札幌のフリーランスは冬の停電にどう備える?道外のリモート案件を止めない準備と相談先
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- 北海道の計画が冬の交通障害や通信の途絶をどう整理しているかと、それを一人で受ける仕事に置き換えた見方
- BCPの考え方を一人の事業に借りる流れと、北海道の中小企業向け支援を使えるか確かめる先
- 止まった日の連絡を取引先と先に決める手順と、2月から3月に来る確定申告を前倒しする準備
1月の朝、窓の外は吹雪で向かいの建物が見えず、東京の取引先から「今日の定例、いつもどおりオンラインでお願いします」とチャットが届きました。返事を打ちながら、いま電気か回線が止まったら誰にどの手段で知らせるのかを、一度も話していないことに気づきます。札幌で道外の案件を業務委託で受けるフリーランスが気にかかるのは、仕事の難しさより、止まった日の信頼ではないでしょうか。札幌で受ける仕事は、止まった日の連絡まで決めておくと続きます。
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1. 道外の案件で止まる原因は札幌の冬にある
仕事の中身は場所を問わずに受けられる
成果物の形、納期、定例の時間は、チャットとビデオ会議があれば、東京の取引先とも札幌の自宅からでも同じように取り決められます。コードを書く場所が札幌でも、取引先が見ているのは納品物と連絡の確かさです。仕事そのものは、場所を理由に断られる性質のものではありません。
ただし、取り決めた内容を守れるかどうかは、仕事の外側の条件にも左右されます。外側とは、作業する部屋の電気、回線、そして外へ出るための道です。契約書にも要件定義書にも載らないので、気づかないまま参画が始まる場合があります。
止まる原因は仕事の外から来る
札幌の冬に起こり得る出来事として、この記事では吹雪、停電、回線の途絶を考えます。どれも作業する人の腕前とは関係なく、ある日突然、手元の環境を止めます。どの出来事が、どの程度の長さで起きるかは、前もって決められません。
一方、取引先は札幌の天気を見ていません。連絡が途切れた理由が伝わらないと、取引先は待つか、別の手段で探すかを自分で決めるしかなくなります。止まったこと自体より、止まった理由と再開の見込みが伝わらないことが、信頼を揺らします。
そこで、取り決めの中身を二つの側に分けて考えます。左側の成果物・納期・定例は、打ち合わせの議題に上ります。右側の吹雪・停電・回線を、取引先と話し合った記憶はあるでしょうか。
図の作成:Remogu編集部。書き手の見立てを整理したもので、統計データではありません
右側の三つが本当に起こり得るのかを、次の節で北海道の資料から確かめます。
2. 北海道の冬は交通と通信が途切れる前提で考える
計画が整理している冬の状況
北海道強靱化計画(2025年3月)は、積雪寒冷地域である北海道では、大雪や雪崩、吹雪により交通障害や家屋の倒壊、人的被害が頻繁に発生していると整理しています1。道全体についての現状認識であり、札幌だけを取り上げた記述ではありません。
一人で受ける仕事に置き換えると、交通障害は、外にある作業場所へ移れない日があることを意味します。自宅で作業する人にとっては影響が小さく見えますが、回線の点検や機器の調達で外へ出る場面が重なると、話は変わります。ここは書き手の見立てであり、計画が個人の働き方に触れているわけではありません。
起きてはならない事態としての通信の途絶
同じ計画は、起きてはならない事態(リスクシナリオ)の一つに、通信インフラの障害等による情報収集・伝達の不備・途絶を挙げています1。これは道が地域全体について置いた想定です。実際に通信が途絶えた件数や時間を示したものではなく、個人の連絡手段の話でもありません。
とはいえ、この想定を一人で受ける仕事に引き寄せて読むと、連絡が届かない時間ができる場面を考える手がかりになります。道が情報の伝達の途絶を避けたい事態として扱っているのですから、取引先との連絡の途絶も、前もって手を打てる項目として扱えます。
停電を踏まえた道の施策
計画は、電力の安定供給に向けた施策の中で、北海道胆振東部地震に伴う大規模停電を踏まえて、国や電気事業者等との連携を強めるとしています1。これは道の施策です。家庭や事業者に備えを求めた文ではなく、停電の戸数や期間も、この資料の範囲では扱いません。
電源が無い間は、作業も連絡も止まります。これも書き手の見立てです。だからこそ、停電の長さを予想するより、止まったときに何をするかを先に決めておく方が、取引先にも自分にも負担が軽くなります。
計画の記述と一人で受ける仕事への置き換え
下の表は、道の計画が書いている内容を左に、一人で受ける仕事に置き換えた場合の見方を右に並べています。左の列は計画の記述そのままで、右の列は書き手の見立てです。道が個人の働き方について述べているわけではないので、左と右を混ぜて読まないでください。
| 道の計画の記述 | 一人で受ける仕事に置き換えると(見立て) |
|---|---|
| 大雪・雪崩・吹雪による交通障害 | 外の作業場所へ移れない日がある |
| 通信インフラの障害等による情報収集・伝達の不備・途絶 | 取引先への連絡が届かない時間ができる |
| 北海道胆振東部地震に伴う大規模停電 | 電源が無い間は、作業も連絡も止まる |
三つとも、起きる時期や長さは事前に決められません。そのため次の節では、起きたときの備えを考える枠組みとして、事業継続計画(BCP)の考え方を借ります。
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3. 一人の事業にもBCPの考え方を借りる

北海道が作っているBCP策定の手引き
北海道は、道内の中小・小規模企業向けに、北海道特有の自然災害等の発生を想定したBCP(事業継続計画)策定の手引きを作成しています2。北海道経済部のページに、2026年3月25日の日付があります。
手引きの対象は、道内の中小・小規模企業です。業務委託を一人で受けるフリーランスが対象に入るかどうかは、この資料からは分かりません。そのため、ここでは手引きの中身をなぞるのではなく、BCPの考え方だけを借りる位置づけで話を進めます。
止まる場面から再開までの四つの手順
一人の事業に当てはめると、考える順番は四つになります。この順番は書き手の見立てであり、手引きの章立てではありません。まず、止まる場面を具体的に書き出します。吹雪で外へ出られない日、停電で電源が落ちる日、回線だけが途切れる日では、使える手段が異なります。
次に、連絡の代わりを決めます。いつもの連絡手段が使えないときに、どの手段で誰へ知らせるかを、取引先と一緒に決めておく形です。続いて、作業の代わりを考えます。電源や回線が戻るまでに進められる作業と、進められない作業を分け、納期の扱いは取引先と協議します。
最後に、再開の目安を取引先へ伝えます。見込みが立った時点で早めに知らせれば、取引先は待つ間の段取りを組めます。四つの手順を並べると、次の図のとおりです。
図の作成:Remogu編集部。書き手の見立てを整理したもので、統計データではありません
では、この考え方を使える支援は、北海道に用意されているのでしょうか。
4. 相談先は北海道の中小企業向けBCP支援
道が行っている支援の中身
北海道は中小企業のBCP策定の促進に向けて、作成の手順や事例の周知のほか、BCP策定に向けて専門家が支援する取り組みや、セミナーの開催などを行っています3。北海道経済部のページに、2026年6月4日の日付があります。
書かれている取り組みは、作成の手順の周知、事例の周知、専門家による支援、セミナーの開催の四つです。いずれも中小企業を対象にした取り組みとして書かれています。電話番号やセミナーの日付は、時期によって変わるため、ここには書きません。
個人で受ける人が使えるかの確かめ方
ページに書かれている対象は中小企業です。個人で業務委託を受けるフリーランスが専門家による支援を受けられるかどうかは、このページからは分かりません。使えるかどうかは、道の窓口に確かめるのが近道です。
下の表は、四つの取り組みと、窓口で確かめたい点を並べています。真ん中の列はページの記述、右の列は書き手の見立てです。窓口へ尋ねるときは、個人で業務委託を受けていることを最初に伝えると、話が早く進みます。
| 道の取り組み | 中身 | 確かめること |
|---|---|---|
| 作成手順の周知 | BCPを作る手順の周知3 | 個人で受けるフリーランスが対象になるか |
| 事例の周知 | BCPの事例の周知 | 個人の働き方に近い事例があるか |
| 専門家による支援 | BCP策定に向けて専門家が支援する取り組み | 個人も対象になるか、申し込みの条件 |
| セミナーの開催 | BCPに関するセミナーの開催 | 開催の時期と、参加できる人 |
窓口で対象外と言われたとしても、取引先との取り決めは自分の側から始められます。次の節では、その取り決めの中身を決めます。
5. 取引先と先に決めておく止まった日の連絡
契約の前と参画の初めに話すこと
止まった日の連絡は、止まってから考えると遅れます。吹雪の朝に電気が落ちた時点では、取引先の連絡先を探す余裕も、どの手段なら届くかを試す余裕も残っていません。契約の前か、参画が始まった初めの時期に、平常時の打ち合わせの一部として話しておくのが現実的です。
話す内容は三つに絞れます。止まった日に誰へ連絡するか、いつもの連絡手段が使えないときの代わりの手段は何か、納期の扱いをどう協議するかです。納期については、遅れたら何日延びるといった数字を先に決める必要はなく、止まった日に取引先と話し合う前提を共有しておけば足ります。
この三つは、書き手の見立てです。決まった型があるわけではなく、取引先の体制や案件の性質によって、連絡先の数も手段の数も変わります。大切なのは、取引先が札幌の冬を知らなくても、止まった日に何が起きるかを先に聞いている状態をつくることです。
連絡が途切れたときの手段の順番
手段は、使える順に並べておくと迷いません。最初に試すのは、いつもの連絡手段です。それが届かないときは、スマートフォンの回線に切り替えます。自宅の回線だけが止まった場合には、スマートフォンの回線が残っている可能性があるためです。
それでも届かなければ、電話で知らせます。ただし、スマートフォンの回線が使えるかどうかは、停電の長さや通信の状況によって変わります。この順番は断定できる手順ではなく、取引先と一緒に決めておく候補です。最後に、再開の見込みが立った時点で、見込みを取引先へ伝えます。
図の作成:Remogu編集部。書き手の見立てを整理したもので、統計データではありません
連絡の取り決めが済んだら、次は札幌の冬の真ん中に来る、もう一つの用事を見ておきます。
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6. 確定申告は2月から3月、札幌の冬のさなかに来る

来場せずに申告している人は約9割
国税庁は、令和7年分の確定申告の案内で、すでに約9割の人が確定申告会場に来場せずに申告していると説明し、自宅からのe-Taxの利用を呼びかけています4。これは全国の申告者についての国税庁の説明です。札幌の数でも、フリーランスだけの数でもありません。
令和8年分の申告期間は、令和9年(2027年)2月16日から3月15日までです4。札幌では雪が深い時期にあたります。会場へ向かう道が吹雪で通れない日と、申告の締め切りが近い日が重なる場面は、冬の札幌で働く人なら思い描けるはずです。ここは書き手の見立てです。
休日の相談と閉庁日対応の署
国税庁は、令和8年分の確定申告から、確定申告会場での休日の相談対応を実施しない予定としています4。予定の段階の案内で、全国共通の話です。一方で、一部の休日に電話相談を実施する予定もあるため、休日に相談の手段がなくなるという意味ではありません。
参考として、令和8年3月1日の日曜日に閉庁日対応を行った税務署に、札幌北・札幌南・札幌西・札幌東が挙げられています4。令和7年分の申告期の実績であり、札幌市内の全税務署を示すものではありません。令和8年分以降の取り扱いとは、時点が異なります。
下の表は、この節で触れた四つの項目を、時点が混ざらないように並べています。令和7年分の申告期の実績と、令和8年分以降の予定は、行ごとに分けて読んでください。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 令和8年分の申告期間 | 令和9年2月16日から3月15日まで4 |
| 確定申告会場での休日の相談対応 | 令和8年分から実施しない予定4 |
| 会場に来場せずに申告している人(国税庁の案内・全国) | 約9割4 |
| 3月1日(日)に閉庁日対応をした署(令和7年分の申告期の実績) | 札幌北・札幌南・札幌西・札幌東4 |
雪の日に会場へ行かずに済ませる準備
吹雪の日に会場へ行かずに済ませたいなら、e-Taxで出せる状態を、冬が深くなる前に整えておくのが近道です。これは書き手の見立てです。会場に来場せずに申告している人が約9割という説明は、自宅から申告する方法が広く使われていることを示しています。
具体的な手順は、スマートフォンで確定申告を済ませる方法の記事で順に説明しています。この記事で押さえておきたいのは、申告の準備を前倒しすると、停電や吹雪の日と締め切りが重なる事態を避けやすい、という一点です。
では、ここまでの話を、札幌で受け続けるための順番にまとめるとどうなるでしょうか。
7. 札幌で受け続けるための準備の順番
四つの準備を並べる
準備は四つに分けられます。冬に止まる場面を書き出すこと、取引先と連絡の取り決めをすること、電源と回線の代わりを用意すること、確定申告を前倒しすることです。この順番は書き手の見立てであり、道の資料が示した手順ではありません。
最初に止まる場面を書き出すのは、備える対象を決めるためです。吹雪、停電、回線の途絶のうち、自分の作業にいちばん響くのはどれかを見分けると、続く三つの準備の重みが決まります。書き出しは、紙一枚で足ります。
次の取引先との取り決めは、前の節の三つの内容がそのまま使えます。電源と回線の代わりは、取り決めた連絡手段が実際に使えるかどうかに関わります。たとえばスマートフォンの回線で連絡を取る前提なら、停電の間も端末が使える状態を保てるかが問われます。最後の確定申告の前倒しは、2月から3月の締め切りと冬の天候が重なる事態を避ける準備です。
図の作成:Remogu編集部。書き手の見立てを整理したもので、統計データではありません
止まった日の連絡まで決めておく
冒頭の朝に戻ります。吹雪の窓の外を見ながら、取引先への返事を打つ手が止まったのは、止まった日の連絡を決めていなかったからでした。決めてあれば、同じ朝でも、電気が落ちた時点でやることは一つに定まっています。札幌で受ける仕事は、止まった日の連絡まで決めておくと続きます。
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8. よくある質問
札幌に住んでいると道外の案件で不利になりますか
住んでいる場所だけで決まる話ではなく、選ばれる条件は取引先の体制によって変わります。条件の見方は、地方在住でフルリモート案件を受けるときの条件の記事で整理しています。止まった日の連絡を先に決めておく姿勢は、取引先に伝わりやすい、というのが書き手の見立てです。
停電で納期に遅れそうなとき、どう伝えればよいですか
事前に決めた連絡手段で、早めに再開の見込みを伝えます。遅れそうだと分かった時点で知らせれば、取引先は待つ間の段取りを組めます。納期の扱いは、止まった日にクライアントと協議して決めます。これは書き手の見立てで、契約の内容によって変わります。
札幌で確定申告の相談をするときはどこに行けばよいですか
一般には、住所地の税務署が相談先になります。国税庁は、令和8年分の確定申告から、確定申告会場での休日の相談対応を実施しない予定としています4。休日に会場へ行く前提ではなく、平日や電話での相談、自宅からのe-Taxを組み合わせて考えると、吹雪の日と重なっても慌てずに済みます。
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札幌から道外の仕事を受け続ける準備は、冬に止まった日の連絡の取り決めから始まります。札幌に住んだまま受けられるリモート案件から探してみてください。
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※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 北海道「北海道強靱化計画」(2025年3月1日・2026年10月確認)
*2 北海道「北海道版 BCP策定の手引き」(2026年3月25日・2026年10月確認)
*3 北海道「BCPを点検・策定しよう!」(2026年6月4日・2026年10月確認)
*4 国税庁「確定申告の相談等を行う税務署」(2026年3月1日・2026年10月確認)