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    【未経験】リモートの案件で問われるのは年数か|書ける経験とまだ書けない経験の違い

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    「未経験可でも問われること」を示す図です。書ける経験/まだ書けない経験を並べています。強調しているのは書ける経験です。ここで見られると添えています。

    📘 この記事でわかること

    • 年数ではなく「書ける経験」の有無が見られていることと、書ける経験とまだ書けない経験を分ける具体的な視点
    • 品質を最優先する現場ほど任される範囲が広がることと、仕組みが整っていない現場で先に確かめておきたい点
    • 新しい技術では年数の差が出にくいことと、条件を書面で確かめる視点、困ったときの相談先があるという事実

    実務の年数がまだ短いままリモートの案件情報を眺めると、「未経験可」という文字の意味がつかみにくく感じられます。年数を重ねた人と何が違って、何が同じように見られているのかがはっきりしないためです。IPAの調査では、人材の確保や新しい技術への対応を課題に挙げる企業が多く、外から人を迎えて中で作る動きが進んでいます1。この記事では、未経験可の案件で実際に見られている観点と、参画する前に確かめておきたい点を順番に整理します。

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    1. 未経験可の案件で見られているもの

    外から人を迎えて中で作る動きが広がっている

    内製化を進める企業の課題として、人材の確保や新しい技術への対応を挙げる声が多くあります1。中だけで抱えるには追いつかない部分を、外から人を迎えて埋める発想が広がっている状況です。

    実際に、システム開発の内製化を進めている企業は約半数にのぼります2。内製化が進むほど、社内だけでは手が回らない工程が生まれ、そこにリモートで参画する人の居場所ができます。

    見られているのは年数ではなく「任せられる範囲」

    「未経験可」という表示は、経験そのものを問わないという意味ではありません。実務の年数が浅くても任せられる範囲があるという案内であり、任せられるかどうかの基準は年数とは別のところにあります。

    年数を基準にすると、実務の年数がまだ少ない人は評価の入口にすら立てません。一方で、できることの説明を基準にすると、任せられる範囲がどこまでかという具体的な話に変わります。

    観点年数で見る場合できることの説明で見る場合
    確かめる対象実務についた年数任せられる作業の範囲
    評価のタイミング経歴を出した時点で判断されやすいやり取りの中で具体的に判断される
    分かりやすさ数字なので比べやすい説明の具体性で差が出る
    実務の年数が少ない人にとっての意味入口に立ちにくい具体的に書ければ入口に立てる

    表からも分かるとおり、年数で見る場合とできることの説明で見る場合とでは、確かめる対象そのものが違います。案件情報を読むときは、年数の記載よりも、任せられる作業の範囲がどう書かれているかを見る方が手がかりになります。

    図1:年数で見る場合とできることの説明で見る場合の分かれ目
    年数で見る場合とできることの説明で見る場合の分かれ目 年数で見る場合 実務についた年数という 1つの数字で判断される 経歴の時点で入口が決まる できることの説明で見る場合 任せられる作業の範囲を 具体的な説明で確かめる 説明の具体性で入口が変わる 未経験可の案件で見られているのは、後者の説明です

    図の作成:Remogu編集部。案件情報の読み方の違いを整理したもので、統計データではありません

    次の章では、この「任せられる範囲」を、書ける経験とまだ書けない経験という形でさらに分けて見ていきます。

    2. 「書ける経験」と「まだ書けない経験」の分け方

    「書ける経験」とは担った範囲がはっきりしている経験

    内製化を進める企業が増えるほど2、外から入る人には「何を担ったか」を具体的に示すことが求められます。担当した作業の範囲、扱った対象、判断した基準がはっきりしている経験は、そのまま書ける経験になります。

    逆に、関わってはいても担当の範囲がはっきりしない経験は、書いても伝わりにくくなります。チームの一員として関わった、という書き方では、任せられる範囲を判断する材料になりません。

    「担当した」だけでなく、どういう場面で何を基準に進めたかまで書けると、実務の年数がまだ少ない人でも、判断材料になる情報が増えます。範囲と基準の2つをセットで示すことがポイントです。

    「まだ書けない経験」を無理に埋めない

    ユーザー企業は品質を最も優先する事項として捉えています3。品質を優先する現場ほど、できることとできないことの境目をはっきり示す人の方が、任せる側にとって扱いやすくなります。

    まだ担ったことのない範囲を、担ったことがあるかのように書くと、任される段階で食い違いが生じます。まだ書けない経験は書けないままでよく、代わりにどこまでなら担えるかを具体的に示す方が伝わります。

    図2:書ける経験・まだ書けない経験・埋め方
    書ける経験・まだ書けない経験・埋め方 書ける経験 担当した範囲が明確な経験 そのまま書いて伝わる まだ書けない経験 担ったことがまだ無い範囲 無理に書くと食い違いが出る 埋め方 書ける経験は具体的な説明で示し、まだ書けない経験は現場で担いながら増やす

    図の作成:Remogu編集部。経験の伝え方の違いを整理したもので、統計データではありません

    書ける経験とまだ書けない経験の分け方を踏まえて、次の章では、品質を最優先する現場でどこまで任されるかを見ていきます。

    3. 品質が最優先という前提で任される範囲

    品質を優先する現場ほど、確認の工程を任せやすい

    ユーザー企業が品質を最優先事項として捉えている以上3、確認や検証にあたる工程は、実務の年数よりも、確認の観点をどれだけ具体的に持っているかで任せる範囲が変わります。

    一方で、技術情報の収集が体系的な仕組みを持たず、個人に任されている企業も多く見られます4。個人の裁量に委ねられている分、実務の年数が少なくても、確認の型を自分の言葉で説明できる人には任せる範囲が広がります。

    任される範囲は「入口」と「奥」に分かれる

    品質を優先する現場でまず任されやすいのは、決められた基準に沿って確認する入口の工程です。基準が明文化されている分、実務の年数が少なくても取り組みやすい範囲になります。

    一方で、基準そのものを作る、あるいは基準から外れた場合の判断をする奥の工程は、実務の積み重ねが必要な範囲として残ります。この境目が埋まっていく過程が、任される範囲が広がっていく過程でもあります。

    観点確認の入口側判断が必要な奥側
    基準の有無決められた基準がある基準を作る、または外れた場合を判断する
    求められる経験基準に沿って確認できること基準から外れた場合の妥当性を判断できること
    年数の影響比較的小さい積み重ねが必要になりやすい
    任されやすさ実務の年数が少なくても任されやすい実務を重ねるほど任されやすくなる

    表に示したとおり、確認の入口側は年数よりも観点の具体性で任せてもらいやすく、判断が必要な奥側は積み重ねが必要になります。この境目を意識しておくと、案件情報を読むときにどこまで任されそうかが見えやすくなります。

    図3:品質が最優先の現場で任される範囲の広がり
    品質が最優先の現場で任される範囲の広がり 入口の確認 基準に沿って進める 基準に沿った判断 当てはめて確認する 基準を作る判断 外れた場合を決める

    図の作成:Remogu編集部。任される範囲の広がり方を整理したもので、統計データではありません

    次の章では、確認の仕組みそのものが整っていない現場に入るときに、何を先に確かめておくとよいかを見ていきます。

    Remoguの案件は、90%以上がフルリモート可能です。任せられる範囲を確かめながら、リモートで実務を積み重ねられる場所を探すこともできます。

    4. 仕組みが整っていない現場に入るとき

    技術情報の収集が個人任せになっている現場がある

    技術情報の収集について、体系的な仕組みを持たず個人に任せている企業が目立ちます4。仕組みが整っていない現場に入ると、必要な情報を自分で探しに行く場面が増えます。

    これは実務の年数に関わらず起こることで、仕組みが無い分、情報を探す動き方そのものが評価の対象になりやすい環境でもあります。

    要件定義と設計はドキュメント中心のまま進む

    要件定義と設計は、いまもドキュメントを中心に進められている現場が中心です6。仕組みが整っていない現場でも、ドキュメントという共通の足場は残っている、と捉えることができます。

    足場が残っているということは、まず読むべきものがあるということでもあります。実務の年数が少なくても、既存のドキュメントを読み込む姿勢があれば、仕組みの薄さを補う材料になります。

    仕組みが整っていない現場を避けるという考え方もありますが、内製化を進める企業の多くがこうした状況にある以上2、避けるより先に、何を確かめれば進めやすいかを知っておく方が現実的です。

    次の章では、年数の差が出にくい領域として、新しい技術を扱う案件を見ていきます。

    5. 新しい技術は年数の差が出にくい

    新しい技術は、そもそも年数を積みようがない

    DevOpsやモデルベース開発は、ベンダー側の企業を除くと導入している企業がまだ少ない状況です5。導入している企業自体が少ない技術は、実務の年数を重ねた人でも触れてきた期間が短く、年数による差がそもそも生まれにくくなります。

    意思決定を担う責任者を置いていない企業は約半数にのぼります10。判断の体制が固まっていない分、新しい技術の扱い方も現場ごとに違い、年数よりも直近の経験の新しさが問われやすくなります。

    「触れたことがあるか」が年数より重い

    新しい技術を扱う案件では、実務の年数の長さよりも、その技術に触れた経験があるかどうかの方が判断の軸になります。導入している企業自体がまだ少ないという状況が5、年数による差を縮めています。

    そのため、新しい技術を扱った経験があるなら、実務の年数がまだ少なくても、その経験をそのまま書ける経験として示せます。逆に、従来の技術だけを長く扱ってきた場合は、新しい技術の案件では年数が強みになりにくくなります。

    観点従来からある技術の案件新しい技術を扱う案件
    年数の意味積み重ねがそのまま強みになりやすい長さより触れた経験の新しさが問われる
    導入している企業幅広い企業が導入済みベンダー側の企業を除くとまだ少ない5
    判断の体制責任者が置かれている場合が多い責任者を置いていない企業が約半数10
    実務の年数が少ない人にとっての意味年数の差を埋めにくい年数の差を埋めやすい

    表のとおり、新しい技術の案件では、年数よりも触れた経験の有無と新しさが判断の軸になります。この軸を理解しておくと、実務の年数がまだ少ないことを、不利な条件とだけ受け止めなくて済みます。

    続く章では、取引条件を書面で確かめる視点について見ていきます。

    6. 年数が浅いときこそ条件を書面で確かめる

    取引条件の明示がされていない事例が実際にある

    取引条件の明示義務に違反した事例への勧告は10件、期日における報酬の支払義務に違反した事例への勧告は9件にのぼります7。実務の年数に関わらず起こり得ることですが、条件を確かめる材料をまだ持っていない立場ほど、書面が無いまま進めることの負担は大きくなります。

    勧告という形で公になっているのは一部であり、条件が曖昧なまま進んでしまう場面は、これ以外にも起きていると考えられます。だからこそ、参画する前に自分から条件を確かめる姿勢が重要になります。

    明示する事項を定めた改正が行われている

    取引条件を明示するときに示さなければならない事項を定める内容の改正が行われています8。何を示せば良いかが定められている以上、参画する前にその事項が書面に含まれているかを確かめることができます。

    確かめる対象は、稼働の期間、報酬の額や支払いの時期、業務の内容といった、条件として明示される事項です。実務の年数がまだ少ない人ほど、この確認を後回しにせず、参画開始の前に済ませておく方が安心につながります。

    図4:受ける前に確かめる順番
    受ける前に確かめる順番 ①案件情報を読む 内容と条件を見る ②範囲を確認する 任される作業を見る ③条件を書面で確認 明示された事項を見る ④不明点を協議する クライアントに確かめる

    図の作成:Remogu編集部。案件を受ける前に確かめる順番を整理したもので、統計データではありません

    図に示した順番のとおり、まず案件情報を読み、次に任せられる範囲を確認し、そのうえで取引条件が書面に示されているかを確かめるという進め方は、実務の年数に関わらず使えます。

    取引条件を確かめる視点を持っておくと、実務の年数に関わらず、参画開始後の行き違いを防ぎやすくなります。次の章では、それでも疑問が残ったときの相談先について見ていきます。

    7. 困ったときに相談先があるという事実

    申出という形で相談できる仕組みがある

    法律に違反する事実があるとして申出がされた件数は604件にのぼります9。これは、取引条件や報酬の支払いに疑問を感じたときに、実際に申出という形で相談されている件数でもあります。

    実務の年数がまだ少ない立場だと、疑問を感じても自分だけの受け止め方かもしれないと考えて、相談を後回しにしやすくなります。しかし申出の件数が示すとおり、条件に疑問を持つこと自体は珍しいことではありません。

    相談先があることを知っておくだけでも進め方が変わる

    ここで書いているのは、相談先が存在するという事実までです。実際の手続きの流れは案件ごと、状況ごとに異なるため、疑問を感じた時点で確かめるという姿勢を持っておくことが実務では役に立ちます。

    取引条件が書面で示されているかを参画前に確かめること、疑問が残る場合は相談できる先があることを知っておくこと。この2つを合わせて持っておくと、実務の年数に関わらず、条件面の不安を早い段階で小さくできます。

    未経験可の案件では実務経験は全く問われませんか

    全く問われないわけではありません。年数そのものよりも、任せられる範囲をどれだけ具体的に説明できるかが見られています。書ける経験を整理しておくことが、実務の年数が少ない状態を補う近道になります。

    新しい技術の案件なら経験が少なくても任されますか

    経験の量そのものではなく、触れたことがあるかどうかが年数より重視される場面が多いということです。導入している企業自体がまだ少ない技術ほど5、この傾向が強くなります。

    取引条件はどのタイミングで確認すればよいですか

    参画開始の前に確認しておくことが基本です。明示するときに示さなければならない事項が定められているため8、その内容が書面に含まれているかを事前に確かめておくと、稼働が始まってからの行き違いを防げます。

    条件に疑問を感じたときはどうすればよいですか

    まず自分の受け止め方だけの問題ではないと考えることが最初の一歩です。実際に申出という形で相談されている件数もあり9、疑問を感じた時点で確かめる姿勢が、実務の年数に関わらず役に立ちます。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」入る余地(2025年4月・2026年8月確認)
    *2 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」内製化の広がり(2025年4月・2026年8月確認)
    *3 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」評価の軸(2025年4月・2026年8月確認)
    *4 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」知識の持ち方(2025年4月・2026年8月確認)
    *5 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」確認の自動化(2025年4月・2026年8月確認)
    *6 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」引き継ぎの材料(2025年4月・2026年8月確認)
    *7 公正取引委員会「令和7年度におけるフリーランス・事業者間取引適正化等法第2章の運用状況」違反の中身(2026年6月・2026年8月確認)
    *8 公正取引委員会「令和7年度におけるフリーランス・事業者間取引適正化等法第2章の運用状況」示す項目(2026年6月・2026年8月確認)
    *9 公正取引委員会「令和7年度におけるフリーランス・事業者間取引適正化等法第2章の運用状況」申出の件数(2026年6月・2026年8月確認)
    *10 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」決める人(2025年4月・2026年8月確認)