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    Power Automateの案件で実績を伝えるには|業務フローと効果検証の考え方を整理

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    夜の机のデスクライトの下で、一列に並んだ無地の白いカードから1枚を列の外へ寄せる手

    📘 この記事でわかること

    • 業務部門の人も作れる道具だからこそ問われる「どの業務をどう変えたか」と、自治体の計画に見る自動化の位置づけ
    • 業務を選んだ理由を定量的な観点で示す考え方と、業務フローを作業単位で描いて自動化の前後を見せる方法
    • Can-Beから段階的に進めた判断の伝え方と、実行前後の指標を添えて効果を示す手順

    Power Automateの案件の相談で「何を作りましたか」と聞かれ、「承認の通知とファイルの転記のフローを30本ほど作りました」と答えると、「その中で、一番業務が変わったものはどれですか」と聞き返されることがあります。本数には自信があっても、ここで答えに詰まる人は少なくありません。Power Automateは業務部門の人も自分でフローを作れる道具なので、「作れます」だけでは実績として見てもらえないのではないか、という不安につながります。Power Automateの実績は、フローの本数ではなく、変えた業務で伝えます。

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    1. Power Automateの経験が実績として伝わりにくい理由

    作れることが前提になる道具

    Power Automateは、業務部門の人も自分でフローを作れる道具です。申請の通知やファイルの転記のような身近な作業を自動にするだけなら、現場で業務を受け持つ人が自分で組む場面もあります。これは書き手の見立てで、統計に基づく話ではありません。

    そのため、案件を出す側から見ると、「作れます」という申告だけでは判断の材料になりにくいのです。他の人にも作れる範囲なのか、経験者だからこそ作れた範囲なのかが、文面からは区別できないからです。

    そこで、外の人に求められる実績は「作れること」より「どの業務をどう変えたか」だと、この記事では見立てます。以降の節は、この見立てを土台にしています。

    本数で伝える形と業務で伝える形

    図1:実績の伝え方の2つの型
    実績の伝え方の2つの型 本数で伝える フローの数 使った機能の名前 どの業務か不明 業務で伝える 選んだ業務 変えた作業 測った結果

    図の作成:Remogu編集部。書き手の見立てを整理したもので、統計データではありません

    フローの本数や使った機能の名前は、作業量の目安にはなります。ただし、相手が知りたい「その業務がどう変わったか」には答えていません。

    一方、選んだ業務、変えた作業、測った結果の3つを並べると、本数が少なくても仕事の中身を想像する材料になります。Power Automateのように作り手が多い道具では、この3つが他の人との違いを示す手がかりになります。

    では、業務の自動化は、公的な計画の中でどう位置づけられているのでしょうか。

    2. 自治体の計画で見る業務の自動化の位置づけ

    国の計画が述べる自動化

    ここで取り上げるのは、民間企業の話ではなく、総務省が2026年1月30日に示した「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」です。自治体の業務についての計画なので、そのまま企業の発注元に当てはめることはできません。

    同計画は、自治体の定型的な業務の効率化について、RPAの利用による自動化を行うことも有効としています1。出典にPower Automateの名前はなく、述べられているのは自治体の定型的な業務の話です。

    また同計画は、国の支援策として、従来進めてきたAI及びRPAの導入が自治体の業務効率化の観点から一定の成果を上げ、当初の目標を達成したとしています1。そのうえで、2025年12月策定の「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック」を自治体に周知するとしています1。

    計画に書かれている3つの記述

    計画の記述は、定型的な業務の効率化ではRPAによる自動化も有効とし、国の支援策ではAI及びRPAの導入が当初の目標を達成したとし、続いてAI活用・導入ガイドブックの周知を挙げる形です1。いずれも自治体の計画の記述で、民間企業のPower Automateの活用や効果を述べたものではありません。目標の中身も、ここでは扱いません。

    項目計画の記述対象
    定型的な業務の効率化RPAの利用による自動化も有効1自治体の定型的な業務
    AI及びRPAの導入一定の成果を上げ、当初の目標を達成1国の支援策
    国の支援策=ガイドブックの周知「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック」(2025年12月策定)を周知1国から自治体へ

    この記述を読むと、自動化は入れることより、どの業務に効いたかが問われる段階にあると、書き手は見立てます。計画がそう述べているわけではなく、書き手の解釈です。次の節では、手引きの考え方を借りて、業務の選び方を整理します。

    3. 業務を選んだ理由を数字で言えるようにする

    オフィスの机で、散らばった黄色と水色の無地の付箋の中から1枚を指で押さえる手

    手引きが示す業務の選び方

    ここから先で使う資料は、石川県の「石川県BPR推進ハンドブック」(2026年3月)です。業務の見直しを進めるための手引きで、Power Automateやエンジニアの実績の書き方を述べたものではありません。

    手引きは、改善したい業務が思い浮かばない場合の選び方として、困っている事象から業務を絞り込み、定量的な観点でボトルネックを特定する方法を有効としています2。これは選び方の1つとして示されたもので、唯一の方法ではありません。

    図2:業務を選んで着手するまでの流れ
    業務を選んで着手するまでの流れ 困っている事象 業務を絞り込む 定量的な観点で ボトルネック特定 着手

    出典:石川県「石川県BPR推進ハンドブック」(2026年3月)をもとに作成

    実績の説明に当てはめると

    この考え方を実績の説明に当てはめると、「なぜその業務を自動化したか」を件数や時間で言えると、相手に伝わりやすくなると書き手は見立てます。たとえば、通知が月にどれだけ発生していた業務か、転記に1回どれくらいかかっていた作業か、といった形です。

    ただし、手引きが述べているのは自治体の業務の選び方で、フリーランスの実績の書き方ではありません。数字で言えない事情がある場合の書き方は、よくある質問で扱います。

    では、選んだ業務の中身は、どんな形で見せるのがよいのでしょうか。

    4. 業務フローを作業単位で描いておく

    業務フローを描く粒度

    手引きは、業務フローを作るとき、業務プロセスの中で「誰が」「何を」「どのように」実施しているかを把握するよう求めています2。そのうえで、記述する粒度は「作業単位」とするよう示しています2。

    理由として挙げているのは、粗すぎると課題が特定できず、細かすぎると全体像が見えにくい点です2。フローの組み方の話ではなく、業務をどの細かさで描くかの話です。

    3つの粒度と記載例

    手引きの記載例では、会議関連事務が業務単位、開催通知作成・会場準備・当日進行が作業単位、書類を印刷するが動作単位に当たります2。業務単位では課題が特定できず、動作単位では全体像が見えにくいため、手引きは作業単位を示しています。表の例は、手引きの記載例をそのまま写したものです。

    粒度手引きの記載例向き不向き
    業務単位会議関連事務粗すぎると課題が特定できない
    作業単位開催通知作成、会場準備、当日進行記述する粒度として示されている
    動作単位書類を印刷する細かすぎると全体像が見えにくい

    実績の説明に添える1枚

    この粒度を実績の説明に借りると、自動化の前後の業務フローを作業単位で1枚添える形が考えられます。作業単位で描いてあれば、相手はどの作業がなくなり、どの作業が残ったかを見られると、書き手は見立てます。

    たとえば、「承認依頼の作成」「通知の送信」「転記」のように、人が行っていた作業を1つずつ並べます。これも書き手の例で、手引きの記載例ではありません。

    ただし、前後の業務フローを描くと、自動にしなかった作業も目に入ります。その扱いをどう説明するかが、次の節です。

    5. 一度に全部を自動化しなかった判断も実績になる

    手引きが示す実現可能な姿

    手引きは、理想(To-Be)ではなく実現可能な姿(Can-Be)を目指すことで、短期から中長期で成果を出しやすく、さらなる改善へ段階的に進められるとしています2。手引きの用語で、現状をAs-Is、理想をTo-Be、その間にある実現可能な姿をCan-Beと呼びます。

    Can-Beの例示として、手引きは電子申請とRPAを挙げています2。ただし、挙げられているのは実現可能な姿の例で、手引きがRPAを勧めているわけではありません。

    図3:改善を進める3つの段階
    改善を進める3つの段階 最初に目指すのはCan-Be As-Is 現状 Can-Be 実現可能な姿 To-Be 理想 段階的に進む

    出典:石川県「石川県BPR推進ハンドブック」(2026年3月)をもとに作成

    手作業のまま残した判断の伝え方

    この考え方を実績の説明に借りると、一部の作業を手作業のまま残した判断も、理由を添えれば説明の材料になると書き手は見立てます。手引きが述べているのは自治体の業務の見直しで、フリーランスの実績の書き方ではありません。

    たとえば、例外が多くて人の判断が要る承認は残し、定型の通知と転記だけを自動にした、といった形です。これは書き手の例で、手引きの記載ではありません。

    そのため、自動にした範囲だけでなく、自動にしなかった作業とその理由も並べると、業務をどう見て範囲を決めたかが相手に伝わると見立てます。一度に全部を自動にした話より、順序を選んだ話のほうが、判断の材料になるからです。

    作る前に何をそろえておくかは、GASの業務自動化案件で作る前にそろえるものを扱った記事で整理しています。

    自動にした範囲を決めたら、次はその効果をどう測って示すかです。

    6. 効果は実行前と実行後で測る

    夕方の机で、砂の残りが違う2つの木枠の砂時計と、右の砂時計に添えた手

    手引きが求める事前の検証と継続的な確認

    手引きは、改善策の実行にあたって、期待される効果や投資対効果などを事前に検証しておくことを重要としています2。あわせて、実行前後の各フェーズで改善効果を継続的に確認する必要があるとしています2。

    続いて手引きは、効果検証の検証項目を事前に整理することも重要としています2。目的や測定可能性を踏まえて改善効果を算出する、という流れです2。

    測る時点と指標の例

    手引きが挙げる指標の例は、実行前が業務時間の削減量、実行後が利用者満足度などです2。あくまで例示で、決まった指標ではありません。そのため、表には手引きの例だけを並べ、削減率のような数値は載せていません。

    時点指標の例手引きの記述
    事前の整理検証項目を整理する2目的や測定可能性を踏まえて改善効果を算出2
    実行前業務時間の削減量2期待される効果や投資対効果などを事前に検証2
    実行後利用者満足度など2実行前後の各フェーズで改善効果を継続的に確認2

    実績の説明に添える測定

    実績を説明するときも、測った時点と指標を添えると、効果を測れる形で話せると書き手は見立てます。たとえば、導入前の転記にかかっていた時間と、導入後に利用者へ聞いた使い勝手を分けて書く形です。これも書き手の例です。

    ただし、数値の大きさを競う必要はありません。測っていなければ測っていないと書き、代わりに何を見て効果を判断したかを書くほうが、相手には正直に伝わります。

    では、これらの材料を案件の相談でどの順に話せばよいのでしょうか。

    7. 案件の相談で実績を伝える形

    話す順番

    材料は4つあります。選んだ業務とその理由、作業単位の業務フロー、自動にした範囲と残した作業、実行前後の指標です。それぞれ、手引きが示す業務の選び方2、フローの粒度2、Can-Be2、効果の確認2の考え方を借りたもので、並べ方は書き手の見立てです。

    図4:実績を話す順番
    実績を話す順番 最初に業務、最後に指標 選んだ業務 と理由 作業単位の 業務フロー 自動化した範囲 と残した作業 実行前後の 指標

    図の作成:Remogu編集部。書き手の見立てを整理したもので、統計データではありません

    この順にすると、冒頭の聞き返しにも答えやすくなります。「一番業務が変わったものはどれですか」と聞かれたとき、選んだ業務とその理由から話し始められるからです。

    Power Automateの範囲の分け方

    Power Automateには、クラウドで通知・承認・転記を流す使い方と、画面操作を自動にする使い方があります。どちらの経験かを分けて書くと、相手が範囲をつかみやすくなります。これは一般論です。

    参画後に任される範囲の見分け方は、RPA案件で作る仕事と動かし続ける仕事の範囲を扱った記事にまとめています。RPAの経験者がこの先の進路を考えるときは、RPA経験者の次の一手を扱った記事も手がかりになります。

    冒頭の聞き返しに戻る

    冒頭の場面に戻ります。30本のフローを作った経験は、本数のままでは伝わりにくいものでした。選んだ業務、変えた作業、測った結果に並べ直すと、同じ経験が相手の聞きたい答えに変わります。

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    「一番業務が変わったものはどれですか」という聞き返しには、こう答えられます。Power Automateの実績は、フローの本数ではなく、変えた業務で伝えます。

    8. よくある質問

    Power Automate Desktopの経験だけでも案件の相談はできますか

    相談できると書き手は見立てます。画面操作の自動化の経験として、対象にした業務と測った結果を添えて伝えます。クラウドの通知や承認の経験がなくても、業務を選んだ理由と作業の前後を作業単位で示せば、範囲は伝わります。

    社内の業務なので数字を出せません。どう書けばよいですか

    秘密保持の範囲で、割合や時点だけを書く方法があると書き手は見立てます。数値そのものを出せないときは、指標の種類だけを書く形でもかまいません。たとえば「転記にかかっていた時間を、導入の前後で測った」と書けば、何を見て効果を判断したかは伝わります。

    Power Automateの案件はリモートで受けられますか

    Remoguでは案件の90%以上がフルリモート可能です。ただし、Power Automateの案件を含め、リモートで参画できるかは案件によって異なります。条件は案件ごとに確かめます。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 総務省「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」(2026年1月30日・2026年10月確認)
    *2 石川県「石川県BPR推進ハンドブック」(2026年3月・2026年10月確認)