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    フリーランスエンジニアの経営セーフティ共済|借りられる4つの条件と掛金の扱い

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    「倒産に備える共済」を示す図です。回収の難しさ、取引先の倒産。通常の取引/倒産でも回収/回収が遅れる/借入れの対象を並べています。強調しているのは借入れの対象です。4つの条件と添えています。

    📘 この記事でわかること

    • 取引先の倒産で売掛金が回収できなくなったときに借入れができる制度であることと、借りられる額の決まり方
    • 事業を1年以上続けている個人の事業者も加入できることと、掛金が事業所得の必要経費に算入できる扱い
    • 取引先の倒産で借入れを受けるための4つの要件と、解約したときに受け取れる解約手当金の条件

    同じ案件に入っていたエンジニアから、以前に取引のあった会社が倒産し、売掛金が戻らなかったという話を聞きました。もし自分の請求先が倒産して、回収できなくなったら——そう考えると、他人事とは思えませんでした。こうしたときに借入れができる共済が、個人の事業者にも用意されています。

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    1. 取引先の倒産に備える共済の概要

    運営機関と根拠法

    経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は、中小企業倒産防止共済法にもとづき、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営している共済です1。

    対象になるのは、取引先の事業者が倒産し、その取引で生じた売掛金債権等の回収が困難になった場合です1。

    借りられる額の決まり方

    共済契約者は、取引先事業者が倒産して売掛金債権等が回収困難になった場合に、共済金の貸付けを受けられます1。

    借りられる額は、納付した掛金の10倍(上限8,000万円)と、回収が困難になった売掛金債権等の額の、いずれか少ない額の範囲内です1。

    運営機関、借りられる額、加入資格、掛金の4点は、次の表のとおりです。

    項目内容
    運営独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)
    借りられる額掛金の10倍(上限8,000万円)と、回収が困難になった売掛金債権等の額のいずれか少ない額の範囲内
    加入資格引き続き1年以上事業を行っている中小企業者(会社または個人の事業者)
    掛金月5,000円から20万円(5,000円単位)、積立限度額800万円

    2. 加入できる事業者の条件

    個人の事業者の加入

    加入できるのは、引き続き1年以上事業を行っている中小企業者です1。会社だけでなく、個人の事業者も対象に含まれます1。会社または個人の事業者は、業種ごとに定められた基準(資本金の額または出資の総額、常時使用する人数)のいずれかに当てはまる中小企業者であることも条件です1。

    そのため、事業を始めてから1年に満たないうちは、まだ加入の対象になりません。まずは、事業を続けてきた期間が1年以上になっているかを確かめます。

    加入できるかの2つの確認点

    加入できるかどうかは、事業を続けてきた期間と、対象になる事業者の範囲の2点で確かめます。順番に見ていくと、次のようになります。

    図1:加入できるかの確かめ方
    図1:加入できるかの確かめ方 確認すること1 事業を引き続き 1年以上続けているか 確認すること2 個人の事業者として 当てはまるか

    図の作成:Remogu編集部。加入の対象になるかを確かめる順番を整理したもので、統計データではありません。

    次に気になるのは、掛金の金額です。

    3. 掛金の範囲と積立限度額

    掛金月額の範囲と単位

    案件によって報酬の入り方が変わる働き方をしていると、毎月の掛金をいくらにするかは、自分で決めます。経営セーフティ共済の掛金は、月額5,000円から20万円までの範囲で、5,000円単位で選べます1。この範囲の中で、資金繰りに合わせて額を決めます。

    積立限度額800万円

    掛金には、積立限度額の上限もあります。経営セーフティ共済の積立限度額は800万円です1。毎月納めた掛金の合計が800万円に達するまでが、積み立てていける範囲です。

    月々の額を大きくするほど、800万円に早く届きます。また、借りられる額の上限は、納付された掛金の10倍(限度額8,000万円)と、回収が困難になった売掛金債権等の額の少ないほうです1。納めた掛金の額は、いざというときに借りられる額にも関わります。

    月々選べる額の範囲と積み立てられる上限は、次の表のとおりです。

    項目内容
    掛金月額の範囲5,000円から20万円
    単位5,000円単位
    積立限度額800万円

    4. 掛金の必要経費としての扱い

    個人の掛金と事業所得の必要経費

    掛金を納めたあと、税務上どのように扱われるのかも気になるところです。個人の事業者が納めた掛金は、事業所得の必要経費として扱われます1。案件を受けて得た報酬を事業所得として申告している場合は、この掛金も同じ申告の中で必要経費として扱われます1。

    掛金は、月ごとに納めるほか、前納してまとめて納められます。前納した掛金のうち、前納の期間が1年以内のものは、支払った日が属する年の必要経費に算入できます1。

    必要経費に算入できない収入

    ただし、この扱いには範囲があります。個人の事業者では、事業所得以外の収入は、掛金を必要経費に算入する対象に含まれません1。不動産所得などがこれにあたります1。

    解約後の再加入と2年間の掛金

    経営セーフティ共済は、いったん解約したあとで、入り直せます。ただし、令和6年10月1日以降に解約して再加入した場合、解約した日から2年を経過する日までの間に支出する掛金は、必要経費に算入できません1。

    この2年は、解約した日から数えます。解約した日から2年を経過する日までが、掛金を必要経費に算入できない期間です1。

    図2:解約と再加入の時系列
    図2:解約と再加入の時系列 解約した日 2年を経過する日 この間に支出する掛金 必要経費に算入不可

    図の作成:Remogu編集部。令和6年10月1日以降に解約して再加入した場合の、必要経費に算入できない期間を整理したもので、統計データではありません。

    掛金の扱いが分かったところで、次に気になるのは、実際に借入れを受けるための条件です。

    5. 借入れを受けるための4つの要件

    4つの要件の中身

    共済金の貸付けを受けるには、次の4つの要件を満たす必要があります1。1つ目は、加入してから6か月以上が経過し、かつ6か月分以上の掛金を納めていることです1。加入して間もないうちは、この期間と納付の両方を満たすまで、貸付けを請求できません。

    2つ目は、共済契約者の直接の取引先事業者が倒産したことです1。3つ目は、その取引先事業者の倒産によって、売掛金債権等の回収が困難になったことです1。取引先のさらに先の取引先ではなく、自分と直接取引していた事業者が倒産した場合が対象です。

    4つ目は、倒産した日から6か月以内に、共済金の貸付けを請求していることです1。この4つは、いずれか1つではなく、すべてを満たしてはじめて請求ができます1。整理すると、次のとおりです。

    図3:借りるための4つの要件
    図3:借りるための4つの要件 要件1 加入後6か月以上経過 かつ掛金6か月分以上 要件2 取引先事業者が 倒産したこと 要件3 売掛金債権等の 回収が困難なこと 要件4 倒産日から 6か月以内に請求

    図の作成:Remogu編集部。共済金の貸付けを受けるための要件を整理したもので、統計データではありません。

    売掛金債権等にあたる範囲

    4つの要件のうち3つ目に出てくる「売掛金債権等」は、売掛金債権および前渡金返還請求権を指します1。このうち回収が困難になった額は、共済契約者と倒産した取引先事業者との取引によって生じた売掛金債権・前渡金返還請求権の合計額のうち、回収が困難なものの額です1。

    ただし、この額には範囲があります。一般消費者に対する債権は対象に含まれません1。商品または役務の取引に該当しない貸付金債権や、不動産の賃貸借にもとづく債権なども含まれません1。倒産した取引先との、事業者どうしの取引から生じた請求が前提です。

    取引先の事業者に役務を提供して請求した報酬は、資料の言う「取引によって生じた売掛金債権」に当たるかどうかで考えます1。個々の請求が対象になるかどうかは取引の内容によるので、ここで一律には決められません。

    6. 解約手当金と一時貸付金

    解約手当金の受け取れる条件

    経営セーフティ共済は、途中で解約できます。解約した時点で掛金の納付月数が12か月以上であれば、解約手当金が受け取れます1。加入を続けるかどうかを考えるときは、この納付月数がひとつの目安です。

    受け取れる額は、解約の事由と納付月数に応じて、掛金総額の75%から100%にあたる額です1。事由や納付月数ごとの支給率は、ここでは扱いません。納付月数が12か月に満たないときは、解約手当金の対象に含まれません。

    臨時の事業資金と一時貸付金

    一方、解約するほどではなくても、急に事業資金が必要になる場面もあります。共済金の貸付けを受けられる事態が生じていなくても、そうした場面で使えるのが、解約手当金の範囲内で借りられる一時貸付金です1。取引先の倒産を待たずに使えます。

    取引先の倒産とは関わりなく、臨時に事業資金が必要になったときに使える点が、共済金の貸付けとの違いです1。借りられる額は、それまでに積み上がった解約手当金の範囲内に収まります1。では、加入を決める前に、何を確かめればよいのでしょうか。

    7. 加入前の3つの確認

    確かめる3つの点

    借りられる額、加入できる条件、掛金の税務上の扱い、解約したときの受け取り方を自分の状況に当てはめると、加入を決める前に確かめることは3つに絞れます。

    1つ目は、事業を1年以上続けているかどうかです。加入できるのは、引き続き1年以上事業を行っている中小企業者で、会社だけでなく個人の事業者も対象に含まれます1。事業を始めてから1年に満たないうちは、まだ加入の対象になりません。

    2つ目は、令和6年10月1日以降に解約したことがあるかどうかです。該当するなら、解約した日から2年を経過する日までの間に支出する掛金は、必要経費に算入できません1。一度も解約していなければ、この点は関係ありません。

    3つ目は、12か月以上、掛金を納め続けられそうかどうかです。共済契約を解約した時点で、掛金の納付月数が12か月に満たないと、解約手当金の対象に含まれません1。将来解約する場面を考えるなら、無理のない額で、長く続けられる見込みを立てておく点が確認のしどころです。

    1つ目は加入の条件で、2つ目と3つ目は、加入したあとの掛金の扱いや、解約したときに関わる点です。整理すると、次のとおりです。

    確かめること内容
    事業を1年以上続けているか加入できるのは、引き続き1年以上事業を行っている事業者です
    令和6年10月1日以降に解約したことがあるか該当する場合、解約した日から2年を経過する日までの掛金は必要経費に算入できません
    12か月以上掛金を続けられるか納付月数が12か月に満たないと、解約したときの解約手当金の対象に含まれません

    確認の順番

    3つの確認には、見ていく順番もあります。まず事業を続けてきた年数を確かめ、次に令和6年10月1日以降に解約した経緯があるかを振り返り、最後に掛金を無理なく続けられそうかを考える、という流れです。

    この順番には理由があります。事業を1年以上続けていなければ、そもそも加入の対象に入りません。解約の経緯や、続けられそうかという見込みは、加入の対象に入ることが分かったあとで確かめても遅くはありません。

    たとえば、事業を始めてまだ半年ほどなら、まずは1年を待つ必要があります。すでに1年を超えていて、解約の経験もないなら、あとは掛金を無理なく続けられそうかを考えて、加入を判断します。

    図4:確かめる順番
    図4:確かめる順番 確認すること1 事業を1年以上 続けているか 確認すること2 令和6年10月1日以降に 解約したことがあるか 確認すること3 12か月以上 掛金を続けられるか

    図の作成:Remogu編集部。加入の前に確かめる3つの点を、確かめる順番に整理したもので、統計データではありません。

    冒頭で触れたのは、同じ案件に入っていたエンジニアから聞いた、取引先が倒産して売掛金が戻らなくなる場面でした。経営セーフティ共済は、取引先事業者の倒産で売掛金債権等の回収が困難になったときに、納付した掛金の10倍(上限8,000万円)と回収が困難になった額のいずれか少ない額の範囲内で、借入れができる制度です1。

    入れるのは、1年以上事業を続けている事業者です1。借りるには、加入後6か月以上が経過し、かつ6か月分以上の掛金を納めていることなど、4つの要件をすべて満たす必要があります1。備えは、事業を続けてから加入し、掛金を納めたあとに使えるようになります。

    取引先への備えを確かめたら、次は自分の案件の条件を見直す番です。Remoguに登録して、リモートで参画できる案件の条件を確かめてみてはいかがでしょうか。

    8. よくある質問

    加入してすぐに、借入れを申し込めますか

    加入した直後は、まだ申し込めません。共済金の貸付けを受けるには、加入後6か月以上が経過し、かつ6か月分以上の掛金を納めていることが、4つの要件のうちの1つです1。まずは、この期間を過ぎているかどうかを確かめます。

    解約したあとは、もう加入できませんか

    解約したあとも、入り直せます。ただし、令和6年10月1日以降に解約して入り直した場合は、解約した日から2年を経過する日までの間に支出する掛金が、必要経費に算入できません1。解約を考えるときは、この2年の期間もあわせて確かめます。

    掛金の納付期間が短いと、解約手当金は受け取れますか

    納付月数が12か月に満たないうちに解約すると、解約手当金の対象に含まれません1。受け取れるかどうかの境目は、この12か月という納付月数です。解約を考えるときは、これまで納めた月数を先に数えます。

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    取引先の倒産への備えを確かめたら、これからの案件の条件も見てみてください。リモートの案件から探せます。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 独立行政法人中小企業基盤整備機構「制度のしおり」[令和8年1月改訂版](2026年1月・2026年10月確認)