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    Next.jsの案件で描画の方式は誰が決める?判断の材料と条件の違いを整理

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    「Next.jsの案件で描画の方式を決める2つの軸」を示す図です。端末が偏る/更新が少ない/端末が広い/更新が多いを並べています。強調しているのは端末が偏るです。ここで決まると添えています。

    📘 この記事でわかること

    • スマートフォンの利用がパソコンを27.6ポイント上回っていることと、20〜59歳の各層で利用が9割に達している実態
    • UI・UXに関わるデザイナーの在籍が日本で2割にとどまることと、人材不足が方針づくりを難しくしている背景
    • データ形式をそろえる意識は作る側で高いことと、設計や方針づくりは利用する側ほど遅れていること

    Next.jsの案件を受けるとき、描画の方式をどう決めるかで迷う場面があります。決め手になりそうなのは技術の好みですが、案件の現場ではそう単純に進みません。画面をどう出すかを左右するのは、誰がどの端末で見るかと、方針を決める立場が社内のどこにあるかです。この記事では、判断の材料をデータの側から整理し、受ける側として何を確認すればよいかをまとめます。

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    1. 描画の方式は好みでは決まらない

    端末の使われ方に大きな偏りがある

    描画方式の相談を受けるとき、最初に確認したいのは技術の好みではなく、実際にどの端末で画面が開かれているかです。総務省の調査では、スマートフォンの利用率が74.4%となり、パソコンの46.8%を27.6ポイント上回っています2

    この差は一時的な傾向ではありません。20〜59歳の各年齢階層でスマートフォンの利用が9割に達しており、働く世代の大半が日常的にスマートフォンで情報に触れています3

    つまり、画面を先にパソコン向けに組み立ててから小さい端末へ合わせるという順番は、実態と噛み合いにくくなっています。案件で描画の方式を検討する際は、スマートフォンでの表示を起点に考える方が現状に近づきます。

    好みで選ぶと後から作り直しになりやすい

    描画の方式を決める場面では、慣れている手法や好みの技術構成を先に選びたくなることがあります。ただし、案件の現場で優先されるのは、開いた瞬間にどう見えるかという結果です。

    端末の使われ方が偏っている以上、描画の組み立ては後からの調整で吸収するより、最初の段階で端末の比率を踏まえておく方が手戻りを抑えられます。技術構成の話をする前に、この2つの数値を土台に置くことが判断の出発点になります。

    受ける側としては、案件の初期段階でこの2つの数値を材料として持ち出せると、方針の話し合いを技術の好みではなくデータの土台に乗せやすくなります。

    案件に入った直後に確かめられることもあります。想定する利用者がどの端末で画面を開くことが多いかを尋ねるだけでも、判断の精度は変わってきます。この数値を初回の打ち合わせで共有しておくと、後から仕様の前提を確認し直す手間も減らせます。

    クライアントがパソコンでの見え方を重視する案件もあります。その場合も、実際の利用データを添えて話をすると、優先順位を調整する話し合いが進めやすくなります。

    図1:端末の使われ方の偏り
    端末の使われ方の偏り スマートフォン 74.4% パソコン 46.8% スマートフォン(20〜59歳) 9割 横軸は利用率のめやす(右へ長いほど利用率が高い)

    出典:総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」(2025年7月)/総務省「通信利用動向調査の結果」(2025年5月)をもとに作成

    2. 画面の方針を決める人がいない

    デザイン責任の置き場所が国によって違う

    画面の方針を誰が持つかは、組織にUI・UXに関わるデザイナーが在籍しているかどうかで大きく変わります。総務省の調査によると、日本でUI・UXに関わるデザイナーが在籍している企業は20.8%にとどまり、他国では約55%から70%に達しています1

    この差は、画面の細部を判断する役割が社内のどこにあるかという構造の違いを表しています。デザイナーが在籍していない組織では、描画の方式や表示の優先順位を決める材料が、開発を受ける側に委ねられやすくなります。

    受ける側からすると、これは負担が増えるだけの状況ではありません。判断の材料を先に示せれば、方針そのものを一緒に組み立てる立場に回れるということでもあります。

    図2:デザイナーの在籍率の差
    デザイナーの在籍率の差 日本 20.8% 他国 約55%〜70%

    出典:総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」(2025年7月)をもとに作成

    観点割合対象
    UI・UXに関わるデザイナーが在籍している企業20.8%日本
    UI・UXに関わるデザイナーが在籍している企業約55%〜70%他国
    デジタル化の課題として人材不足を挙げる企業48.7%日本

    人材不足も方針が定まらない一因になっている

    方針を決める人が育ちにくい背景には、人材の不足も関わっています。デジタル化を進めるうえでの課題として、人材不足を挙げる企業の割合が48.7%と最も大きくなっています9

    人員に余裕がない組織では、画面の細部を継続的に見る役割を新たに置く余地が生まれにくく、描画の方針は案件ごとにその場で決まる運用になりやすくなります。

    この2つの数値を踏まえると、画面の方針が空いたまま案件が始まることは珍しくありません。受ける側がその空白にどう向き合うかが、次の判断の材料につながります。

    方針が定まっていない案件では、最初の打ち合わせで小さな確認を重ねることが助けになります。誰が画面の見え方に責任を持つのかを尋ねておくと、後の工程で判断が迷子にならずに済みます。

    方針を決める人が定まらないまま進む案件では、小さな決定をそのつどクライアントと共有し、認識のずれを早い段階でならしておくことが助けになります。

    デザイナーが在籍していない組織との案件では、画面の見え方について具体的な選択肢を示す役目が回ってくることもあります。選択肢を2つか3つに絞って提示すると、方針を決める側の負担も軽くなります。

    3. 判断の材料はデータの側にある

    データの形をそろえる意識は作る側で高い

    画面の方針が定まっていない状況でも、判断の手がかりが完全にないわけではありません。IPAの調査では、APIの活用や標準的なデータフォーマットをそろえる取り組みについて、開発を担う側を中心に意識が高いことが示されています4

    これは、描画の方式を選ぶ際の起点をデータの形に置けることを意味します。表示の見た目を先に決めるのではなく、扱うデータがどう整っているかを確かめてから組み立てを考える方が、話が具体的になります。

    受ける側として案件に入るときは、まずこの点を尋ねてみる価値があります。データの形式が整理されているかどうかで、描画の方式に許される幅がかなり変わってきます。

    取り組みの内容意識・状況中心となる側
    APIの活用や標準的なデータフォーマットの整備意識が高い開発を担う側
    モジュール性やデータモデルを意識した設計依然として少ない利用する側

    設計への取り組みはまだ少ない

    一方で、モジュール性やデータモデルを意識した設計に取り組む企業は、利用する側を中心に依然として少ない状況です7

    データの形式への意識と、それを支える設計への取り組みの間には差があります。方向性は見えていても、実際の仕組みまで整っている案件ばかりではないということです。

    この差を把握しておくと、描画の方式を提案する際に、どこまでを前提にできて、どこからを自分で補う領域かを切り分けやすくなります。

    データの形式を確かめる質問は、案件の早い段階でするほど効果があります。整理が進んでいる範囲が分かれば、描画の方式を提案する際の具体性が増し、後工程でのやり直しも減らせます。

    データの形式が整っていない案件では、描画の前に軽い変換の仕組みを挟む場面が増えます。この一手間を最初から見込んでおくと、見積もりの精度も上がります。

    データの形式に関する確認は、一度で終わらせずに案件の途中でも見直す価値があります。扱う対象が増えるにつれて、当初の前提から外れる部分が出てくることもあるためです。

    図3:データに関する意識と整備状況の差
    データに関する意識と整備状況の差 開発を担う側 APIの活用や 標準的なデータ形式を そろえる意識が高い 利用する側 モジュール性や データモデルの設計、 方針づくりは対応が 遅れている

    出典:IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」(2025年4月)をもとに作成

    4. 方針の整備が追いついていない

    データ利活用の方針は対応が遅れている

    データの形式をそろえる動きが進んでいても、その先にあるデータ利活用の方針づくりは足並みがそろっていません。IPAの調査では、データ利活用に関する方針を明確にする対応について、遅れが目立つと指摘されています8

    方針が固まっていない段階では、描画の方式を決める材料も断片的になりがちです。どの画面にどこまでデータを反映させるかという判断の基準が、案件ごとに違って見えるのはこのためです。

    受ける側は、この遅れを前提にして案件に臨む方が現実的です。方針が固まるのを待つよりも、今ある材料でどこまで判断できるかをそのつど確かめる姿勢が役立ちます。

    方針が固まっていない案件ほど、確認の記録を残す価値が高くなります。何を確かめて何を保留にしたのかを言葉にしておくと、後で方針が変わったときの説明もしやすくなります。

    方針の整備が追いついていない案件を重ねて経験すると、何を先に確認するかの勘所が磨かれていきます。この積み重ねは、次の案件を選ぶ際の判断材料にもなります。

    設計面への波及も限られている

    方針の整備が追いついていない状況は、設計の面にも波及しています。モジュール性やデータモデルを意識した設計に取り組む企業は、利用する側を中心に依然として少ないままです7

    描画の方式を選ぶ場面では、この設計面の余地の狭さも計算に入れておきたいところです。理想的な構成を提案しても、受け皿となる設計が追いついていなければ、実装の段階で調整が必要になります。

    方針と設計の両方が整うのを待つのではなく、今ある材料の中でどこまで組み立てられるかを見極めることが、案件を進めるうえでの現実的な判断になります。

    設計の余地が狭い案件では、提案の粒度を小さく保つことも一つの進め方です。一度にすべてを変えようとせず、影響の範囲が分かりやすい部分から手を付ける方が、合意を得やすくなります。

    5. 書かない選択もある

    ノーコードやローコードを取り入れる動きが広がっている

    描画の方式を考えるとき、すべてを一から組み立てることだけが選択肢ではありません。IPAの調査では、ノーコードやローコードの手法を、一部利用を含めて全体の約4割の企業が取り入れています5

    描画の一部をあらかじめ用意された仕組みに任せられるなら、書かない選択そのものが判断の一つになります。案件によっては、一から組み立てるより、既存の仕組みに乗せる方が方針とかみ合うこともあります。

    受ける側としては、案件の初期にこの選択肢が検討されているかを確かめておくと、描画の方式を提案する際の幅が広がります。

    書かない選択を検討する際は、既存の仕組みでどこまで賄えるかを早めに見極めることが役立ちます。賄えない部分だけを自分で組み立てる形にすると、案件全体の負担も抑えられます。

    書かない選択を取り入れる案件では、役割の重心が一から組み立てることよりも、既存の仕組みを見極めて組み合わせることに寄っていきます。

    この重心の移り方は、案件を選ぶときの一つの目安にもなります。組み立てる経験を積みたいのか、組み合わせて仕上げる経験を積みたいのかによって、向いている案件の性質も変わってきます。

    取り組み・意識割合対象
    ノーコード・ローコードを取り入れている企業(一部利用含む)約4割全体
    開発におけるAI導入を意識している企業約2割利用する側
    開発におけるAI導入を意識している企業約4割開発を担う側

    AI活用への温度差も判断材料になる

    開発におけるAIの導入についても、意識の差が見られます。利用する側では検討中・試行中を含めて約2割、開発を担う側では約4割が導入を意識している状況です10

    この差は、AIを前提にした描画の組み立てを提案する際の温度感にも関わってきます。開発側が意識していても、利用する側の理解がまだ追いついていない案件では、段階を踏んだ説明が必要になります。

    書かない選択とAI活用への温度差は、どちらも案件ごとの前提を確かめる材料です。方針が定まっていない状況だからこそ、こうした材料を一つずつ積み重ねる姿勢が役立ちます。

    6. 品質が最優先という前提

    利用する側が最も重視するのは品質

    描画の方式や仕組みの新しさにこだわりたくなる場面でも、利用する側が最優先で捉えているのは品質です6

    この前提を踏まえると、描画の方式を選ぶ基準は「新しいかどうか」ではなく「安定して動くかどうか」に近づきます。案件の中で技術的な選択を説明するときも、品質への影響を軸に置くと話が伝わりやすくなります。

    受ける側としては、提案する構成が品質にどう関わるかを言葉にできると、方針が定まっていない案件でも判断の軸を示しやすくなります。

    品質を軸にした説明は、方針が定まっていない案件ほど効果を発揮します。新しさよりも安定を優先する理由を言葉にできれば、判断の根拠として受け止められやすくなります。

    品質を軸にした提案は、報酬や期間を協議する場面でも土台になります。何を優先して確かめたかを示せると、条件を協議する場面でも説得力が増します。

    新しい仕組みを試したい気持ちと、品質を優先したい現場の期待は、対立するとは限りません。両方を満たす提案の幅を持っておくことが、案件の中で信頼を積み重ねる近道になります。

    設計の土台が追いついていない現実と向き合う

    品質を最優先に置く前提がある一方で、その土台となる設計に取り組む企業は依然として少ない状況です7

    望まれている水準と、実際の設計の状態にはずれが生じやすいということです。受ける側はこのずれを前提にして、どこまでを提案し、どこからを段階的に整えるかを切り分ける必要があります。

    品質を軸に置きながら、設計の現実的な到達点を見極めること。この2つを両立させる視点が、描画の方式を判断する際の土台になります。

    設計の到達点を見極める際は、影響の大きい画面から優先して確かめる方法が現実的です。すべての画面を同じ水準で整えようとするより、重要度に応じて手をかける範囲を選ぶ方が、品質と現実的な進め方の両方を保てます。

    7. 判断を残す順番

    確認する順番を決めておく

    ここまで見てきた材料を踏まえると、描画の方式を判断する順番が見えてきます。まず画面の方針を決める人が社内にいるかを確かめます。UI・UXに関わるデザイナーが在籍している企業は日本で20.8%にとどまるため1、方針が定まっていない前提で臨む案件の方が多くなります。

    そのうえで、APIの活用や標準的なデータフォーマットをそろえる意識が、開発を担う側を中心に高いという材料を重ねます4。この順番で確かめると、描画の方式を選ぶ根拠を、好みではなくその案件固有の状況から組み立てられます。

    確認した内容を記録に残す

    確認した内容は、口頭のやり取りだけで終わらせず、簡単な記録として残しておくと後の工程で役立ちます。誰がどの端末を想定して方針を決めたのか、データの形式についてどこまで合意したのかを書き残しておくことで、途中から関わる担当者にも判断の背景が伝わります。

    記録を残す習慣は、方針を決める人が社内にいない案件ほど効果を発揮します。次に似た判断が必要になったとき、過去の記録が代わりの拠り所になるためです。この順番と記録の習慣は、Next.js以外の案件で描画の方式を判断する場面でも、そのまま生かせる考え方です。

    図4:判断を記録に残す順番
    判断を記録に残す順番 ①方針を決める人が社内にいるか確かめる ②データ形式をそろえる意識がどちら側にあるか見る ③描画の方式を選ぶ根拠として言葉にする ④確認した内容を記録として残す

    図の作成:Remogu編集部。本文で挙げた確認事項を順番に整理したもので、独自の統計データではありません

    描画の方式についての判断を積み重ねていくと、その経験は案件を選ぶ際の材料にもなります。Remoguの案件は90%以上がフルリモート可能です。自分の判断力を活かせる案件がどれくらいあるか、確かめてみるのも一つの進め方です。

    描画の方式は案件のどの段階で確認すればよいですか

    案件が始まってから早い段階で確認しておくと、後の手戻りを抑えられます。画面の方針を決める人が社内にいるかどうかは案件によって違うため1、最初の打ち合わせでこの点を尋ねておくと、判断の材料をそろえやすくなります。

    データの形式が整っていない案件ではどう進めればよいですか

    データの形式をそろえる意識は、開発を担う側を中心に高い一方、設計への取り組みが利用する側で依然として少ない案件もあります7。整っていない部分が見えたら、一度に整えようとせず、影響の大きい範囲から段階的に確かめていく進め方が現実的です。

    書かない選択は品質の面で不利になりますか

    書かない選択そのものが品質を下げるわけではありません。利用する側は品質を最優先の事項として捉えているため6、ノーコードやローコードを取り入れる場合も5、選んだ仕組みが安定して動くかどうかを基準に判断すると、方針とかみ合いやすくなります。案件ごとに前提が違う以上、判断の根拠を都度言葉にして残しておくことが、次の案件でも役立つ財産になります。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」設計する人の不在(2025年7月・2026年8月確認)
    *2 総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」使う道具の偏り(2025年7月・2026年8月確認)
    *3 総務省「通信利用動向調査の結果」働く層の利用(2025年5月・2026年8月確認)
    *4 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」つなぎ目の意識(2025年4月・2026年8月確認)
    *5 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」書かない選択(2025年4月・2026年8月確認)
    *6 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」評価の軸(2025年4月・2026年8月確認)
    *7 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」境界の不在(2025年4月・2026年8月確認)
    *8 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」方針の遅れ(2025年4月・2026年8月確認)
    *9 総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」最大の課題(2025年7月・2026年8月確認)
    *10 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」道具の広がり(2025年4月・2026年8月確認)