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    【フリーランスのコワーキング】利用料の経費と画面・通信で決めておく条件

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    明るいコワーキングスペースの席で、消灯したノートパソコンの画面にのぞき見防止フィルムを当てる両手

    📘 この記事でわかること

    • 国の調査が決めているコワーキングスペースの範囲と、利用料を業務上の費用として考えるときの国税庁の定義
    • 席の選び方と会議の場所で画面と声を守る備えと、公衆Wi-Fiにつなぐ前に確かめるIPAの注意事項
    • クライアントとの取り決めで先に確かめる項目と、福島県のテレワーク支援補助金に見る自治体施策の一例

    コワーキングスペースの共用席で、定例会議の時刻が近づいてきました。イヤホンを着けた瞬間に、隣の席から自分の画面が見えているかもしれないと気づきます。業務委託で案件を受けるフリーランスにとって、自宅の外で働く自由は魅力ですが、利用料の扱いと、クライアントの情報の扱いという2つの不安がついてきます。どちらも席に着く前に決められるので、コワーキングは、席を借りる前にお金と情報の線を引いておく場所です。

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    1. フリーランスがコワーキングを使う場面

    調査が決めているコワーキングスペースの範囲

    国土交通省の「テレワーク人口実態調査」令和7年度は、コワーキングスペース等を「複数の企業や個人が設備を共有しながら仕事を行う場所」と定義しています1。専用のビルだけを指す言葉ではなく、この定義では、テレワークセンター、シェアオフィス、レンタルオフィス、インキュベーションオフィス、ホテル、飲食店も同じ区分に含まれます1。

    一方、自社の他事業所は含まれません。支店・営業所や、自社専用のサテライトオフィスがその例です1。業務委託で働くフリーランスには縁の遠い区分ですが、この調査の区分では「設備を共有しているか」が線引きの基準だと分かります。

    場所ごとの区分の違い

    コワーキングスペースのほか、シェアオフィス、レンタルオフィス、ホテル、飲食店が、この調査の定義では同じ「コワーキングスペース等」に入ります1。席や会議室の有無、Wi-Fiの管理といった設備の充実度までは、この区分は分けていません。自分が使う場所がどの区分に当たるかを、次の表で確かめられます。

    場所調査の定義での扱い
    コワーキングスペース含まれます(複数の企業や個人が設備を共有する場所)
    シェアオフィス・レンタルオフィス含まれます
    テレワークセンター・インキュベーションオフィス含まれます
    ホテル・飲食店含まれます
    自社の他事業所(支店・営業所、自社専用のサテライトオフィス等)含まれません

    自営型テレワーカーの割合

    同じ令和7年度の調査では、全国の就業者へのWEB調査をもとに、自営型テレワーカー(自営型就業者のうち、これまでテレワークをしたことがある人)の割合が30.7%でした1。前年度から増えています1。

    ただし、この30.7%は、コワーキングスペースを使っている人の割合ではありません。エンジニアやフリーランスに絞った数でもなく、テレワークの経験の有無を聞いたものです。そのため、先ほどの区分の定義とは別々に読みます。

    使い始める場面

    ここからは書き手の見立てです。自宅で集中しにくい日、クライアントと顔を合わせて打ち合わせをしたい日、仕事と生活の切り替えを場所で作りたい日に、コワーキングは選択肢に上がります。

    場所を変えると、持ち込むものも変わります。利用料という「お金」と、画面・声・通信という「情報」です。まずは、お金の側から確かめます。

    2. 利用料を経費として扱う考え方

    国税庁が挙げる必要経費の範囲

    国税庁のタックスアンサー(No.2210「必要経費の知識」、令和8年4月1日現在法令等)は、事業所得などの計算で必要経費に算入できる金額として、売上原価などのほか、その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額を挙げています2。

    この文言に、コワーキングスペースの利用料という項目は出てきません。国税庁が利用料を名指しして書いているわけではないため、本記事でも「経費になります」とは言い切りません。考える入口は、利用が「業務上の費用」に当たるかどうかです。

    業務上の費用に当てはめる4つの問い

    書き手の見立てとして、当てはめは4つの問いに分けられます。まず、その日の利用が業務のためだったか。次に、それを後から示す記録が残っているか。さらに、仕事以外の利用と混ざっていないか。混ざっている場合は、混ざる分を分けて考えます。

    図1:利用料を業務上の費用として扱うか考える流れ
    利用料を業務上の費用として扱うか考える流れ 業務での利用 使った目的の確認 記録の有無 領収書・利用日・案件 私用との混在 仕事以外の利用の有無 混ざる分の扱い 分けて考える

    図の作成:Remogu編集部。国税庁の必要経費の定義をもとに考え方を整理したもので、統計データではありません

    たとえば月額会員で、仕事以外の用事にも使った月は、利用料の全額を業務のためとは言いにくくなります。このような混在があるときの分け方は、利用の実態に合わせて決めます。按分の考え方は、通信費の家事按分を扱った記事で整理しています。

    科目名より先に確かめること

    利用料を帳簿のどの科目に入れるかは、ここでは断定しません。科目名を決める前に、業務のために使った記録が揃っているかを確かめるほうが先です。迷うときは、税務署や税理士に確かめます。

    記録の残し方は、次の節で具体的に見ていきます。

    3. 記録の残し方

    明るい机で、無地の方眼の手帳に短い線を書き、横に無地の細長い紙片を置く

    残しておく4つの記録

    この節は書き手の見立てです。業務のために使ったと後から説明するには、利用料の金額と、いつ何のために使ったかがつながる形で残っている状態をめざします。残すものは、次の4つに絞れます。

    残すもの残しておく理由
    領収書・利用明細利用料の金額と日付を、後から示せます
    利用日と時間帯仕事で使った日を、使っていない日と区別する手がかりになります
    その日に進めた案件・作業業務のために使ったという説明に結びつきます
    打ち合わせで使った会議室の有無会議室を使った日と、席だけの日を分けられます

    ドロップインと月額会員での付け方

    ドロップインでは、利用のたびに支払いが発生するので、支払いの記録と利用日が対応しやすくなります。月額会員では支払いが月に1回のため、利用日と作業内容は自分で控えておく必要があります。

    月額会員の控え方の一案は、カレンダーに利用日を入れ、その日に進めた案件名を一行添える方法です。月末に利用明細と見比べると、記録の抜けに気づけます。

    会議室を使った日の残し方

    打ち合わせのために会議室やブースを使った日は、席だけを使った日と分けて残しておきます。会議の目的と案件名を添えると、業務のために使った説明に結びつけやすくなります。

    お金の側の決めごとはここまでにして、次は情報の側に移ります。

    4. 公共の場所で画面と声を守る

    IPAが挙げる2つの注意

    IPAの「テレワークを行う際のセキュリティ上の注意事項」(2026年6月4日最終更新)は、カフェ等の公共の場所でパソコンを使うときは画面をのぞかれないよう注意すること、公共の場所でのウェブ会議では話し声が他の人に聞こえないよう注意することを挙げています3。

    この注意事項はテレワーク全般を対象にしたもので、コワーキングスペースだけを名指ししたものではありません。コワーキング固有のリスクを述べた資料ではないため、ここでは、人が近くにいる場所での注意として読み替えます。

    席の選び方と備え

    具体策は書き手の見立てです。画面については、壁を背にした席を選ぶと、後ろから見られる向きを減らせます。横からの視線には、のぞき見防止フィルムという手段があります。

    声については、会議の時刻が決まっている日に、個室やブースの枠を先に押さえておく備えが手堅い方法の一つです。席を移せない日は、会議の時間をずらせないかをクライアントと協議します。

    図2:共用の席で画面と声を守る備え
    共用の席で画面と声を守る備え 画面と声は席と機器で備える 壁を背にした席 後ろからの視線への備え のぞき見防止フィルム 横からの視線への備え 会議は個室やブース 話し声を周りに届けない イヤホンとマイク 聞く音と話す声を分ける

    図の作成:Remogu編集部。IPAの注意事項をもとに備えを整理したもので、統計データではありません

    イヤホンとマイクの使い分け

    イヤホンは、自分が聞く音を周りに漏らさないための道具です。話し声を周りに聞かれない対策にはならないため、話し声には、口元に近いマイクで声を小さくする、個室に移る、といった別の備えが要ります。

    冒頭の席なら、会議の前に画面の向きを変え、会議の場所をブースに移すところから始められます。画面と声の次は、通信です。

    5. 通信で気をつけること

    IPAが挙げる公衆Wi-Fiの備え

    IPAの同じ注意事項は、公衆Wi-Fiを使う場合にはパソコンのファイル共有機能をオフにすること、必要に応じて信頼できるVPNサービスを使うことを挙げています3。ここで示されているのは、つなぐ前に自分の側で整えておくことと、状況に応じて足せる手段の2つです。

    この資料が対象にしているのは公衆Wi-Fiです。コワーキングスペースの回線が公衆Wi-Fiに当たるかどうかは、資料には書かれていません。ここからは書き手の見立てとして、不特定の人が同じ回線を使う場所では、公衆Wi-Fiと同じ備えを当てはめて考えます。

    つなぐ前に確かめる順番

    席に着いてすぐ回線につなぐと、確かめる前に通信が始まってしまいます。そのため、つなぐ前に4つを順番に確かめる流れにしておくと、毎回同じ手順で動けます。1つ目と3つ目はIPAの注意事項にあるもの、2つ目と4つ目は書き手の見立てです。

    図3:施設のWi-Fiにつなぐ前の確認の順番
    施設のWi-Fiにつなぐ前の確認の順番 ファイル共有をオフ パソコンの側の設定 Wi-Fiの暗号化 暗号化の有無の確認 必要に応じてVPN 信頼できるサービス 席を離れるとき つないだままにしない

    図の作成:Remogu編集部。IPAの注意事項と書き手の見立てを整理したもので、統計データではありません

    VPNとテザリングの位置づけ

    IPAの文言は「必要に応じて」信頼できるVPNサービスを使う、という書き方です3。VPNを使えば安全になる、とは読めません。VPNは備えの一つで、画面や声の備えと入れ替えられるものでもありません。

    書き手の見立てとして、施設の回線に不安がある日は、スマートフォンのテザリングに切り替える選択肢もあります。クライアントから回線や端末の指定があるかどうかで、選べる手段は変わります。その確認は、次の節で扱います。

    6. クライアントとの取り決めを先に確かめる

    ガラス張りのブースの机で、ヘッドセットを手に取る。横に閉じたノートパソコン

    契約が決めている場所と端末

    この節は書き手の見立てです。業務委託でも、秘密保持の取り決めの中で、作業する場所や使う端末が決まっている場合があります。契約で決まっているときは、画面や声や通信の備えよりも、その取り決めが先になります。

    たとえば、ソースコードや資料を扱える場所が自宅に限られていれば、コワーキングスペースで開くこと自体ができません。反対に、場所の指定が無い案件でも、秘密保持の取り決めそのものは残ります。

    参画前に確かめる5つの事項

    確かめるのは、席に着く前、できれば参画前の打ち合わせの段階です。次の5つに絞ると、聞き漏らしが減ります。

    確かめること聞き方の例
    作業場所の指定の有無自宅以外の場所で作業してよいかを尋ねます
    ソースコードや資料を扱える場所共用の場所で開いてよい資料の範囲を尋ねます
    会議に出る場所共用の席から会議に参加してよいかを尋ねます
    端末やネットワークの指定使ってよい端末と回線の条件を尋ねます
    情報が漏れたときの連絡先連絡先と連絡の手順を尋ねます

    5つのうち、場所と端末の2つは、コワーキングスペースを使えるかどうかを直接決めます。残りの3つは、使えると決まったあとの動き方を決めます。迷う項目は、書面に残る形で協議しておくと、後から話がずれません。

    席の外の準備が整ったら、次は自治体の施策です。

    7. 自治体のテレワーク施策を使う

    福島県の補助金の対象者

    福島県の「ふくしまぐらし。×テレワーク支援補助金」は、ふくしまファンクラブの会員のうち、対象者の1つとして福島県外在住の個人事業主等を挙げています4。業務委託で働くフリーランスが、この区分に当てはまるかどうかは、制度の条件を確かめて判断します。

    これは福島県1県の例で、県内に滞在してテレワークをする人を支える制度です。ふだんのコワーキング利用料全般を補助するものではありません。制度の有無や条件は自治体ごとに別で、他の自治体にも同じ補助があるとは言えません。

    補助対象になる施設利用料

    同じ補助金の補助対象経費には、コワーキングスペース等の施設利用料として、月額基本利用料(長期コースのみ)、初回登録料、1日以下のドロップインの利用料が含まれます4。利用料の種類によって対象になるものがある一方、月額基本利用料は長期コースに限られます。

    図4:福島県の補助の例
    福島県の補助の例 ふくしまファンクラブの会員 前提となる資格 県外在住の個人事業主等 対象者の区分の1つ 施設利用料 月額基本利用料(長期コースのみ)・初回登録料 ドロップイン

    出典:福島県「ふくしまぐらし。×テレワーク支援補助金」をもとに作成

    地方で働く人が先に見ておく点

    補助の額や率、対象になる日数や泊数は、この記事では扱っていません。申し込む前に、自治体の公表ページで最新の条件を確かめます。地方で働く人が案件を選ぶときの考え方は、地方在住でフルリモート案件を選ぶ条件を扱った記事で整理しています。

    席に着く前の3つの線

    冒頭の席に戻ります。お金の線は、業務のために使った記録を残すこと。情報の線は、画面と声と通信の備えを先に整えること。もう1本は、クライアントとの取り決めを先に確かめることです。コワーキングは、席を借りる前にお金と情報の線を引いておく場所です。

    Remogu(株式会社LASSIC運営)は、リモートワーク案件特化のエンジニアマッチングで、案件の90%以上がフルリモート可能です。働く場所を選べる案件を探すときは、まず登録して、自分の経験に合う条件を確かめてみてください。場所の自由は、線を引いたうえで使うと安心して手に入ります。

    8. よくある質問

    コワーキングスペースの利用料は何の科目で記帳しますか

    科目名を決める前に、業務のために使った記録が残っているかを確かめるほうが先です。国税庁は必要経費として、一般管理費その他業務上の費用の額を挙げています2。迷う場合は、税務署や税理士に確かめます。

    カフェで作業するのとコワーキングスペースで作業するのは何が違いますか

    国の調査の定義では、飲食店もコワーキングスペース等と同じ区分に入ります1。違いは、席や会議室、Wi-Fiの管理といった設備の差で、これは書き手の見立てです。どちらの場所でも、画面と声と通信の備えは変わりません。

    クライアントから作業場所の指定が無いときは、どこで作業してもよいですか

    指定が無くても、秘密保持の取り決めは残ります。場所を決める前に、扱う資料の範囲を確かめ、そのうえで画面と声と通信の備えを先にします。迷うときは、クライアントに作業場所を伝えて協議します。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 国土交通省「テレワーク人口実態調査」(2026年3月24日・2026年10月確認)
    *2 国税庁「No.2210 必要経費の知識」(2026年4月1日・2026年10月確認)
    *3 情報処理推進機構「テレワークを行う際のセキュリティ上の注意事項」(2026年6月4日・2026年10月確認)
    *4 福島県「ふくしまぐらし。×テレワーク支援補助金」(2026年4月16日・2026年10月確認)