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    実家でフリーランスをするとき親に払う家賃の扱い|生計を一にするかで分かれる経費を解説

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    「実家のフリーランスと経費」を示す図です。生計は一つか/親への家賃/光熱費/家族が手伝うを並べています。強調しているのは生計は一つかです。先に確かめると添えています。

    📘 この記事でわかること

    • 生計を一にする親族に払う家賃は必要経費にならず、受け取る親の側でも所得として考えないという扱い
    • 同じ家屋で暮らす親族は原則として生計を一にするものとして扱われる点と、その説明が扶養控除の質疑にあるという注意
    • 自分で払う光熱費などは家事関連費にあたり、取引の記録で区分できた金額だけが必要経費になる条件

    実家の2階をリモートの作業部屋にして半年がたち、確定申告の準備に入りました。毎月親に渡している「家賃」を経費の欄に書いてよいのか、あとから認められないのではないかと、帳簿を開いたまま手が止まります。分かれ目は金額の大きさではなく、親と生計が一つかどうかです1。親に払うお金は、先に生計が一つかどうかを確かめてから帳簿に載せます。

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    1. 実家で事業をするときに確かめる理由

    経費に載せるか迷うお金

    実家で事業をするとき、帳簿に載せるかどうか迷うお金は大きく3つに分かれます。親に払う家賃、自分で払っている光熱費など、そして家族が事業を手伝ったときの対価です。この記事では、国税庁の資料に沿って、この3つを順に確かめます。

    最初に迷うのは、親に払う家賃です。国税庁のタックスアンサーNo.2210は、生計を一にする配偶者その他の親族に支払う地代家賃などは必要経費にならないとしています1。親だから、実家だからではなく、生計を一にするかどうかで扱いが決まります。

    一方、自分で払っている光熱費などは、別の見方になります。同じ国税庁のページでは、家賃や水道光熱費が、家事上と業務上の両方にかかわりがある費用(家事関連費)の例に挙げられています1。

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    この記事が使う資料と、書かれていないこと

    使う資料は、国税庁の3ページです。親族への家賃と家事関連費は、必要経費の知識(No.2210)から引きます1。生計を一にするの意味は扶養控除の質疑から3、家族が手伝う場合は事業専従者控除(No.2075)から引きます4。

    ただし、資料には、生計が別の場合の親への支払いの扱いは書かれていません。その場合の扱いは、国税庁のページか税務署で確かめます。この記事は、生計が別の場合を断定しません。まずは、いちばん迷いやすい親への家賃から確かめます。

    2. 生計を一にする親族に払う家賃の扱い

    払う側の扱い

    親に家賃を払う側、つまり事業をしている自分の帳簿では、生計を一にする親族に払う地代家賃は必要経費になりません1。実家の一室を作業部屋にしていても、親と生計が一つなら、毎月渡している家賃は経費の欄に載せない扱いです。

    この扱いは、土地や家屋に限りません。その他の資産を借りた場合も同様です1。たとえば親から事業用の機器を借りて料金を払う場合も、生計を一にする親族に払うものなら、同じ考え方で整理します。

    受け取る親の側の扱い

    では、受け取る親の側はどうでしょうか。生計を一にする親族に支払った地代家賃などは、受け取った人の側でも所得として考えません1。払う側は経費にせず、受け取る側も所得にしない、という双方をそろえた扱いです。

    払う側と受け取る側の扱いの比較

    次の表は、親族との支払いについて、払う側と受け取る側の扱いを並べたものです。1行目は生計を一にする親族に払う地代家賃、2行目は土地や家屋以外の資産を借りた場合です。3行目の生計が別の親族への支払いは、資料に扱いが書かれていないため、確かめる先だけを示しています。

    支払い払う側(自分)の扱い受け取る側(親)の扱い
    生計を一にする親族に払う地代家賃必要経費になりません所得としては考えません
    生計を一にする親族から、土地や家屋以外の資産を借りた場合の支払い同様です同様です
    生計が別の親族への支払い資料に記載がなく、税務署で確かめます資料に記載がなく、税務署で確かめます
    図1:生計を一にする親族との家賃のやり取り
    生計を一にする親族との家賃のやり取り 払う側(自分) 必要経費にならない 地代家賃 受け取る側(親) 所得として考えない

    出典:国税庁「No.2210 必要経費の知識」をもとに作成

    図1が示すのは、払う側では経費にならず、受け取る側では所得にならない扱いです。この扱いの前提は生計を一にすることなので、次は、その意味を確かめます。

    3. 「生計を一にする」の意味

    同じ家屋で暮らす親族の扱い

    親族が同一の家屋に起居している場合は、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、「生計を一にする」ものとして扱われます3。実家で親と暮らしているなら、原則としてこの扱いの側に入る前提で確かめます。

    実家で暮らす場合に確かめる点は、2つに絞れます。同じ家屋に起居しているか、そして明らかに互いに独立した生活を営んでいるか、の2つです。どんな場合が独立した生活に当たるのかは、資料に例が書かれていません。判断に迷うときは、税務署で確かめます。

    図2:同居している親族の判定の流れ
    同居している親族の判定の流れ 同じ家屋に起居 明らかに独立した 生活を営んでいる 当てはまらない 生計を一にする扱い 当てはまる この扱いから除く

    図の作成:Remogu編集部。国税庁のタックスアンサー(扶養控除の質疑)を整理したもので、統計データではありません

    同居を要件としない点

    一方で、「生計を一にする」とは、同居していることを要件にはしていません3。同居しているかどうかだけでは、生計が一つかどうかは決まらないということです。別居している親への支払いも、生計を一にするかどうかを個別に確かめます。

    この説明が載っている場所

    この意味の説明は、必要経費のページではなく、国税庁のタックスアンサーの扶養控除の質疑に載っています3。家賃の扱いを説明したNo.2210のページに、同じ説明が書かれているわけではありません。そのため、この記事では扶養控除の質疑の説明を、生計を一にするかどうかを確かめる手がかりとして使います。

    親への家賃とは別に、自分で払っている費用もあります。次は、光熱費などの扱いです。

    4. 自分で払う光熱費などの家事関連費

    家事関連費の範囲

    家事上と業務上の両方にかかわりがある費用は、家事関連費と呼ばれます。国税庁のタックスアンサーNo.2210は、店舗併用住宅に係る租税公課、家賃、水道光熱費などを例に挙げています1。

    実家で事業をしている場合、自分で払っている光熱費は、この水道光熱費にあたります。親に払う家賃とは別の枠で整理する費用です。

    経費にできる金額の条件

    家事関連費のうち必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合の、その区分できる金額に限られます1。請求書や領収書の金額が、そのまま経費になるわけではありません。

    区分できない部分は、必要経費になりません。区分の根拠は、取引の記録で説明できる形にしておきます。この記事では、何割を経費にするかという数字は扱いません。

    費用ごとの区分

    次の表は、家事関連費の例として挙げられている費用と、必要経費にできる範囲を並べたものです1。最後の行は比較のために、生計を一にする親族に払う家賃を入れています1。親に払う家賃は家事関連費の区分とは別に、必要経費にならない扱いです。

    費用家事関連費として経費にできるのは
    水道光熱費取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要だったことが明らかに区分できる金額だけです
    店舗併用住宅に係る家賃同じく、区分できる金額だけです
    店舗併用住宅に係る租税公課同じく、区分できる金額だけです
    生計を一にする親族に払う家賃この区分の対象ではなく、必要経費になりません

    表で見たいのは、区分できた金額だけが経費に入り、区分できない部分は入らない点です。次は、家族が事業を手伝ったときの控除を確かめます。

    5. 家族が事業を手伝うときの控除

    白色申告の事業専従者控除

    実家で事業をしていると、親や家族が手を貸してくれる場面もあります。その場合に関係する制度として、国税庁のタックスアンサーNo.2075が、白色申告の事業専従者控除の金額を示しています4。この記事が扱うのは、この白色申告の制度だけです。

    控除額は、2つの金額のうち低い方です。1つ目は上限の金額で、事業専従者が事業主の配偶者なら86万円、配偶者でなければ1人につき50万円です4。手伝ってくれるのが事業主本人の親なら、配偶者ではないので、1人につき50万円の側に入ります。

    2つ目は、控除前の事業所得等の金額を、事業専従者の数に1を足した数で割った金額です4。上限の金額が決まっていても、この割り算の金額の方が低ければ、そちらが控除額になります。

    金額が決まる仕組み

    2つの金額の関係は、図3のとおりです。上限の金額と割り算の金額を並べて、低い方が採られます。

    図3:白色申告で家族による手伝いに使う控除の金額
    白色申告の事業専従者控除の金額の決まり方 上限の金額 配偶者は86万円 配偶者以外は1人50万円 割り算の金額 控除前の事業所得等の金額 ÷(専従者の数+1) 決まる金額 いずれか低い方

    出典:国税庁「No.2075 事業専従者控除」をもとに作成

    一方で、どちらが低くなるかは、控除前の事業所得等の金額と、事業専従者の数で変わります。そのため、上限の50万円を見て金額を決めつけず、割り算の金額も一緒に計算します。この記事では計算例を示しません。

    要件と、青色申告の場合

    この控除には、事業専従者の側にも要件があります4。年齢や従事の期間などの細目は、この記事では書きません。手伝ってもらう前に、国税庁のページで要件を読み、当てはまるかを確かめます。

    青色申告には、届出にもとづく別の制度があります。この記事では扱わないので、青色申告で申告している場合は、国税庁のページか税務署で確かめます。白色か青色かで制度が分かれる点は、手伝いを頼む前に押さえておきたいところです。

    手伝いの扱いが決まっても、帳簿の中身が説明できなければ意味が薄れます。次は、どんな記録を残しておくかを段取りにします。

    6. 記録を残す

    区分の根拠になる取引の記録

    光熱費のような家事関連費は、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要だったことが明らかに区分できる金額だけが必要経費になります1。区分の根拠を後から説明するには、その場で記録を残しておく必要があります。

    ただし、資料には、何を取引の記録として残せばよいかという例は書かれていません。この節の段取りは、資料の要件を実際の作業に落とした、この記事の整理です。税務署から求められる書類の一覧ではないので、迷ったときは国税庁のページか税務署で確かめます。

    自分で払う費用の残し方

    まず、費用ごとに、請求書・領収書・利用明細を月ごとにまとめて保管します。電気、水道、ガス、通信のように種類が分かれる費用は、種類ごとにフォルダを分けておくと、月末の見直しで探し直す手間が減ります。

    次に、それぞれの費用について、事業のために使った部分があるかを、支払いのたびか月末にメモします。たとえば、仕事用の機器の電気代は、機器をつなぐ時間帯と機器の名前を書き添えます。数字で割り切れない費用は、割合を決める前に、何のために使ったかを文章で残します。

    請求書の宛名が親の名前になっている費用は、自分が払ったことが分かる記録を一緒に残します。振込の控えや、口座からの引き落としの明細がその例です。誰が払った費用かが分からないと、自分の帳簿に載せる根拠が弱くなります。

    親への支払いと手伝いの記録

    親に毎月渡しているお金は、渡した日、金額、名目を、1回ごとに1行ずつ残します。生計を一にする場合は、地代家賃が必要経費にならない扱いです1。経費に載せなくても、いつ何のために渡したお金かを記録しておけば、申告のたびに迷いません。

    家族に事業を手伝ってもらうときは、誰が、いつ、何の作業を手伝ったかを日ごとに残します。控除を受けるには要件があります4。手伝いの実態を日々の記録で示せれば、要件に当てはまるかを自分で見直すときの材料になります。

    記録がそろったら、あとは何から順に確かめるかです。次の節で、確かめる順番を1つにまとめます。

    7. 実家で事業をするときに確かめる順番

    順番と、その根拠

    確かめる順番は、生計が一つか、親への支払い、自分で払う費用、家族による手伝いの順です。先に生計を確かめるのは、親への支払いの扱いが、生計を一にするかどうかに左右されるからです1。表3に、各段階で確かめることと、資料から言えることを並べます。

    順番確かめること資料から言えること
    1. 生計が一つか同じ家屋に起居しているか、明らかに互いに独立した生活を営んでいるか同じ家屋に起居していれば、明らかに独立した生活を除き、生計を一にするものとして扱われます3
    2. 親への支払い生計を一にする親族に払っているか地代家賃などは必要経費にならず、受け取る親の側も所得として考えません1
    3. 自分で払う費用光熱費などを、取引の記録で区分できるか業務に直接必要だったと明らかに区分できる金額だけが必要経費です1
    4. 家族による手伝い白色申告か、事業専従者の要件に当てはまるか控除額は上限の金額と割り算の金額の低い方です4
    図4:実家で事業をするときの確認の流れ
    実家で事業をするときの確認の順番 1 生計は一つか 同居か、独立した生活か 2 親への支払い 生計を一にする場合の扱い 3 自分で払う費用 区分できる金額だけ 4 家族による手伝い 白色申告の事業専従者控除

    図の作成:Remogu編集部。国税庁の3ページの内容を確かめる順に並べたもので、統計データではありません

    この順に進めると、後の段階で迷ったときに、どこで分かれたかを前の段階までさかのぼれます。たとえば、親への支払いの扱いに迷ったら、1つ目の「生計は一つか」に戻って確かめます。

    資料に書かれていない場面

    国税庁の3ページに書かれていないことも残ります。生計が別の親族への支払いの扱い、明らかに独立した生活に当たる具体例、事業専従者の要件の細目の3つです。この記事は、この3つを断定しません。

    これらに当たる場面では、国税庁のページを読み直すか、税務署で確かめます。個別の事情は人ごとに違うため、必要に応じて税理士にも相談します。記録を手元にそろえてから相談すれば、話が早く進みます。

    帳簿を開いたまま手が止まったとき

    冒頭の場面に戻ります。毎月親に渡している家賃を経費の欄に書くかどうかで、手が止まっていました。分かれ目は、金額の大きさではなく、親と生計が一つかどうかです1。親に払うお金は、先に生計が一つかどうかを確かめてから帳簿に載せます。

    この順番を知っていれば、帳簿を開いてから迷う時間は短くなります。確かめる点は4つで、記録は日々の段取りに組み込めます。

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    8. よくある質問

    実家に家賃を払えば経費になりますか

    生計を一にする親族に払う地代家賃は、必要経費になりません1。実家で親と同じ家屋に起居している場合は、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、生計を一にするものとして扱われます3。

    そのため、同居している実家に家賃を払っても、経費の欄には載せない扱いが基本です。ただし、独立した生活に当たる具体例は、資料に書かれていません。当てはまるか迷うときは、税務署で確かめます。

    別居している親に払う家賃はどうなりますか

    「生計を一にする」は、同居を要件とするものではありません3。別居していても、生計を一にしているなら、その親に払う地代家賃は必要経費になりません1。

    一方、別居で生計も別の場合の扱いは、資料に書かれていないため、この記事は断定しません。同居かどうかだけで決めず、生計を一にするかを個別に確かめたうえで、国税庁のページか税務署に当たります。

    親に手伝ってもらったら経費になりますか

    白色申告の場合、国税庁が示しているのは事業専従者控除です。控除額は、配偶者なら86万円、配偶者でなければ1人につき50万円と、控除前の事業所得等の金額を事業専従者の数に1を足した数で割った金額の、いずれか低い金額です4。

    控除には要件があるので、手伝ってもらう前に確かめます。青色申告には別の制度があります。青色で申告している場合は、国税庁のページか税務署で確かめます。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 国税庁「No.2210 必要経費の知識」(2026年4月・2026年10月確認)
    *2 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能
    *3 国税庁「扶養控除」(2026年4月・2026年10月確認)
    *4 国税庁「事業専従者控除」(2026年4月・2026年10月確認)