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    【Access】フリーランスで業務データベースの経験を生かす判断基準とAI時代の役割

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    白く明るい部屋の机で、無地のカードが詰まった木のカードボックスから1枚を引き出す手

    📘 この記事でわかること

    • Accessの経験が通じにくく見える理由と、ツール名の奥にある経験の中身の分け方
    • IPAの調査から分かる現場主体のDXの広がりと、レガシーシステム刷新が頭打ちになっている様子
    • テーブル設計・クエリ・入力の決まり・運用の4つに分け、案件での言葉と持っていける仕事へ言い直す表

    案件の打ち合わせで「Accessはもう使っていないんです」と言われ、フリーランスとして積んできた経験は数えられないのかと思いかけました。ところが相手は続けて「でも、どの表に何が入っていて、誰が直していたのか、分かる人がいないんです」と話します。業務委託で参画する側にとって、Accessの経験が通じにくく見えるのは、ツールの名前だけが先に目に入るからかもしれません。Accessの経験は、ツールではなくデータの持ち主を知っている経験です。

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    1. Accessの経験が通じにくく見える理由

    ツール名が先に目に入る場面

    Accessは、画面を作り、マクロで動かす道具として語られがちです。履歴書や職務経歴書に「Access」と書くと、Excelマクロの延長と受け取られないか、部署の中だけで使われた小さな仕組みと見られないか、と心配になる人もいるでしょう。この心配は、経験の価値が低いから生まれるのではありません。名前が指す範囲が、実際にやってきた仕事より狭く見えてしまうために起きます。

    たとえば、現場の担当者から「この項目は何のために入力するのか」と聞かれて、入力の決まりを整えた経験を思い出す人は少なくないはずです。ところが案件の説明文には、そうした作業は「Access」の一語にまとめて書かれます。自分の経験を伝える側も、相手に読み取ってもらう側も、ツール名しか手がかりがありません。

    経験の中身を4つに分けて見る

    ここからは編集部の見立てです。Accessで業務データベースを作り、保守してきた経験は、4つの知識に分けられます。1つ目は、どの表に何を持たせ、表同士をどうつなぐかを決めるテーブル設計とリレーション。2つ目は、必要なデータを取り出すクエリで、書き方は違ってもSQLの考え方につながります。3つ目は、入力の決まりと、誰が何を直してよいかの権限です。4つ目は、壊れたときの直し方や引き継ぎまで含めた運用です。

    この4つは、ツールが変わっても残る知識です。一方で、画面の作り方やマクロの書き方は、Access特有の部分が大きくなります。経験を伝えるときは、後者を主役にせず、前者で語るほうが相手に届きます。

    図1:ツール名の奥にある経験の分け方
    Accessの経験の見られ方と、その中身を4つに分けた図 見られ方 ツール名 画面とマクロ 部署の中だけ 中身 テーブル設計とリレーション クエリ(SQL) 入力の決まりと権限 運用と引き継ぎ

    図の作成:Remogu編集部。Accessの経験の分け方を整理したもので、統計データではありません

    では、現場が自分たちで仕組みを作る動きは、日本の企業でどのくらい広がっているのでしょうか。

    2. 現場が自分で作るシステムは日本ではまだ広がっていない

    日本と米国の取組みの広がり

    IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「DX動向2025」は、日本・米国・ドイツの企業を調べた資料です。この中で、ノーコード・ローコードツールによる市民開発やSaaSの利用など、現場が主体となったDXについて「広く取組まれている」と答えた割合は、日本が8.3%、米国が46.3%でした1。

    ただし、この割合の母数は日本の企業全体ではありません。DXの取組状況で「全社的」「一部の部門」「部署ごと」のいずれかに取組んでいると答えた企業が対象です。DXに取組んでいる企業のなかでも、現場が主体となった取組みが広がっている国と、そうでない国がある、というのが読み取れる範囲です。

    項目日本米国
    現場が主体となったDXで「広く取組まれている」と答えた割合8.3%46.3%
    割合の対象DXに取組んでいる企業DXに取組んでいる企業
    現場が主体となったDXの例ノーコード・ローコードによる市民開発、SaaSの利用などノーコード・ローコードによる市民開発、SaaSの利用など

    この調査にAccessという語は出てきません。IPAがAccessを指して調べたものでもありません。そのうえで、社内の部署が自分たちで作る業務データベースも、現場が主体となった仕組みの一例と見るのが、編集部の見立てです。

    現場主体のDXに挙がるデメリット

    同じ調査で、現場が主体となったDXのデメリットを尋ねると、日本は項目を問わず全体に回答率が高くなりました。挙がったものには「システムが乱立し、システム全体の管理が複雑化し、コストが増加する」が含まれます1。挙がった懸念はほかにもあります。

    これも企業の回答の傾向であり、Accessのファイルが乱立している、という統計ではありません。見立てとして言えるのは、現場が自分たちで作る仕組みが部署ごとに増えたとき、同じ種類のデータが別々の表に入り、どれが正しいのか分からなくなる場面が考えられる、というところまでです。そうした場面で整理役を担えるのが、データの持ち主を知っている人です。

    次は、データの整備と、古いシステムの刷新が、いまどこで止まっているかを見ます。

    3. データの整備とレガシー刷新は足踏みしている

    机に同じ形の灰色の無地のバインダー3冊を並べ、真ん中の1冊に手を置く

    データ利活用に対応できない既存システム

    「DX動向2025」には、データ整備・管理・流通の課題を尋ねる設問があります。日本で「既存システムがデータの利活用に対応できない」と答えた割合は、高くはありません。それでも米国・ドイツとの差は大きく、IPAは、レガシーシステムがデータ利活用を阻む一因になっていると見ています1。

    注意したいのは、差が大きいと書かれているのがこの1項目だけだという点です。日本の企業の多くが対応できずにいる、とは読めません。回答の割合そのものも、ここでは示せません。出典が述べているのは、割合の高低ではなく、他国との差の大きさです。

    頭打ちの様子が見える刷新

    同じ調査は、日本のレガシーシステムの刷新状況も尋ねています。2023年度と2022年度の比較では改善しました。しかし2024年度と2023年度では傾向があまり変わっておらず、IPAは頭打ちになっている様子がうかがえるとしています1。

    刷新が進んでいない、とは書かれていません。いったんは改善し、その後に傾きが緩やかになった、という見方です。古いシステムが残り続ける現場では、そこに載っているデータの持ち主を知る人の仕事が、すぐには消えないと考えられます。これは調査が示すことではなく、編集部の見立てです。

    図2:現場主体の仕組みから刷新の足踏みまで
    現場で作られたデータベースからレガシー刷新の足踏みまでの流れを示した図 現場で作られた データベース データ利活用に 対応できない 米独との差が 大きい項目 刷新の傾向は あまり変わらず 頭打ちの様子

    図の作成:Remogu編集部。IPA「DX動向2025」の記述を並べたもので、矢印の因果は編集部の見立てです。統計データではありません

    では、この足踏みのなかで、Accessの経験は何という言葉に言い直せるのでしょうか。

    4. Accessの経験を4つの言葉に分けて言い直す

    Accessで触れたものを案件の言葉にする

    案件の打ち合わせで通じるのは、ツール名よりも、データに対して何をしてきたかを表す言葉です。下の表は、Accessで触れたものを、案件でよく使われる言い方と、そこから持っていける仕事に対応させた編集部の見立てです。テーブルとリレーションはデータモデルと正規化に、クエリはSQLと抽出条件に、フォームと入力規則は入力の決まりと権限に、VBAと運用は処理の流れと例外に、それぞれ言い直せます。

    Accessで触れたもの案件での言い方持っていける仕事
    テーブルとリレーションデータモデル・正規化データ移行の設計
    クエリSQL・抽出条件移行先での照合と集計
    フォームと入力規則入力の決まり・権限業務アプリの要件整理
    VBAと運用処理の流れと例外引き継ぎの文書化

    VBAについては、コードそのものを書き直す話と、処理の流れや例外を説明する話に分けて考えると整理しやすくなります。コードの移行先はVBAの資産はどこへ移す?ノーコードと内製化のあいだで決める移行先の考え方で扱っています。この記事では、移行先がどこであっても残る、データとその持ち主の側に絞ります。

    「どの表が正か」を決める考え方

    複数の場所に似た表があるとき、どれを正とするかを決める考え方には、公的な例があります。デジタル庁はベース・レジストリを、住所・所在地や法人の名称など、制度を横断して多数の手続で参照されるデータからなるデータベースと説明しています。整備すれば手入力が不要になるなどの効果をあげています2。これは行政の基盤データの施策です。

    民間の案件で、ベース・レジストリを使う、あるいは求められるという話ではありません。ただ、多くの場所から参照される基本のデータを1か所で正しく持つという考え方は、Accessで「どの表が正か」を決めてきた経験と重なります。この経験は、ツール名ではなくデータの持ち主を知っている経験として、案件の場で言い直せます。

    では、コードをAIが書けるようになったとき、この中のどこが人に残るのでしょうか。

    5. AIでコードが書けても残る仕事

    AIに任せやすい作業と、人が持つ判断

    ここからは編集部の見立てです。生成AIの実力を測った資料は、この記事の根拠には入れていません。そのうえで、クエリの下書き、VBAの書き換え案、画面の雛形のように、書き方の型がはっきりしている作業は、AIに任せやすい部類に入ると見ています。

    一方で、AIが書いたクエリが正しいかどうかは、どの表が正で、どの項目が何を意味するのかを知っている人にしか判定できません。同じ「顧客」という名前の表が3つあるとき、どれを元にするかを決めるのはコードの書き方ではなく、データの持ち主についての知識です。Accessの現場で表を整えてきた経験は、まさにこの判断に使えます。

    図3:AIとの分担の見立て
    AIに任せやすい作業と人が持つ判断を分けた図 AIに任せやすい クエリの下書き VBAの書き換え案 画面の雛形 人が持つ どの表が正か 誰が直してよいか AIに渡す範囲

    図の作成:Remogu編集部。作業の分け方を整理したもので、統計データではありません

    業務データをAIに渡す範囲を決める役

    IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、組織向けの脅威として「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が3位に初めて選ばれました3。順位は、被害の件数を数えたものではありません。AIの利用が、組織が備える対象として初めて上位に挙がった、という事実です。

    この資料はAccessにも業務データベースにも触れていません。そのため、ここから先は編集部の見立てです。業務データベースの中身を生成AIに見せる場面では、どの表のどの項目まで渡してよいのかを誰かが決める必要があります。個人情報が入った表の位置を知っているのは、その表を作り、直してきた人です。AIが書けるコードが増えるほど、渡す範囲を決める役は、データの持ち主を知る人に残ると考えられます。

    では、リモートで受けるとき、参画の前に何を決めておけばよいのでしょうか。

    6. リモートで受ける前に決めておくこと

    夕方の机で、無地のファイルボックスに書類を縦に収める手。横に閉じたノートパソコン

    リモートワーク等を狙った攻撃の位置づけ

    同じ「情報セキュリティ10大脅威 2026」の組織向け脅威では、8位に「リモートワーク等の環境や仕組みを狙った攻撃」が入っています。2021年から6年連続で選ばれています3。順位は、攻撃の件数ではなく、脅威として選ばれたかどうかを示すものです。

    この資料も、Accessのファイルを対象にした攻撃の話ではありません。ただ、リモートで業務データベースを扱うなら、データの置き場所や持ち出しの決まりを先に話しておく意味は大きいはずです。ファイルを手元に持ち出さない段取りは、編集部の見立てですが、参画前の打ち合わせで確かめておきたい項目です。

    打ち合わせで決める6つの項目

    下の表は、リモートで業務データベースの案件を受ける前に、委託元と話しておきたい項目を編集部がまとめたものです。置き場所と接続の方法から、連絡の時間帯まで、作業に入ってから決めようとすると手戻りが出やすい順に並べています。

    決めること決める中身の例話すタイミング
    データベースの置き場所と接続の方法ファイルを手元に置くか、委託元のサーバー上のものにつなぐか参画前の打ち合わせ
    本番データを手元に持つか手元で作業するか、疑似データで作業するか参画前の打ち合わせ
    個人情報を含む表の扱い見える範囲、持ち出しの可否、AIに渡してよいか参画前の打ち合わせ
    作業の記録と変更履歴誰がいつ何を直したかの残し方初回の作業前
    移行の区切りと検収どこまでできたら完了とするか、確認する人移行の着手前
    連絡の時間帯確認の返事を待てる時間、急ぎのときの連絡先初回の作業前

    とくに本番データの持ち方は、後から変えにくい項目です。手元に持たず、疑似データで作業を進められるのであれば、持ち出しの心配は小さくなります。疑似データでは確かめきれない部分は、委託元と、どこでどう確認するかを先に決めておきます。

    作業の記録と変更履歴も、リモートでは欠かせません。同じ部屋にいれば口頭で済んだ「さっきあの表を直しました」を、文書やチケットに残す必要があるからです。これは、引き継ぎのときに助けになる習慣でもあります。

    次は、ここまでの話を、案件に入る順番として並べ直します。

    7. 案件に入る順番

    棚卸しから引き継ぎまでの4段

    ここからは編集部の見立てです。Accessの経験者が業務データベースの案件に入るときは、4つの段に分けて考えると進めやすくなります。最初は、どの表が何のために作られ、誰が直しているのかを一覧にする棚卸しです。ツールの知識よりも、現場で聞いてきた経験がそのまま使えます。

    2段目は、移行先との対応表を作る段です。元の表と項目が、移行先のどこに対応するのかを並べます。3段目は、新旧を並べて動かす並行運用の区切りを決める段です。4段目は、引き継ぎの文書で、処理の流れと例外を書き残します。移行の段取りそのものは、レガシーシステム移行の案件|一括で載せ替えない3つの段取りと見極め方を解説で扱っています。

    図4:案件に入る順番
    業務データベースの案件に入る4段の順番を示した図 棚卸し 表と持ち主の一覧 対応表 移行先との対応 並行運用 区切りの合意 引き継ぎ 文書にまとめる

    図の作成:Remogu編集部。進め方を整理したもので、統計データではありません

    最初の一歩

    案件の打ち合わせで「Accessはもう使っていないんです」と言われても、経験が無駄になったわけではありません。Accessの経験は、ツールではなくデータの持ち主を知っている経験です。どの表に何が入り、誰が直してきたのかを知っている人は、移行でも運用でも、まず話を聞きたい相手になります。

    Remogu(株式会社LASSIC運営)は、リモートワーク案件特化のエンジニアマッチングで、案件の90%以上がフルリモート可能です。まず登録して、自分の経験がどの条件の案件に近いのかを確かめてみてください。棚卸しの経験は、最初の打ち合わせで話せる形に言い直せます。

    8. よくある質問

    Accessだけの経験でも案件はありますか

    案件の有無は時期や条件によって異なるため、ここで言い切ることはできません。編集部の見立てとしては、Accessの名前だけで探すより、データ移行、業務アプリの要件整理、SQLといった言葉でも探すほうが、経験が当たる範囲が広がります。

    VBAも書いてきました。VBAの経験はどう伝えればよいですか

    コードの書き方よりも、処理の流れと例外を説明できることを前面に出すと伝わります。コードの移行先の考え方は、VBAの資産はどこへ移す?ノーコードと内製化のあいだで決める移行先の考え方にまとめています。

    SQL Serverやクラウドのデータベースを触ったことがなくても大丈夫ですか

    大丈夫と言い切ることはできません。ただ、編集部の見立てでは、元の表と移行先の項目を並べる対応表づくりや、移行後の件数と集計値の照合の仕事なら、Accessで表やクエリに触れてきた経験から入りやすい部分です。触れていない製品は、案件の打ち合わせで正直に伝えておくと話が進みます。

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    Remoguは、株式会社LASSICが運営するITエンジニア・デザイナー専門のリモートワーク案件紹介サービスです。フルリモート・ハイブリッドの案件から、スキルに合うものを探せます。

    Accessの経験は、業務データの持ち主と決まりを知っている経験として言い直すと、データ移行や業務アプリの案件で生かしやすくなります。リモートで受けられる案件から探してみてください。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2025」(2025年7月9日・2026年10月確認)
    *2 デジタル庁「ベース・レジストリ」(2026年7月21日・2026年10月確認)
    *3 独立行政法人情報処理推進機構「情報セキュリティ10大脅威 2026」(2026年1月29日・2026年10月確認)