【フリーランスのデスク】在宅で整える作業環境の目安と机・椅子を経費にする条件の違い
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- 厚生労働省のチェックリストから借りられる、空間・配置・明るさという机まわりの3つの確かめどころと、その使い方の限界
- 机と椅子が国税庁の耐用年数表のどの区分に並ぶかと、取得価額の数え方が経理方式で変わる仕組み
- 同居する人と共用の机を経費に載せるときに、業務の分を区分できる記録として残しておきたい内容
業務委託のフリーランスとして迎えたリモート案件の初週、ダイニングテーブルをデスク代わりに作業していました。昼食のたびにノートパソコンと資料を片付けるうちに、週末に机と椅子を買おうと決めました。ところが通販の画面を開くと、サイズは何を基準に選ぶのか、この金額は経費でどう扱うのかと、2つの疑問が同時に浮かび、カートを閉じてしまいました。デスクは、置く前に確かめ、買う前に線を引きます。
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1. デスク選びで決める2種類のこと
カートを閉じた2つの疑問
冒頭の2つの疑問は、ひとつの悩みに見えて、答えの出し方が違います。「サイズは何を基準に」は、自宅の作業環境として机まわりをどう整えるかという問いです。「この金額は経費でどう扱う」は、買ったあとの帳簿と申告に関する問いです。前者は部屋と体の側で答えが決まり、後者は税の区分と記録の側で答えが決まります。
同じ画面で同時に考えると、どちらの答えも決まりません。そのため、この記事では確かめることを2種類に分けて進めます。作業環境で確かめるのは空間・配置・明るさ、経費で確かめるのは区分・取得価額・業務で使う範囲です。この分け方は書き手の見立てで、資料に載っている分類ではありません。
図の作成:Remogu編集部。厚生労働省と国税庁の資料をもとに整理したもので、統計データではありません
先に作業環境、あとから経費
順番は、作業環境が先で、経費があとです。買う物の大きさや数は部屋で確かめた結果から決まり、経費の扱いはその買い物に対してあとから当てはめるものだからです。サイズも決まらないうちに耐用年数表をたどっても、どの物を調べるのかが定まりません。
一方で、経費の側にも、買う前に知っておきたい線があります。取得価額をどう数えるか、耐用年数表のどの区分に並ぶか、家事と業務の両方にかかわる支出をどう区分するかの3つです。買う前にこの線を引いておけば、領収書や使い方の記録を最初から残せます。
では、作業環境の目安は、どの資料から借りられるのでしょうか。
2. 会社向けチェックリストを自分の目安として借りる
資料が想定している読み手
厚生労働省の「テレワーク モデル就業規則」(令和7年7月)は、自宅等でテレワークを行う場合について、事務所衛生基準規則、労働安全衛生規則(一部)、情報機器作業ガイドラインは一般には適用されないとしています1。自宅の机まわりを調べるとき、最初に押さえておきたい前提です。
そのうえで資料は、これらの安全衛生基準と同等の作業環境のもとでテレワークが実施されるよう、会社がその下で働く人に教育や助言等を行うとしています1。つまり想定している読み手は、会社とその下で働く人です。業務委託のフリーランスに義務を課す資料とは読めません。
義務ではなく、自分で使う目安として
義務を課す資料でなくても、同等の作業環境を目指す考え方は、自宅の机まわりを自分で確かめるときの目安として借りられる、というのが書き手の見立てです。資料が示しているのは会社向けの考え方までで、フリーランスの自宅にそのまま当てはめるよう求めているわけではありません。
借りるのは、確かめる項目の並べ方です。作業環境を確認するためのチェックリストは、同じ資料の別紙2に付いています1。机と椅子を選ぶ前に、どこを見ればよいのかを決める材料になります。
資料ごとの位置づけと使い方
下の表は、この記事で借りる資料と、自宅で使うときの位置づけを並べたものです。想定する読み手と自宅への適用は資料の記載にそって書き、最後の列の「フリーランスにとっての使い方」だけが書き手の見立てです。資料の記載と見立てを混ぜないよう、列を分けています。
| 資料 | 想定する読み手 | 自宅への適用 | フリーランスにとっての使い方(見立て) |
|---|---|---|---|
| テレワーク モデル就業規則(厚生労働省) | 会社とその下で働く人 | 自宅での作業に向けた考え方を示す | 同等の作業環境を目指す考え方を借りる |
| 別紙2のチェックリスト | 会社とその下で働く人 | 自宅の作業環境を確認する項目 | 自分で確かめる目安として使う |
| 事務所衛生基準規則・労働安全衛生規則(一部)・情報機器作業ガイドライン | 会社とその下で働く人 | 一般には適用されない | 義務としては読まず、基準の考え方だけ参考にする |
次の節からは、このチェックリストの項目を机と椅子に引き寄せて、空間と配置から確かめていきます。
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3. 机の周りは空間と配置から確かめる

手足を伸ばせる空間
チェックリストは、作業等を行うのに十分な空間が確保されているかを確認項目に挙げています1。観点として示されているのは、作業の際に手足を伸ばせる空間があるかどうかです。机の大きさを決める前に、まず座る場所の空間を見る流れです。
この資料には、広さの数値は載っていません。そのため、何センチあれば足りるといった基準は書けません。ダイニングテーブルで作業していた場面なら、席に座って腕と脚を伸ばし、周りのものに触れないかどうかを実際に試すところから始められます。
机・椅子・機器の配置
空間の次に見るのは配置です。チェックリストは、無理のない姿勢で作業ができるように、机、椅子、ディスプレイ、キーボード、マウス等を適切に配置しているかを確認項目に挙げています1。椅子も、独立して選ぶ物ではなく、この配置の一部として考えます。
ここでも寸法や角度の数値は示されていません。買う物を決める段階では、机の上にノートパソコンとディスプレイを並べ、キーボードとマウスを置く場所が取れるかを考えます。椅子は、その机に座ったときの位置関係で見ます。
眼・肩・腕・腰に負担がかからない姿勢
配置の観点として示されているのは、眼、肩、腕、腰に負担がかからないような姿勢です1。これは確かめるときの見どころであり、この配置にすれば体の不調を防げると約束するものではありません。資料が述べているのは、確認項目と観点までです。
出典:厚生労働省「テレワーク モデル就業規則」(令和7年7月)の別紙2をもとに作成
空間、配置、姿勢の順に見て、次に確かめるのは手元の明るさです。
4. 明るさは卓上照明で補う
部屋の照明で不十分なとき
チェックリストは、作業に使う明るさについて、室の照明で不十分な場合に卓上照明等を用いて適切な明るさにしているかを観点に挙げています1。部屋の照明だけで済ませるか、手元を補うかを決める材料です。
この資料には、照度の数値は載っていません。そのため、何ルクス以上あればよいという線は引けません。確かめ方としては、机に座って資料やキーボードを見たときに、手元が暗く感じないかを見ます。暗ければ卓上で補う、という順序です。
チェックリストから取り上げる3項目
下の表は、チェックリストの確認項目のうち、机まわりに関わる3項目を取り上げたものです。チェックリストにはこのほかの項目もありますが、この記事では空間・配置・明るさの3つに絞っています。右端の「自宅で見るときの問い」は書き手の見立てで、資料の記載ではありません。
| 確認項目 | 観点 | 自宅で見るときの問い(見立て) |
|---|---|---|
| 作業等を行うのに十分な空間の確保 | 作業の際に手足を伸ばせる空間があるか | 席に座って腕と脚を伸ばし、周りに触れないか |
| 机、椅子、ディスプレイ、キーボード、マウス等の適切な配置 | 眼、肩、腕、腰に負担がかからないような姿勢か | 5つの機器の置き場所が机の上と椅子の位置から取れるか |
| 作業に使う明るさ | 室の照明で不十分な場合に卓上照明等を用いているか | 手元が暗く感じるとき、卓上で補えるか |
作業環境で確かめることは以上の3つです。ここからは、経費の側に移り、机と椅子が国税庁の耐用年数表のどの区分に並ぶのかを見ていきます。
5. 机と椅子が並ぶ耐用年数表の区分
器具・備品の区分に並ぶ事務机と事務いす
国税庁の確定申告書等作成コーナーにある耐用年数表では、事務机と事務いすは、器具・備品のうち「家具、電気機器、ガス機器、家庭用品(他に掲げてあるものを除く。)」の区分に並んでいます2。机と椅子を買ったあとに、最初に開く場所はこの表です。
区分の名前は長いため、「家具」の区分と短く呼びたくなります。ただし、資料の呼び方は電気機器、ガス機器、家庭用品までを含む名前です。この記事でも、区分名は資料のとおりに書きます。
主として金属製のものと、その他のもの
この区分の細目は、「主として金属製のもの」と「その他のもの」に分かれています2。自分の机と椅子がどちらの細目に当たるかで、表の中で読む行が変わります。
金属製かどうかを何で判断するのかは、この資料には書かれていません。フレームの材質や天板の素材をどう見るかは、ここでは決められません。迷うときは、耐用年数表の細目の記載を読み、税務署か税理士に確かめる流れが堅実です。
年数は表の細目で確かめる
耐用年数の年数そのものは、この記事には書きません。年数は細目ごとに表に載っているため、自分の机と椅子の細目を確かめたうえで、表に載っている年数を読む順序です。ほかの記事や口コミで見かけた年数を、先に当てはめない方が安全です。
出典:国税庁 確定申告書等作成コーナー「耐用年数(器具・備品)(その1)」をもとに作成
区分の見当がついたら、次は取得価額をどう数えるかです。
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6. 取得価額の数え方と10万円の線

10万円未満は使い始めた年に全額
国税庁のタックスアンサーNo.2100によると、取得価額が10万円未満の減価償却資産は、その全額を業務の用に供した年分の必要経費とします3。資料の書き方は「業務の用に供した年分」で、買った日ではなく、業務で使い始めた年に当たります。
一方、10万円以上の場合は、原則は減価償却です。一括償却資産や青色申告者の特例といった選択肢もありますが、金額の線や年数の話は、機器全般を扱った一括償却資産の記事で整理しています。この記事では、机と椅子に絞って先へ進みます。
取得価額は経理方式で数え方が変わる
取得価額の判定に消費税を含めるかどうかは、納税者の経理方式によります。税込経理なら消費税を含んだ金額、税抜経理なら含まない金額で判定します3。
書き手の見立てですが、この数え方の違いによって、10万円の線をまたぐかどうかが変わる場合があります。ここでは金額の例を挙げません。買う前に、自分がどちらの経理方式かを確かめ、候補の机や椅子の金額を同じ方式で数え直しておくと、買ってから迷わずに済みます。
判定の前にそろえる3つの点
下の表は、取得価額の判定でそろえる点を、資料の記載と買う前の確かめ方に分けて並べたものです。左の2列は資料の記載にそって書き、右端の列だけが書き手の見立てです。10万円以上の行は、この記事では原則の扱いまでにとどめ、選択肢の中身は別の記事に任せています。
| そろえる点 | 資料の記載 | 買う前の確かめ方(見立て) |
|---|---|---|
| 取得価額の数え方 | 税込経理なら消費税を含み、税抜経理なら含まない金額で判定3 | 自分の経理方式を先に確かめる |
| 10万円未満 | 全額を業務の用に供した年分の必要経費3 | 使い始める年に全額を載せるかを見る |
| 10万円以上 | 原則は減価償却(ほかの選択肢は別の記事で整理) | 選択肢を調べてから買う物と時期を決める |
ここからは、同居する人と机を共用する場合に、経費の側でどんな記録を残すかを見ていきます。
7. 同居する人と共用の机の記録
家事と業務の両方にかかわる支出
同居する人と共用する机や椅子の購入費は、家事上と業務上の両方にかかわる支出に当たる、というのが書き手の見立てです。資料が述べているのは、そうした家事関連費のうち必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる金額に限られる、という点です4。
分かれ目は、業務の分を明らかに区分できるかどうかです。割合の決め方は、この資料には書かれていません。そのため、何割までと示すことはしません。仕事に使っていれば経費になる、とも言い切れません。
区分の根拠として残す記録
区分の根拠は、使う時間や場所を記録に残しておくと示しやすい、というのも書き手の見立てです。たとえば、仕事用の机を置く場所を決め、領収書と並べて、買った日と使い始めた日をメモに残しておきます。
迷うときは、税務署か税理士に確かめます。机や椅子の区分も、家事関連費の扱いも、この記事で言い切れる範囲には限りがあります。
経費に載せるまでの順番
これまでの確かめどころを経費の側だけ並べ直すと、4つの段階に分かれます。業務で使う範囲を先に決めておくと、買う前に引く線と、買ったあとに残す記録が混ざりません。
図の作成:Remogu編集部。国税庁の資料をもとに手順を整理したもので、統計データではありません
冒頭でカートを閉じた2つの疑問は、確かめる場所が別々でした。サイズの疑問は部屋と体の側で、経費の疑問は取得価額と区分と記録の側で答えが出せます。
Remogu(株式会社LASSIC運営)は、リモートワーク案件特化のエンジニアマッチングで、案件の90%以上がフルリモート可能です。自宅の作業場所を整えたい気持ちが固まったなら、まず登録して、自分の経験に合う条件を確かめてみてください。机を置く場所の先に、その机で進める案件が見えてきます。
デスクは、置く前に確かめ、買う前に線を引きます。
8. よくある質問
ダイニングテーブルを仕事にも使っている場合、経費にできますか
ダイニングテーブルのように家事にも業務にも使う物は、家事関連費の考え方に当たると考えられます。これは書き手の見立てです。必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる金額に限られます4。
分かれ目は、業務の分を明らかに区分できるかどうかです。割合は資料に書かれていないため、この記事では示しません。迷うときは、税務署か税理士に確かめます。
椅子だけを買い替えたときも同じ考え方ですか
同じ考え方です。事務いすも、事務机と同じ器具・備品の「家具、電気機器、ガス機器、家庭用品(他に掲げてあるものを除く。)」の区分に並びます2。取得価額の数え方も同じで、経理方式に応じて税込か税抜の金額で判定します3。
取得価額が10万円未満なら、その全額を業務の用に供した年分の必要経費とします3。10万円以上の場合の選択肢は、先ほどの一括償却資産の記事で整理しています。
モニターアームや卓上照明も机と同じ区分ですか
机と同じ区分に並ぶとは、この記事では断定しません。事務机と事務いすが並ぶ区分は、資料で確かめられた範囲だけを書いています。モニターアームや卓上照明が表のどこに並ぶかは、この資料には載っていません。
そのため、物ごとに耐用年数表で区分を確かめます。迷うときは、税務署に確かめます。取得価額の数え方は、机や椅子と同じく、自分の経理方式にそろえます。
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フリーランスのデスクは、空間と配置と明るさを先に確かめ、買うときは取得価額と業務で使う範囲を記録に残すと迷いが減ります。自宅で進められるフルリモートの案件から探してみてください。
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※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 厚生労働省「テレワーク モデル就業規則」(2025年7月1日・2026年10月確認)
*2 国税庁「耐用年数(器具・備品)(その1)」(2026年1月5日・2026年10月確認)
*3 国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」(2026年4月1日・2026年10月確認)
*4 国税庁「No.2210 必要経費の知識」(2026年4月1日・2026年10月確認)