどうかを先に確かめます。
繰越しの期間の並び方
赤字の年に控除しきれなかった純損失は、通常の場合、翌年以後の3年間、各年分の所得金額から控除します5。赤字の年そのものではなく、その次の年から数える点が分かれ目です。
出典:国税庁「青色申告制度」(2026年4月1日)をもとに作成
手続きの話は、これで一通りそろいました。次は、次の案件の打ち合わせです。
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6. 次の案件の打ち合わせで空白期間を伝える

話す中身は3つ
次の案件の打ち合わせで空白期間を尋ねられたとき、話す中身は3つに分けられます。空白期間の理由、その間にしたこと、次に受けたい案件の条件です。この組み立ては書き手の見立てで、公的な資料に定めがあるわけではありません。
理由は、事実をそのまま短く伝えます。契約が満了した、案件が区切りを迎えた、といった形です。事実と違う言い換えで整えようとすると、あとの質問で話が合わなくなります。
その間にしたことは、学習、検証、手続きのように、実際に手を動かしたことを挙げます。年金の免除・猶予の確認や、税の見通しを立てたことも、この中に入ります。
次に受けたい案件の条件は、技術領域、稼働の形、参画を始められる時期のように、打ち合わせの相手が判断に使える形で伝えます。空白期間の話を、次の案件の話へつなぐ役目です。
| 伝えること | 例 |
|---|---|
| 空白期間の理由 | 契約満了、案件の区切り |
| その間にしたこと | 学習、検証、手続き |
| 次に受けたい案件の条件 | 技術領域、稼働の形、参画を始められる時期 |
実績と空白期間の並べ方
並べる順番は、直近の案件の実績、空白期間、その間に学んだこと、次に受けたい案件の順です。空白期間を話の最初に置かず、実績のあとに置く見立てです。
図の作成:Remogu編集部。打ち合わせでの話し方を整理したもので、統計データではありません
直近の案件の実績をどう書くかは、案件の実績と経歴の書き方を扱った記事にまとめています。
言い切らない点
空白期間の長さや理由で、打ち合わせでの受け止め方が変わるかどうかは、案件ごとに異なります。この記事では、空白期間が不利になるとも、ならないとも言い切りません。
言い切れるのは、聞かれたときに話せる材料を先にそろえておけるという点です。そろえる材料は、契約の終わり方、年金と税の手続き、次に受けたい案件の条件の3つで足ります。
次は、手続きと次の案件探しを、どの順番で進めるかです。
7. 空白期間を短くする段取り
手続きと探し始める時期の順番
空白期間を短くする段取りは、4つの順番に並べられます。予告の確認、年金の申請、税の見通し、次の案件探しです。並べ方は書き手の見立てで、それぞれの根拠は前の節の事実に戻ります。
最初は予告の確認です。発注事業者がフリーランスに6か月以上の業務委託をしている場合、契約を解除する、または更新しないときは、少なくとも30日前までの予告が必要です1。予告が届いた日が、次の案件探しを始められる日です。
次は年金の申請です。免除・納付猶予を受けた期間と、手続きをせず未納となった期間とでは、年金の扱いが分かれます3。収入が止まる前に、支払えないときの選択肢を日本年金機構の案内で確かめておきます。
そのあとが税の見通しです。予定納税は前年分の所得金額や税額を基準にするので4、通知が届いた時点で、今年の稼働とは別に前年の所得が基になっていると分かります。赤字になった年は、青色申告の特典として、翌年以後に繰り越せます5。
図の作成:Remogu編集部。段取りを整理したもので、統計データではありません
最後が次の案件探しですが、始める時期は最後とは限りません。予告が届いた時点から、手続きと並べて進められるというのが書き手の見立てです。
去年の自分と今年の自分
冒頭の郵便受けの通知に戻ります。予定納税は、前年分の所得金額や税額などを基に計算します4。空白期間の支払いは、去年の自分が決めています。
だから今年の自分は、手続きと次の案件の準備に時間を使えます。契約の終わりの予告を確かめ、年金の免除・猶予を調べ、打ち合わせで話す3つの中身をそろえるだけで、空白期間の見通しは立ちます。
次の案件の準備では、リモートで参画できる案件を見ておく道もあります。Remogu(株式会社LASSIC運営)は、リモートワーク案件特化のエンジニアマッチングで、案件の90%以上がフルリモート可能です。登録して、自分の経験に合う条件を確かめるところから始められます。
8. よくある質問
空白期間が何か月あると不利になりますか
この記事の資料には、何か月から不利になるという目安は載っていません。数字は示せません。
書き手の見立てでは、長さよりも、理由とその間の過ごし方を伝えられるかどうかが話の中心になります。空白期間の理由、その間にしたこと、次に受けたい案件の条件の3つを、打ち合わせの前に言葉にしておきます。
案件が途切れたら廃業の届出を出したほうがよいですか
この記事では、届出を勧めることも、否定することもしません。日本年金機構の案内には、失業等の事由による免除・納付猶予の申請で、失業等の事実が確認できる書類の区分の1つに、事業の廃止(廃業)または休止の届出を行っている方が挙げられています3。
ただし、案件が途切れただけで当てはまるわけではなく、届出を出した場合の税や次の案件への影響は、この資料に書かれていません。出すかどうかは、税務署と年金事務所に確かめてから決めます。
空白期間中の国民健康保険料はどうなりますか
この記事では、国民健康保険料の金額は扱いません。保険料の減免の扱いは、お住まいの自治体の案内で確かめます。
対象になるかどうかや申請の方法は、国民健康保険料の減免を扱った記事と、お住まいの自治体の窓口で確かめてください。
リモートワーク案件をお探しの方へ
Remoguは、株式会社LASSICが運営するITエンジニア・デザイナー専門のリモートワーク案件紹介サービスです。フルリモート・ハイブリッドの案件から、スキルに合うものを探せます。
空白期間は、契約の終わり方と年金・税の手続きを先に確かめておくと、次の案件を落ち着いて選べます。リモートで受けられる案件から次の参画先を探してみてください。
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※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 公正取引委員会「フリーランス法特設サイト」(2026年10月8日・2026年10月確認)
*2 厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(2026年4月1日・2026年10月確認)
*3 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」(2026年10月16日・2026年10月確認)
*4 国税庁「予定納税」(2026年6月1日・2026年10月確認)
*5 国税庁「青色申告制度」(2026年4月1日・2026年10月確認)