個人事業主のIT導入補助金は名称が変わった?2026年のインボイス枠で会計ソフトとPCを入れる条件
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- IT導入補助金が「デジタル化・AI導入補助金」に名称が変わったことと、個人事業主が対象の定義に含まれていること
- IT導入支援事業者と共同で申請する仕組みと、インボイス枠でソフトウェアとPCに設けられた補助率・補助額の上限
- 交付決定の前に契約や発注をすると補助対象にならないことと、買う前に確かめる順番、導入後の報告と証憑の扱い
インボイス対応の会計ソフトとPCの入れ替えを決め、購入ボタンに指を乗せた瞬間のことです。IT導入補助金という名前が頭に浮かび、手が止まりました。個人事業主でも使えるのか、先に買ってしまったら対象外になるのか。買う前に、交付決定を受けてから契約する順番を確かめます。
▶ あわせて読みたい
・個人事業主のGビズIDはどれを取る?プライムの取得方法と有効期間2年3か月の注意点
・インボイスの登録は案件にどう関わるのか|確かめる期限と注意点を解説
・フリーランスエンジニアに償却資産の申告は必要?パソコンが対象になる条件と免税点150万円
1. 個人事業主がIT導入補助金を確かめる理由
検索する名前と制度名のずれ
IT導入補助金は、会計ソフトや受発注のツールを入れる費用を支える制度として知られてきました。中小企業庁によると、令和7年度補正予算事業から、この補助金は「デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)」に名称が変わっています1。旧名で探していた場合は、いまの制度名で調べ直すところから始まります。
もう一つ確かめたいのは、自分が対象に入るかどうかです。中小企業庁の公募要領によると、交付申請の対象となる中小企業・小規模事業者等の定義には、会社とあわせて個人事業主が含まれています2。個人で案件を受けているエンジニアも、定義の上では対象の側にいます。
買う前に順番を確かめる理由
ただし、対象に入ることと、すでに買ったものが補助されることは別の話です。公募要領は、交付決定前にITツールを契約、発注した場合は補助対象とならないと定めています2。会計ソフトやPCは、購入ボタンを押した時点で順番が決まってしまいます。
Remogu(株式会社LASSIC運営)は、リモートワーク案件特化のエンジニアマッチングで、案件の90%以上がフルリモート可能です3。リモートで案件を受ける個人事業主にとって、会計ソフトやPCは手元の仕事道具です。その入れ替えを補助金の対象にできるかどうかは、買う前の順番で決まります。
次は、新しい制度名と対象を、公募要領の言葉で整理します。
2. 2026年の名称と対象
デジタル化・AI導入補助金という新しい名前
中小企業庁は2026年3月に、デジタル化・AI導入補助金2026の公募要領を公開しています1。名称は「デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)」で、旧名の括弧書きが付いたまま案内されています。
出典:中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金2026の公募要領を公開」(2026年3月)をもとに作成
インボイス枠の目的と対象の事業者
この記事で扱うのは、インボイス枠(インボイス対応類型)です。公募要領によると、インボイス制度への対応を推進するため、通常枠よりも補助率を引き上げて優先的に支援することを目的としています2。会計ソフトの入れ替えをインボイス対応のために考えている場合は、この枠が出発点になります。
対象の事業者については、前の節で触れたとおり、定義に個人事業主が含まれています2。個人事業主だからという理由だけで入口が閉じているわけではなく、確かめる中身はツールの条件や手続きの順番に移ります。
では、申請は自分一人で進められるのでしょうか。次の節で、申請の組み方を見ます。
リモートで参画できる案件を見てみる →
3. 申請はIT導入支援事業者と共同で行う
共同事業体として事務局に申請する
中小企業庁の公募要領によると、IT導入支援事業者と中小企業・小規模事業者等が共同事業体となり、事務局に対して各種申請を行います2。個人事業主が単独で事務局に出す形ではなく、IT導入支援事業者と一緒に申請する形です。
図の作成:Remogu編集部。中小企業庁の公募要領(2026年9月)をもとに整理したもので、統計データではありません
交付申請に必要なGビズID
もう一つ、申請の前に整えておく手続きがあります。中小企業庁によると、デジタル化・AI導入補助金の交付申請には「GビズID」の取得が必要です1。ツールを選ぶ前に取りかかっておくと、順番の組み立てが楽になります。
次は、いくらまで補助されるのか、インボイス枠の補助率と上限を見ます。
4. インボイス枠の補助率と上限
経費の種類ごとの補助率と補助額
インボイス対応類型では、ソフトウェア購入費・導入関連費と、ハードウェア購入費のうちPC・タブレット等とで、補助率と補助額が分かれています。ソフトウェア購入費・導入関連費は、補助率が2/3以内から4/5以内、補助額は350万円までです2。PC・タブレット等は、補助率が1/2以内、補助額は10万円までです2。
| 経費の種類 | 補助率 | 補助額 |
|---|---|---|
| ソフトウェア購入費・導入関連費 | 2/3以内から4/5以内 | 350万円まで |
| ハードウェア購入費のうちPC・タブレット等 | 1/2以内 | 10万円まで |
補助率に幅があるソフトウェア側と、上限が10万円にとどまるPC側とでは、補助の厚みが違います。会計ソフトの入れ替えが中心で、PCは付け足しの位置づけになる、と見ておくと金額の見通しを立てやすくなります。
対象になるツールの機能とクラウド利用料
補助の対象になるITツールにも条件があります。公募要領によると、インボイス対応類型のITツールは、会計・受発注・決済のうち1機能以上を有することが機能要件です2。会計ソフトを入れるつもりなら、この要件を満たすツールかどうかを、IT導入支援事業者と一緒に確かめます。
クラウド型のソフトウェアを選ぶ場合は、費用の数え方も押さえておきます。公募要領によると、クラウド利用費はクラウド利用料最大2年分が補助対象経費となります2。月額で払い続けるタイプでも、補助の対象になるのは最大2年分までです。
PCについては、ここで触れたのは補助額と補助率だけです。PCだけを対象に申請できるかどうかは、この記事では断定せず、ソフトウェアの導入とあわせて考える前提で話を進めます。
補助額の次に気になるのは、いつ契約するかという時期の問題です。次の節で、冒頭の手が止まった理由に戻ります。
5. 交付決定の前に契約しない
契約と発注の時期
購入ボタンの前で手が止まった理由は、この順番にあります。公募要領は、交付決定前にITツールを契約、発注した場合は補助対象とならないと定めています2。申請を出したあとでも、交付決定が出る前であれば、同じ扱いです。
図の作成:Remogu編集部。中小企業庁の公募要領(2026年9月)をもとに整理したもので、統計データではありません
会計ソフトの利用申し込みも、PCの注文も、契約・発注の側に入ります。購入ボタンを押す日は、交付決定のあとにずらします。冒頭で迷った場面でいえば、押すのを待つ時間が、補助の対象に残るための手順の一つです。
対象にならないITツール
時期の条件に加えて、買い方の条件もあります。公募要領によると、中古品、リース・レンタル契約のITツール、交付決定前に購入したITツールは補助対象外です2。
たとえば、中古のPCを安く探す場合や、月額のリースでPCを借りる場合は、この対象外にあたります。すでに先に購入した会計ソフトも、交付決定前に購入したITツールとして対象外です。
補助を使うなら、買う時期は交付決定のあとで、買い方は中古でもリースでもレンタルでもない形に絞られます。契約と導入が済んでも、手続きは終わりません。次の節で、導入後の報告と証憑の保管を確かめます。
登録して自分に合う条件を知る →
6. 導入後の報告と証憑の保管
導入から報告までの期間
中小企業庁の公募要領によると、補助事業の実施と実績報告の期間は、交付決定日から6か月間程度です2。契約や導入だけでなく、実績報告までを含めた期間です。交付決定のあとは、契約、導入、支払い、報告が続くため、順番を先に頭に入れておくと動きやすくなります。
「程度」と書かれているので、個別の期限は事務局の案内で確かめます。ここで押さえたいのは、報告の期間が交付決定日から数えて動く点です。
請求書と支払いの証憑
報告のときに問われるのは、買ったという事実を示す資料です。公募要領によると、請求書や支払いが完了したことが分かる証憑を適切に保管・管理し、事業の実績報告時に提出します2。
会計ソフトの利用料でもPCの購入代金でも、請求書と支払いの証憑は、実績報告で出す側の資料になります。受け取った請求書を処分せず、支払いが済んだことの分かる資料とあわせて残しておきます。
場面ごとの資料の扱い
導入後に押さえる内容は、期間と資料の二つに分かれます。期間は交付決定日から6か月間程度で、実施と実績報告の両方が入ります。資料は請求書と支払い完了の証憑で、どちらも保管・管理したうえで、実績報告のときに出します。
| 場面 | 資料の扱い |
|---|---|
| 実施と実績報告の期間 | 交付決定日から6か月間程度 |
| 請求書 | 適切に保管・管理し、実績報告時に提出 |
| 支払いが完了したことが分かる証憑 | 適切に保管・管理し、実績報告時に提出 |
導入の前後で確かめる内容が出そろいました。次の節では、買う前にたどる順番を一本にまとめます。
7. 買う前に確かめる順番
順番ごとの確認事項
動く順に並べ直すと、確かめる順番は四つです。GビズIDを用意し、IT導入支援事業者とツールを確かめ、交付申請をして、交付決定のあとで契約・購入します。各順番で何を確かめるかと、資料での記載を対応させました。
| 順番 | 確かめること | 資料での記載 |
|---|---|---|
| 1 | GビズIDを用意する | 交付申請にGビズIDの取得が必要 |
| 2 | IT導入支援事業者とツールを確かめる | 共同事業体として申請/会計・受発注・決済のうち1機能以上が機能要件 |
| 3 | 交付申請をする | 事務局に対して各種申請を行う |
| 4 | 交付決定のあとで契約・購入する | 交付決定前の契約、発注は補助対象外 |
それぞれの順番で確かめること
最初のGビズIDは、デジタル化・AI導入補助金の交付申請に取得が必要だからです1。申請の入口に立つための準備なので、ツールを選ぶ前に済ませておきます。
二番目は、申請の組み方に関わります。申請はIT導入支援事業者と共同事業体になって行うので2、支援事業者を決めるのが先です。ツールについては、インボイス対応類型のITツールが、会計・受発注・決済のうち1機能以上を有する機能要件を満たすかを、支援事業者と一緒に確かめます2。
図の作成:Remogu編集部。中小企業庁の公募要領(2026年9月)をもとに整理したもので、統計データではありません
三番目の交付申請は、共同事業体として事務局に出す手続きです。そして四番目が、冒頭の購入ボタンです。交付決定前にITツールを契約、発注した場合は補助対象とならないため2、押すのは交付決定のあとにします。
四番目のあとにも、期間の枠があります。実施と実績報告は、交付決定日から6か月間程度のうちに進めます2。契約、導入、支払い、報告の段取りを、買う前に組んでおくと慌てずに済みます。
購入ボタンの前で
購入ボタンに指を乗せて手が止まったのは、順番を確かめるよい機会でした。買う前に、交付決定を受けてから契約する順番を確かめます。
会計ソフトやPCは、リモートで案件を受ける人にとって手元の仕事道具です。Remoguに登録すると、リモートで参画できる案件の条件を見ながら、次の仕事に合う道具を考えられます。まず登録して、自分の経験に合う条件を確かめてみてください。
8. よくある質問
個人事業主でもIT導入補助金は使えますか
交付申請の対象となる中小企業・小規模事業者等の定義には、会社とあわせて個人事業主が含まれています2。名称は、令和7年度補正予算事業から「デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)」に変わっています1。個別の要件は、公募要領で確かめます。
PCだけを補助の対象にできますか
ハードウェア購入費のうちPC・タブレット等は、補助額が10万円まで、補助率が1/2以内です2。PCだけで申請できるかどうかは、この記事で見た資料の範囲では確かめられません。ソフトウェアの導入とあわせて考える前提で、IT導入支援事業者に尋ねます。
先に買った会計ソフトは対象になりますか
交付決定前に購入したITツールは、補助対象外です2。契約や発注の時期についても、交付決定前であれば補助対象とならないと定められています2。先に買った会計ソフトは対象になりません。
リモートワーク案件をお探しの方へ
Remoguは、株式会社LASSICが運営するITエンジニア・デザイナー専門のリモートワーク案件紹介サービスです。フルリモート・ハイブリッドの案件から、スキルに合うものを探せます。
道具の準備が整ったら、その環境で参画できる案件の条件も確かめてみてください。リモートの案件から探せます。
会員登録無料 / 案件閲覧・相談は無料
※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金2026の公募要領を公開」(2026年3月・2026年10月確認)
*2 中小企業庁「インボイス対応類型」(2026年9月・2026年10月確認)
*3 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能