個人事業主のプライバシーポリシーに書くこと|利用目的と住所の扱いを個人情報保護法から解説
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- 個人事業主でも個人情報取扱事業者に当たる条件と、集める人数が少なくても対象から外れない点
- 利用目的を通知または公表する場面と、入力フォームでは取得の前に明示する場面の違い
- 本人の知り得る状態に置く事項と、住所を求めに応じて回答する形も含まれる点
ポートフォリオサイトに問い合わせフォームを付けた夜、検索で見つけたプライバシーポリシーの雛形を開きました。「所在地」の欄で、手が止まりました。自宅の住所を、公開のページに書いてよいのかが分かりません。プライバシーポリシーは、雛形を埋める前に、集める情報と使い道を自分の言葉で決めてから書きます。
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1. プライバシーポリシーを確かめる理由
問い合わせフォームは、名前やメールアドレスを受け取る入口です。受け取った情報の使い道は、受け取る側が決めて、相手に伝える立場に立ちます。この記事の土台は、個人情報保護委員会が出している個人情報保護法のガイドライン(通則編)の記述です1。
ガイドラインによると、個人であっても、個人情報データベース等を事業の用に供している場合は個人情報取扱事業者に該当します1。該当すると、取得した個人情報の利用目的を、本人に通知するか公表しなければなりません1。
一方で、「プライバシーポリシー」という名前の文書を置くよう求める記述は、この記事で使う資料の要点には出てきません。資料の言葉は「公表」と「本人の知り得る状態」です。プライバシーポリシーのページは、その状態をつくる手段の一つとして書きます。
では、個人の事業者は、どの条件で個人情報取扱事業者に当たるのでしょうか。
2. 個人でも個人情報取扱事業者になる
事業の用に供しているかどうか
会社かどうか、法人登記があるかどうかは、判断の入口ではありません。ガイドラインが見るのは、個人情報データベース等を事業の用に供しているかどうかです1。個人事業主もこの条件に当てはまれば、個人情報取扱事業者です。
ただし、自分のサイトで集める情報が個人情報データベース等に当たるかどうかは、ガイドラインにある定義で確かめます。問い合わせフォームを置いたというだけで当てはまると決めずに、定義と照らす手順を一度入れておくと、あとの判断がぶれません。
図の作成:Remogu編集部。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)の記述を整理したもので、統計データではありません
集める人数が少ない場合
「問い合わせは月に数件だから、対象外だろう」と考える人もいるでしょう。ただし、ガイドラインは、個人情報データベース等を事業の用に供している者であれば、識別される特定の個人の数の多寡にかかわらず、個人情報取扱事業者に該当するとしています1。
人数の少なさは、対象から外れる理由になりません。数ではなく、事業の用に供しているかどうかで分かれる点を、次の節の前に押さえておけば十分です。
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3. 利用目的の公表と通知
取得したあとに求められる対応
個人情報取扱事業者は、個人情報を取得した場合、利用目的を速やかに本人へ通知するか、公表しなければなりません1。通知は本人に向けた連絡、公表は誰でも見られる状態にすることで、どちらかを選びます。
サイトに利用目的を載せておく形は、この「公表」の側に当たります。プライバシーポリシーのページが使われる理由も、ここにあります。
例外になる条件
この義務には除かれる場合があります。あらかじめ利用目的を公表しているときです1。取得してから通知や公表に慌てるより、先に利用目的をサイトに載せておくほうが、手順としては単純です。
タイミングごとの対応
利用目的への対応は、情報をいつ・どう取得するかで分かれます。次の表は、取得後の通知または公表、公表済みの場合、入力画面から直接取得する場合の三つを並べたものです。入力画面での明示は、次の節で詳しく見ます。
| タイミング | やること |
|---|---|
| 取得したあと(利用目的を公表していない場合) | 速やかに、利用目的を本人に通知するか公表します1 |
| あらかじめ利用目的を公表している場合 | 上の通知または公表の義務から除かれます1 |
| 入力画面への打ち込みで、直接本人から取得する場合 | あらかじめ、利用目的を本人に明示します1 |
表の三行目は、通知や公表とは別の義務として書かれています。では、入力フォームで集めるときは、どの時点で何を見せるのでしょうか。
4. 入力フォームで集めるときの明示
入力画面から直接取得する場合
ユーザー入力画面への打ち込みなど、電磁的記録で直接本人から個人情報を取得する場合、あらかじめ本人に利用目的を明示しなければなりません1。問い合わせフォームや会員登録の画面は、この場面に当たります。
ポイントは「あらかじめ」です。入力してもらったあとに見せる形ではありません。プライバシーポリシーのページを別に用意していても、入力画面の時点で本人が利用目的を知れる状態になっているかを、自分の目で確かめます。
図の作成:Remogu編集部。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)の記述を整理したもので、統計データではありません
通知・公表との使い分け
通知または公表は、取得したあとの対応でした1。入力画面での明示は、取得の前に求められる別の対応です1。サイトにプライバシーポリシーを載せるだけでは、入力画面の明示まで満たしたと言い切れません。
次は、本人の知り得る状態に置く事項を見ていきます。
5. 公表する事項
本人の知り得る状態に置く事項
保有個人データについては、事業者の氏名又は名称及び住所、全ての保有個人データの利用目的、開示等の請求に応じる手続、安全管理のために講じた措置などを、本人の知り得る状態に置かなければなりません1。プライバシーポリシーのページは、この状態をつくる手段として使われる文書です。
政令では、本人の知り得る状態に置く事項として、保有個人データの取扱いに関する苦情の申出先も定められています1。連絡先を一つ決める作業は、問い合わせフォームを置く日に一緒に済ませておくと、あとから窓口が曖昧なまま残りません。
自分のサイトで集めた情報が保有個人データに当たるかどうかは、ガイドラインにある定義で確かめます。この確認より先に項目を埋め始めると、当てはまらない事項まで書いたり、反対に、必要な事項が抜けたりします。
事項ごとの書き方を決める
表2では、五つの事項を左の列に並べ、右の列に書き方の例を添えています。左の列はガイドラインと政令の記述で、右の列は本記事の整理です。ガイドラインが書き方の文面まで定めているわけではありません。
| 事項 | 書き方の例(本記事の整理) |
|---|---|
| 事業者の氏名又は名称及び住所1 | 屋号や氏名と、住所の示し方(次の節で扱います) |
| 全ての保有個人データの利用目的1 | 問い合わせへの返信、見積りの連絡など、自分が実際に使う目的を一つずつ書きます |
| 開示等の請求に応じる手続1 | 請求の受け付け先と、受け付ける方法を書きます |
| 安全管理のために講じた措置1 | 自分が実際に行っている保管やアクセスの管理を、実態のとおりに書きます |
| 保有個人データの取扱いに関する苦情の申出先1 | 問い合わせ窓口と同じ連絡先にする場合は、その旨が分かるように書きます |
右の列に共通するのは、自分が実際に行っている運用を、そのまま文章にする点です。行っていない管理の措置を並べると、読む人に実際とは違う印象を与えます。書く前に、自分の運用を一度書き出しておくと、文面が実態から離れません。
次の節では、五つの事項のうち住所の扱いを見ます。
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6. 住所の扱い
二つの示し方
事業者の住所は、前の節の表のとおり、本人の知り得る状態に置く事項の一つです1。ガイドラインは、この本人の知り得る状態には、本人の求めに応じて遅滞なく回答する場合を含むとしています1。
示し方は、ページに常時載せておく形と、求めに応じて遅滞なく回答する形の二つに分けて考えられます。二つの形を左右に並べたのが図3です。
図の作成:Remogu編集部。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)の記述を整理したもので、統計データではありません
言い切らずに決める
どちらの形を自分のサイトで取るかは、ガイドラインの本文と自分の状況を照らして決めます。この記事は、住所を載せなくてよいとは言い切りません。資料から言えるのは、求めに応じて遅滞なく回答する場合が、本人の知り得る状態に含まれるところまでです1。
求めに応じて回答する形を選ぶなら、問い合わせを受ける連絡先と、返信を誰がいつまでに出すのかを、先に決めておく必要があります。窓口が決まっていないと、「遅滞なく」を自分の運用の中で守る手立てがありません。
自宅を事務所にしている場合、住所の示し方は、この二つの形のどちらを取るかと切り離せません。フォームから届く問い合わせと、住所についての問い合わせを、同じ窓口で受けるか分けるかも、一緒に決めておきます。
次は、各節の内容を、書く順番に並べ直します。
7. プライバシーポリシーを書く順番
欄の順番と、決める順番
雛形の欄を上から順に埋めていくと、自分の中でまだ決まっていない事項の前で手が止まります。欄の並びと、自分が決める順番は、別のものです。
図4は、書き始める前に決める四つを、縦に並べています。上から順に、集める情報と使い道、フォームへの明示、公表する事項、住所の示し方と窓口です。
図の作成:Remogu編集部。書く順番は本記事の整理で、ガイドラインが定めた手順ではありません
集める情報と使い道の棚卸し
最初の作業は、自分のサイトとやり取りの中で、個人に関する情報を受け取る入口を書き出すことです。問い合わせフォーム、会員登録の画面、メールでの見積り依頼、請求書の送付先など、入口ごとに、受け取る項目を一行ずつ並べます。
項目の横には、使い道を一つずつ書きます。「問い合わせへの返信」「見積りの連絡」のように、自分がその情報を実際に使う場面を書きます。使い道が書けない項目は、そもそも集める必要があるのかを見直す候補です。
フォームへの明示と、公表事項の並べ方
次に、入力画面で集める項目について、利用目的を見せる位置を決めます。入力画面から直接取得する場合は、あらかじめ本人に利用目的を明示しなければなりません1。入力欄の上など、入力を始める前に目に入る位置を選び、棚卸しの使い道を短い文にして置きます。
公表する事項は、表2の五つを上から並べます。順番は、読む人が知りたい順に寄せると追いやすくなります。誰が集めているか(氏名と住所)、何に使うか(利用目的)、どう請求するか、どう守っているか、困ったとき誰に伝えるか(苦情の申出先)の順です。
住所の示し方、窓口、見直しの時期
最後に、住所の示し方と窓口を決めます。住所は、常時載せるか、求めに応じて遅滞なく回答する形にするかを選びます1。苦情の申出先は、連絡先を一つ決めて書きます1。
見直しの時期も、書く時点で決めておきます。目安は二つで、集める項目や使い道を増やしたときと、フォームを作り替えたときです。それとは別に、半年に一度など自分で決めた時期に、棚卸しの表とページを見比べます。
表3は、四つの手順と見直しについて、決める中身と置く場所を並べています。
| 手順 | 決める中身 | 置く場所 |
|---|---|---|
| 1. 集める情報と使い道を決める | 入口ごとの項目と、項目ごとの使い道 | 手元の棚卸しの表(公開しません) |
| 2. フォームに明示する | 利用目的の短い文と、見せる位置1 | 入力画面 |
| 3. 公表する事項を並べる | 表2の五つの事項1 | プライバシーポリシーのページ |
| 4. 住所の示し方と窓口を決める | 常時載せるか、求めに応じて遅滞なく回答するか1 | ページ、または問い合わせの窓口 |
| 見直し | 項目や使い道を増やしたとき、フォームを作り替えたとき | 棚卸しの表とページ |
最初の夜に手が止まった「所在地」の欄は、住所の問題である前に、集める情報と使い道がまだ決まっていない合図でした。
棚卸しの表とページが整ったら、空いた時間はリモートで参画できる案件を探すほうへ回せます。Remoguには、リモートワーク案件に特化した一覧があります。
雛形は、項目の並べ方を知る見本として使えます。ただし、中身を決めるのは自分です。プライバシーポリシーは、雛形を埋める前に、集める情報と使い道を自分の言葉で決めてから書きます。
8. よくある質問
個人のポートフォリオサイトでも必要ですか
個人であっても、個人情報データベース等を事業の用に供している場合は、個人情報取扱事業者に該当します1。サイトの規模ではなく、ガイドラインの条件に照らして確かめます。該当する場合は、利用目的を通知または公表する対応が求められます1。
自宅住所を載せずに済みますか
事業者の住所は、本人の知り得る状態に置く事項の一つです1。その状態には、求めに応じて遅滞なく回答する場合も含まれます1。この記事は、載せなくてよいとは言い切りません。回答する形を考えるときは、窓口と回答する担当を先に決めたうえで、ガイドラインの本文で自分の場合を確かめます。
雛形を使ってもよいですか
雛形は、項目の並べ方を知る見本になります。ただし、利用目的、安全管理の措置、窓口は、自分の運用に合わせて書き直します。使わない目的や、行っていない措置が残っていないかを、棚卸しの表と見比べて確かめます。
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出典・参考情報
*1 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」(2026年6月・2026年10月確認)
*2 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能