個人事業主の所得控除一覧|フリーランスエンジニアが国保や国民年金も差し引ける16種類の控除を解説
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- 所得控除は16種類あり、支払ったお金・本人や親族の事情・だれにでも関わる控除の3つに分けて見渡せること
- 国民健康保険と国民年金の保険料は、その年に支払った全額を社会保険料控除として差し引けること
- 小規模企業共済の掛金も全額差し引けることと、基礎控除は合計所得金額に応じて額が決まること
確定申告の書類をそろえていて、所得控除の欄がいくつも並んでいることに気づきました。国民健康保険や国民年金の保険料も差し引けるのか、自分に使える控除がどれなのかが分かりませんでした。国民健康保険の保険料も国民年金の保険料も、その年に支払った全額を社会保険料控除として差し引けます1。
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1. 所得控除16種類の全体像
税負担を調整する仕組み
所得税の所得控除は、社会政策上の要請や、納税者ひとりひとりの事情への考慮、最低生活費の保障などの趣旨から、税負担を調整するために設けられている制度です2。
支払ったお金・本人や親族の事情・だれにでも関わる控除の3分類
所得控除の種類は、雑損控除・医療費控除・社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除・生命保険料控除・地震保険料控除・寄附金控除・障害者控除・寡婦控除・ひとり親控除・勤労学生控除・配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除・特定親族特別控除・基礎控除の16種類です2。このうち特定親族特別控除は、令和7年分以降の年分に適用されます2。
この記事では、16種類を3つに分けて見渡します。この分け方は国税庁が定めたものではなく、内容を整理するためにこの記事で使うものです。
ひとつ目は、社会保険料や共済の掛金、生命保険料など、実際に支払ったお金に応じて決まる控除です。ふたつ目には、障害者控除やひとり親控除のように、本人や親族の事情に応じて決まるものが入ります。みっつ目は基礎控除です。
表1にまとめます。
| この記事での分け方 | 控除 |
|---|---|
| 支払ったお金による控除 | 社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除・生命保険料控除・地震保険料控除・医療費控除・寄附金控除・雑損控除 |
| 本人や親族の事情による控除 | 障害者控除・寡婦控除・ひとり親控除・勤労学生控除・配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除・特定親族特別控除 |
| だれにでも関わる控除 | 基礎控除 |
2. 国民健康保険と国民年金の社会保険料控除
負担すべき社会保険料の控除額
自分や、生計を一にする配偶者・親族が負担すべき社会保険料を支払った場合は、その年に実際に支払った金額の全額を、社会保険料控除として差し引けます1。
対象になる保険料と掛金
社会保険料控除の対象には、国民年金の保険料、国民健康保険の保険料(国民健康保険税)、介護保険料、国民年金基金の掛金などが含まれます1。
図1に整理します。
出典:社会保険料控除(国税庁)をもとに作成
3. 小規模企業共済の掛金と控除額
小規模企業共済等掛金控除の控除額
小規模企業共済等掛金控除として控除できる金額は、その年に支払った掛金の全額です3。
小規模企業共済等掛金控除の中身は、【小規模企業共済等掛金控除】フリーランスエンジニアのiDeCoと共済の掛金が全額控除になる仕組みで確かめられます。
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4. 合計所得金額で決まる基礎控除
基礎控除の額を決めるもの
基礎控除は、これまで見てきた社会保険料控除や小規模企業共済等掛金控除とは違い、支払った金額ではなく、納税者本人の合計所得金額に応じて額が決まる控除です4。
合計所得金額が2,500万円を超えると、基礎控除の額は0円になります4。このうち、令和8年分の基礎控除に関する規定は、令和8年12月1日に施行されます4。
基礎控除の額が決まる順番
基礎控除は、まず自分の合計所得金額を出し、その金額に応じて控除の額が決まるという順番で考えます4。図2に整理します。
出典:基礎控除(国税庁)をもとに作成
5. 計算式で決まる医療費控除と寄附金控除
医療費控除の計算方法
医療費控除の金額は、実際に支払った医療費の合計額から、保険金などで補てんされる金額と一定額を差し引いて計算し、最高で200万円です5。
医療費控除の計算方法や、対象になる医療費の範囲は、フリーランスエンジニアの医療費控除|所得200万円未満は「5%」で計算する仕組みと明細書で確かめられます。
寄附金控除の計算方法
寄附金控除の金額は、その年に支出した特定寄附金の額の合計額と、その年の総所得金額等の40パーセント相当額の、いずれか低い金額から2,000円を差し引いた額です6。
図3で、2つの計算式を並べて確かめます。
出典:医療費控除・寄附金控除(国税庁)をもとに作成
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6. 本人や親族の事情による定額の控除
支払った金額や計算式から額が決まる控除とは違い、次の控除は事情で決まります。障害の有無やひとり親であるかどうかなど、本人や親族の事情に当てはまれば、あらかじめ決まった額を差し引けます。
障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生の各控除額
障害者控除の控除額は、障害者27万円、特別障害者40万円、同居特別障害者75万円に分かれています7。
寡婦控除の控除額は27万円です8。ひとり親控除は35万円9、勤労学生控除は27万円です10。いずれも要件に当てはまるかどうかで使えるかが決まり、使える場合の額はあらかじめ固定されています。
配偶者や扶養に関わる控除の個別記事
配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除・特定親族特別控除の要件と額は、ここでは書かず、それぞれの記事で確かめます。扶養控除は扶養控除を確定申告で受けるには?フリーランスエンジニアが確かめる親族の4つの条件と控除額にまとめています。
配偶者控除と配偶者特別控除の分かれ目は、フリーランスエンジニアの扶養は所得62万円まで?配偶者控除と配偶者特別控除の違い(令和8年分)で確かめられます。特定親族特別控除は、特定親族特別控除は最高63万円|フリーランスエンジニアが確かめる「子の所得」と要件の注意点にまとめています。
表2にまとめます。
| 控除 | 控除額 |
|---|---|
| 障害者控除 | 障害者27万円・特別障害者40万円・同居特別障害者75万円7 |
| 寡婦控除 | 27万円8 |
| ひとり親控除 | 35万円9 |
| 勤労学生控除 | 27万円10 |
7. 確定申告の前に確かめる3つ
保険料・掛金の額と合計所得金額
16種類の中で、確定申告の前に手元の数字を確かめておきたい控除が3つあります。ひとつは、1年間に支払った国民健康保険・国民年金の保険料です。実際に支払った全額が社会保険料控除になります1。
ふたつ目は、小規模企業共済に1年間で支払った掛金です。こちらも支払った全額が小規模企業共済等掛金控除になります3。みっつ目は、自分の合計所得金額です。基礎控除の額は、この合計所得金額に応じて決まります4。
日本に住所がない場合の所得控除3種類
日本国内に住所などがない非居住者の場合は、使える所得控除が雑損控除・寄附金控除・基礎控除の3種類に絞られます2。海外に住所を移す予定があるときは、この範囲を先に確かめます。
表3に、確定申告の前に確かめることをまとめます。
| 確かめること | 何を見るか |
|---|---|
| 国民健康保険・国民年金の保険料 | 1年間に実際に支払った保険料の全額 |
| 小規模企業共済の掛金 | 1年間に実際に支払った掛金の全額 |
| 自分の合計所得金額 | 基礎控除の額が決まるもとになる金額 |
図4に、確かめる順番を並べます。
出典:社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除・基礎控除(国税庁)をもとに作成
書類に並んだ所得控除の欄は、16種類あっても、支払ったお金・本人や親族の事情・だれにでも関わる控除に分けると見通せます2。国民健康保険と国民年金は社会保険料控除で全額1、小規模企業共済の掛金も全額を差し引けます3。基礎控除は、自分の合計所得金額に応じて額が決まります4。
どれが自分に使えるのか分からなかった欄も、手元の保険料と掛金、合計所得金額の3つを見れば埋まります。確定申告が終わったら、場所に縛られずに働ける案件も、あわせて探してみてください。
8. よくある質問
国民年金基金の掛金も社会保険料控除の対象ですか
はい、対象に含まれます。社会保険料控除の対象には、国民年金の保険料や国民健康保険の保険料、介護保険料とあわせて、国民年金基金の掛金などが含まれます1。
医療費控除の金額に上限はありますか
あります。医療費控除の金額は、実際に支払った医療費の合計額から補てんされる金額と一定額を差し引いて計算し、最高で200万円です5。
令和8年分の基礎控除の規定は、いつ施行されますか
令和8年分の基礎控除に関する規定は、令和8年12月1日に施行されます4。
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出典・参考情報
*1 国税庁「社会保険料控除」国税庁タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)(2026年4月1日・2026年10月確認)
*2 国税庁「所得控除のあらまし」国税庁タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)(2026年4月1日・2026年10月確認)
*3 国税庁「小規模企業共済等掛金控除」国税庁タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)(2026年4月1日・2026年10月確認)
*4 国税庁「基礎控除」国税庁タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)(2026年4月1日・2026年10月確認)
*5 国税庁「医療費控除」国税庁タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)(2026年4月1日・2026年10月確認)
*6 国税庁「寄附金控除」国税庁タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)(2026年4月1日・2026年10月確認)
*7 国税庁「障害者控除」国税庁タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)(2026年4月1日・2026年10月確認)
*8 国税庁「寡婦控除」国税庁タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)(2026年4月1日・2026年10月確認)
*9 国税庁「ひとり親控除」国税庁タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)(2026年4月1日・2026年10月確認)
*10 国税庁「勤労学生控除」国税庁タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)(2026年4月1日・2026年10月確認)