フリーランスの年末年始は支払期日がずれる?請求の締めと休みを伝える判断基準
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- 発注事業者が支払期日を受領した日から60日以内で具体的に定める決まりと、金融機関の休業日に重なったときの順延の扱い
- 休む日・連絡の取り方・請求書の送付日を12月の早いうちに取引先とそろえる項目と、年をまたぐ報酬を収入に数える年の考え方
- 6か月以上の業務委託を年末で区切るときの予告の決まりと、年明けの確定申告に向けて12月に残しておく記録
12月の定例が終わったあと、取引先から「当社は年内の営業が今週までで、年明けは第2週からです」と告げられました。業務委託で案件を受けているフリーランスは、12月分の請求書をいつ送り、報酬がいつ入るのかを、頭の中で数え直す場面を迎えます。休みが重なると請求も入金も後ろにずれ、資金繰りや確定申告の準備が狂うのではないか、という不安が浮かぶのはこのときです。年末年始は、取引先の営業日、金融機関の休業日、年の区切りが同時に動く時期なので、日にちの数え間違いが起きやすくなります。そこで、年末年始は、休む日より先に、締めと支払期日を決めます。
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1. 年末年始に決めておく3つのこと
稼働・請求・支払は別々に動く
年末年始に動くのは、休みの日だけではありません。稼働をいつ止めていつ再開するか、12月分の請求をいつ締めて送るか、年明けの報酬をいつ受け取るか。この3つは別々の話ですが、取引先の営業日に左右されるため、1つがずれると残りも後ろにずれます。
稼働は、最終稼働日と年明けの稼働開始日、休み中の連絡の可否で決まります。請求は、12月分をどの日で締めて、請求書をいつ送るかの話です。支払は、年明けの支払期日がいつなのかであり、契約書や発注書に書かれた日を見れば分かります。
図の作成:Remogu編集部。年末年始に取引先とそろえる項目を整理したもので、統計データではありません
休む日より先に締めと支払期日を決める
先に決めたいのは、休む日ではなく、締めと支払期日です。休む日は自分の予定として組めますが、支払期日には取引先との契約と、発注事業者に課された決まりが関わるからです。
たとえば、年明けの稼働開始日を取引先から聞いた時点で、請求書の送付日と支払期日を並べて確かめておくと、年明けの入金の見通しが立ちます。休みの日取りだけを先に決めると、報酬が入る日を後から知ることになります。次は、年明けの支払期日がどう決まるかです。
2. 年明けの支払期日と60日以内の決まり
発注事業者が定める支払期日
フリーランス法では、発注事業者は報酬の支払期日を、発注した物品等を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内で定める義務があります1。起算点は、請求書を送った日や月末ではなく、給付を受領した日です。主語は発注事業者であり、フリーランスが守る期限ではありません。
60日は上限であり、その範囲で、できる限り短い期間内に支払期日を定める義務が発注事業者にあります。そのため、60日いっぱいを待つ前提で資金繰りを組む必要はなく、契約書に書かれた支払期日がいつなのかを見れば足ります。
公正取引委員会の特設サイトによると、支払期日は具体的な日を特定できるように定める必要があり、「まで」「以内」という記載は支払期日を定めているとは認められません1。決まりの内容を、起算点・期限・定め方・認められない書き方・記載例の順に並べると、次のとおりです。
| 決まり | 内容 |
|---|---|
| 起算点 | 給付を受領した日です1 |
| 期限 | 60日以内のできる限り短い期間内です1 |
| 定め方 | 具体的な日を特定できるように定めます1 |
| 認められない書き方 | 「まで」「以内」という記載は、支払期日を定めているとは認められません1 |
| 記載例 | 毎月●日締切、翌月●日支払 |
12月に終えた作業の支払期日を確かめる
12月に終えた作業の報酬がいつ入るかは、契約書や発注書の支払期日の書き方で分かります。「毎月●日締切、翌月●日支払」のように具体の日が書かれていれば、年明けの入金日がそのまま見えます。
一方、「納品後60日以内」のように「以内」で書かれているときは、支払期日が具体的な日になっていません1。年末年始の前に、取引先へ支払期日を問い合わせておくと、12月分の入金日を年内に知ることができます。では、決まった支払期日が金融機関の休業日に当たったときは、どう扱われるのでしょうか。
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3. 支払日が金融機関の休業日に重なったとき

順延が2日以内のとき
支払日が金融機関の休業日に当たる場合、翌営業日へ順延する取り決めを置くことがあります。公正取引委員会は特設サイトで、順延する期間が2日以内で、翌営業日に順延することをあらかじめ書面または電磁的方法で合意しているときは、結果として受領日から60日を超えて支払われても問題とはしない、と示しています1。
条件は2つです。順延が2日以内であることと、順延することをあらかじめ書面または電磁的方法で合意していることです。支払期日の60日という線は、この2つがそろうと、順延の結果として超えても問題とはしない扱いになります。
順延後も60日以内のとき
もう1つは、順延後の支払期日が給付を受領した日から60日以内である場合です。この場合は、あらかじめ順延することを書面または電磁的方法で合意していれば、金融機関の休業日による順延期間が2日を超えても問題とはしない、と示されています1。
2つの示し方で共通するのは、順延の合意を「あらかじめ」書面または電磁的方法で交わしている点です。ただし、日にちの条件は異なります。前者は順延が2日以内であること、後者は順延後の期日が60日以内であることです。
出典:公正取引委員会「2026年公正取引委員会フリーランス法特設サイト」をもとに作成
年末年始は金融機関の休業日が続くことがあるため、年明けの支払期日と休み明けの日の並びを、12月のうちに契約書で見ておきます。次は、休む日と連絡の取り方を取引先へ伝える段取りです。
4. 休む日と連絡の取り方を伝える時期
12月の早いうちに伝える項目
年末年始の休みは、12月の早いうちに、定例や月次の報告の場で取引先へ伝えます。年明けの稼働開始日が取引先の営業開始日より前か後かで、請求書の送付日や年内に区切る作業が変わるため、日にちをそろえることが目的です。
伝える項目は6つです。最終稼働日、年明けの稼働開始日、休み中の連絡の可否と手段、障害が起きたときの連絡先と対応の範囲、年内に区切る作業、請求書の送付日です。休む日だけを伝えると、連絡がつくのかどうか、請求書がいつ届くのかを取引先が判断できません。
| 伝えること | 例 |
|---|---|
| 最終稼働日 | 年内に最後に作業をする日と、その日に済ませる作業 |
| 年明けの稼働開始日 | 稼働を再開する日と、最初に取りかかる作業 |
| 休み中の連絡 | 連絡の可否と、連絡を受ける手段 |
| 障害が起きたとき | 連絡先と、対応を引き受ける範囲 |
| 年内に区切る作業 | 年内に納める成果と、年明けに回す作業 |
| 請求書の送付日 | 12月分の締めと、請求書を送る日 |
休み中の対応と報酬の扱い
休み中も障害対応を引き受けるのなら、その分の報酬の扱いを先にクライアントと協議します。月額の報酬に含めるのか、別に取り決めるのかで、休み中に連絡を受ける重みが変わるからです。
引き受けない場合は、連絡がつかない日を明示し、緊急時の連絡先を取引先の側で決めてもらうと、行き違いを避けられます。どちらの場合も、決めた内容はメールなど文字に残る形で取引先と共有しておきます。では、12月の作業の報酬が年明けに入るとき、収入はどの年に数えるのでしょうか。
5. 12月の作業の報酬と収入の年
年末までに受け取っていない報酬
所得税では、その年に収入すべき金額は、年末までに金銭を受け取っていなくても「収入すべき権利の確定した金額」になります2。国税庁は、12月20日に商品を売って代金を翌年1月10日に受け取った場合は、その年の収入になる例を示しています。
ただし、いつを収入とするかは、取引の内容や性質、契約の取決め、慣習で判定します2。国税庁の例は商品の販売であり、業務委託の作業にそのまま当てはめた記述ではありません。
出典:国税庁「No.2200 収入金額とその計算」をもとに作成
業務委託の作業に当てはめるとき
12月に終えた作業の報酬が年明けに入るとき、どの年の収入に数えるかは、取引の内容や契約の取決めによって判定が変わりえます。12月に終えたからその年の収入と言い切れるものではないので、契約書の取決めを見て考えます。
入金した日に収入へ計上する方法(現金主義)もありますが、要件や届出は別の記事の主題です。考え方は、現金主義を扱った記事で確かめられます。次は、年末で契約が切れるときの決まりです。
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6. 年末で契約が切れる・更新しないとき

発注事業者が更新しないときの予告
年末で契約期間を区切る取引先もあります。区切りに当たる契約では、更新するのかどうかを12月の早いうちに確かめておくと、年明けの稼働の見通しが立ちます。
発注事業者は、フリーランスに6か月以上の業務委託をしている場合に契約を解除する、または更新しないときは、少なくとも30日前までに書面・ファクシミリ・電子メール等で予告する義務があります1。6か月未満の契約や、フリーランスの側から更新しない場合の決まりは、この資料には書かれていません。
| 場面 | 確かめること |
|---|---|
| 6か月以上の業務委託を発注事業者が解除・不更新 | 少なくとも30日前までに予告されます1 |
| 予告の方法 | 書面・ファクシミリ・電子メール等です1 |
| 年明けも続けるとき | 更新の有無と条件を、12月のうちに取引先へ確かめます |
年明けも続けるときの確かめ方
年明けも続ける場合は、更新の有無と条件を12月のうちに取引先へ確かめます。確かめておきたい条件は、年明けの稼働開始日、報酬の決め方、支払期日です。
更新の返事が年明けまで持ち越されると、稼働開始日も年明けの請求の予定も決められません。そのため、休みの連絡と一緒に更新の有無を尋ねる形にすると、取引先も答えやすくなります。次は、年明けの確定申告に向けて12月に残しておく記録です。
7. 確定申告に向けて12月に残しておく記録
年内にまとめる請求書と契約書
12月分の請求書の控え、契約書、入金の記録は、年内にまとめておきます。年明けに支払期日が来る報酬は、請求書の控えと契約書がそろっていれば、どの作業の報酬で、支払期日がいつなのかを照らし合わせられます。
入金の記録は、年明けに入金があった時点で、12月分の請求書の控えと並べて残します。申告の手順そのものは別の記事で扱っているので、ここでは12月に残す記録までにとどめます。手順は確定申告を扱った記事で確かめられます。
年明けの入金から確定申告まで
令和7年分の所得税の確定申告では、確定申告会場での相談と申告書の受付は、2026年2月16日から3月16日までと国税庁が案内しています3。翌年分の日程は別に発表されるため、国税庁の発表で確かめます。
出典:国税庁「令和7年分確定申告期の確定申告会場のお知らせ」をもとに、Remogu編集部が流れを整理して作成
取引先から「年明けは第2週から」と告げられた12月の定例の場面に戻ります。休む日を数える前に、12月分の締めと年明けの支払期日を決めておけば、請求書をいつ送り、報酬がいつ入るのかを数え直す場面は減ります。年末年始は、休む日より先に、締めと支払期日を決めます。
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8. よくある質問
年末年始に休む日は、いつまでに取引先へ伝えればよいですか
12月の早いうちに、定例や月次の報告の場で伝えます。休む日に加えて、年明けの稼働開始日、連絡の取り方、請求書の送付日も一緒に伝えると、取引先が年内の予定を組みやすくなります。
年末年始に休んでいる間の報酬はどうなりますか
契約の報酬の決め方によって変わります。月額で決めているのか、作業時間で決めているのか、成果物で決めているのかで、休みの扱いは異なります。休みの扱いは取引先と協議し、決めた内容を書面に残します。
確定申告の期間は毎年同じですか
令和7年分は、確定申告会場での相談と申告書の受付が2026年2月16日から3月16日まででした3。翌年分の日程は別に発表されるため、そのまま当てはまるとは限りません。国税庁の発表で確かめます。
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年末年始は、休む日と請求の締めと支払期日を12月の早いうちに取引先とそろえておくと、年明けに慌てずに済みます。フルリモートで受けられる案件から、次の契約も探してみてください。
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出典・参考情報
*1 公正取引委員会「2026年公正取引委員会フリーランス法特設サイト」(2026年10月8日・2026年10月確認)
*2 国税庁「No.2200 収入金額とその計算」(2026年4月1日・2026年10月確認)
*3 国税庁「令和7年分確定申告期の確定申告会場のお知らせ」(2026年・2026年10月確認)