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    個人事業主の優良な電子帳簿とは?75万円控除の3つの要件と届出書の期限を解説

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    タブレットに帳簿のグラフ画面が映り、隣に領収書を整理したクリアファイルが置かれた写真です。帳簿を電子で付ける場面を表しています。

    📘 この記事でわかること

    • 令和9年分から書面申告の控除上限が10万円になることと、65万円・75万円に進むために要る条件の違い
    • 優良な電子帳簿の3つの要件と、仕訳帳・総勘定元帳を課税期間の最初から保存するという条件
    • 届出書を出す期限と提出が要らない場合、会計ソフトをJIIMA認証情報リストで確かめる順番

    年の瀬、会計ソフトの更新案内に「優良な電子帳簿」「75万円」の文字が並んでいました。個人事業主のエンジニアが75万円の青色申告特別控除を受けるには、令和9年分の確定申告から、65万円の要件に加えて、優良な電子帳簿の保存またはデジタルシームレス保存の要件を満たす必要があります1。来年の帳簿を、いつ、何から変えればよいのでしょうか。来年の帳簿は、1月1日から要件を満たして始められるかを先に確かめます。この記事は、そのための順番を国税庁の案内に沿って並べました。

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    1. 個人事業主が優良な電子帳簿を確かめる理由

    令和9年分から変わる申告の前提

    変わるのは、75万円の段が加わることだけではありません。令和8年分の確定申告までは書面申告でも55万円の控除が可能でしたが、令和9年分以降は、書面申告の場合の控除の上限が10万円になります1。会計ソフトで帳簿をつけ、e-Taxで申告している人にとっても、どの段に立っているかを一度確かめておく価値があります。

    そのうえで、帳簿そのものにも条件があります。優良な電子帳簿の保存では、その年分の事業に係る仕訳帳と総勘定元帳について、課税期間の最初から要件を満たして電子データで備付けと保存を行います1。申告の直前に整えるものではなく、帳簿を始める時点で決まる条件です。

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    Remogu(株式会社LASSIC運営)は、リモートワーク案件特化のエンジニアマッチングで、案件の90%以上がフルリモート可能です2。会計ソフトとe-Taxで帳簿から申告までを済ませている場合に、画面の前で何を確かめるかを、この記事は国税庁の案内だけで組み立てています。

    では、控除の段はどう分かれているのでしょうか。

    2. 令和9年分から変わる控除の段階

    書面・e-Tax・優良な電子帳簿の3つの段

    最初の段は書面申告です。令和9年分以降は、書面で申告した場合の控除の上限が10万円になります1。次の段は65万円で、正規の簿記の原則により記帳し、e-Taxで確定申告書と決算書(貸借対照表を含む)のデータを確定申告期限までに送信することが要件です1。

    いちばん上の段が75万円です。令和9年分の確定申告から、65万円の要件に加えて、優良な電子帳簿の保存またはデジタルシームレス保存の要件を満たす人が、最高75万円の控除を受けられます1。65万円の要件が土台になるので、e-Taxで期限までに送信できていることが、75万円へ進む前の条件です。

    図1:令和9年分以降の控除の上限額
    令和9年分以降の控除の上限額 上の段ほど条件が増える 10万円 書面申告 65万円 e-Taxで送信 75万円 優良な電子帳簿 令和9年分以降の段

    出典:国税庁「75万円の青色申告特別控除」(令和8年8月)をもとに作成

    現金主義の特例を受けている場合

    ただし、現金主義による所得計算の特例の適用を受けている場合は、65万円と75万円の控除は受けられません。10万円の控除は可能です1。自分がこの特例を受けているかどうかは、段を見比べる前に確かめておく項目です。

    次は、75万円の段で問われる優良な電子帳簿の中身です。

    3. 優良な電子帳簿の3つの要件

    要件ごとの中身

    国税庁の案内によると、優良な電子帳簿とは、訂正・削除・追加等の履歴が残ること、帳簿間で相互関連性があること、取引等の日付・金額・相手方に関する検索機能があること、という3つの要件を全て満たした電子帳簿をいいます1。表1では、3つの要件を中身とあわせて並べました。要件の数は3つで、どれか1つを選ぶ形ではありません。

    要件中身
    履歴が残ること訂正・削除・追加等の履歴が残ります
    相互関連性があること帳簿間で相互関連性があります
    検索機能があること取引等の日付・金額・相手方に関する検索機能があります

    対象になる帳簿

    この要件を満たして保存する対象は、その年分の事業に係る仕訳帳と総勘定元帳です1。使っている会計ソフトが3つの要件を満たしているかどうかは、資料では会計ソフトを探す際の確かめ先が案内されています。その確かめ方は、第6節で順に見ていきます。

    要件の次に問われるのは、いつから満たしている必要があるかです。

    4. 課税期間の最初から保存する

    資料が書く「最初から」

    国税庁の資料は、仕訳帳と総勘定元帳を課税期間の最初から優良な電子帳簿の要件を満たして保存すると書いています1。個人事業主の場合、年分は1月1日から12月31日です。つまり、要件を満たした帳簿で記帳を始める日は、その年の1月1日になります。

    図2:1年分の帳簿と保存の開始点
    1年分の帳簿と保存の開始点 条件は最初の日から 1月1日 12月31日 仕訳帳と総勘定元帳を電子データで保存 要件を満たす 1年分の帳簿

    図の作成:Remogu編集部。国税庁の案内を整理したもので、統計データではありません

    年の途中に始めた帳簿との関係

    資料が書いているのは、課税期間の最初から要件を満たして保存するという条件です1。年の途中から切り替えた帳簿が、その年分の条件に当たるかどうかについては、この資料には書かれていません。切り替えを考えている場合は、所轄の税務署に確かめます。

    帳簿を始める日が決まれば、次に残るのは届出書の期限です。

    5. 届出書の期限と提出が要らない場合

    届出書を出す期限

    優良な電子帳簿の保存による場合は、届出書を、適用を受ける年分の確定申告期限までに所轄の税務署へ提出する必要があります1。帳簿を要件どおりに整えることと、届出書を出すことは、別々の手続きです。帳簿の記帳は年の初めから、届出書は確定申告期限までと、期限の置かれた場所が違います。

    図3:届出書の提出期限の位置
    届出書の提出期限の位置 届出の終点は確定申告期限 確定申告期限 年分の帳簿 確定申告 届出書の提出(所轄の税務署)

    図の作成:Remogu編集部。国税庁の案内を整理したもので、統計データではありません

    この期限は、還付申告の場合も同じです。還付申告の場合も確定申告期限までに提出が必要だと、資料は書いています1。申告の種類によって期限が移るわけではないので、手元の予定には確定申告期限を1つだけ置いておけば足ります。

    提出が要らない場合と名称の変更

    一方で、届出書を出さなくてよい人もいます。既に優良な電子帳簿の保存による65万円の控除を受けている人は、改めて届出書を提出する必要はありません1。条件は、優良な電子帳簿の保存による65万円を受けていることです。e-Taxで送信して65万円の控除を受けている人が、この条件に当たるとは資料に書かれていないので、混同しないようにします。

    もう1つ、届出書の名称に変更の予定があります。令和9年3月頃に、届出書の名称を「65万」から「75万」に変更する予定です1。提出の方法や書き方の細目は、この資料には書かれていません。窓口やe-Taxでの出し方は、所轄の税務署に確かめます。

    次は、75万円へ進むもう1つの入口を見ます。

    6. デジタルシームレス保存と会計ソフトの確かめ方

    デジタルシームレス保存の基準

    75万円の要件は、優良な電子帳簿の保存か、デジタルシームレス保存のどちらかを満たすことです1。デジタルシームレス保存の基準に適合するシステムとは、デジタル庁が管理する仕様に従ったデジタルインボイス、または預貯金口座における決済データのいずれかの電子取引データを、要件に従って保存できるシステムをいいます1。

    保存の対象は、デジタルインボイスか、預貯金口座の決済データです。使っている会計ソフトが、このどちらかを保存できるシステムに当たるかどうかが問われます。どのソフトが当たるのかは、この資料には書かれていません。

    方法ごとの保存データと確かめ先

    表2では、2つの方法を、保存するデータと確かめる先で並べました。優良な電子帳簿の保存では、仕訳帳と総勘定元帳が保存の対象で、法的要件を満たした会計ソフトを探す際はJIIMA認証情報リストを確認するよう、資料が案内しています1。デジタルシームレス保存の確かめ先は、資料に書かれていません。

    方法保存するデータ確かめる先
    優良な電子帳簿の保存仕訳帳と総勘定元帳JIIMA認証情報リスト
    デジタルシームレス保存デジタルインボイス、または預貯金口座の決済データこの資料には書かれていません。所轄の税務署に確かめます

    ソフトの選び方をめぐっては、製品の名前を挙げたくなる場面もあります。ただし、この記事は国税庁の案内だけで組み立てているため、特定の製品には触れません。確かめる先として使うのは、JIIMA認証情報リストです。

    では、これまでの確認を、どの順番で進めればよいのでしょうか。

    7. 来年の帳簿を始める前に確かめる順番

    4つの確認と、資料の根拠

    確かめる項目は4つです。1つ目は、e-Taxで送信できるかどうか。65万円の要件が、正規の簿記の原則による記帳と、e-Taxでの確定申告期限までの送信だからです1。2つ目は、会計ソフトがJIIMA認証情報リストにあるかどうかで、これは法的要件を満たした会計ソフトを探す際の資料の案内です1。

    3つ目は、1月1日から要件どおりに記帳を始めること。仕訳帳と総勘定元帳は、課税期間の最初から要件を満たして保存します1。そのため、2つ目の会計ソフトの確認を、記帳を始める前に済ませておく順番になります。4つ目は、確定申告期限までに届出書を出すことです1。

    順番確かめること資料に書かれていること
    1e-Taxで送信できるか確定申告書と決算書(貸借対照表を含む)のデータを、確定申告期限までに送信します1
    2会計ソフトがJIIMA認証情報リストにあるか法的要件を満たした会計ソフトを探す際に確認します1
    31月1日から要件どおりに記帳を始める仕訳帳と総勘定元帳を、課税期間の最初から要件を満たして保存します1
    4確定申告期限までに届出書を出す所轄の税務署へ提出します。既に優良な電子帳簿の保存による65万円を受けている人は提出不要です1
    図4:来年の帳簿を始める前の確認の流れ
    来年の帳簿を始める前の確認の流れ 最後は届出書の提出 1 e-Taxの送信 65万円の土台 2 会計ソフトの認証 JIIMA認証情報リスト 3 記帳の開始 1月1日から 4 届出書の提出 確定申告期限まで

    図の作成:Remogu編集部。国税庁の案内を整理したもので、統計データではありません

    1月1日に向けた最初の一歩

    4つのうち、年が明けてからでは動かせないのは、3つ目の記帳の開始日です。資料が書く条件は、課税期間の最初から要件を満たして保存することだからです1。年の瀬の今、更新案内を開いたなら、会計ソフトの確認から始めるのが近道です。

    帳簿の足場が決まったら、次は仕事の側です。Remogu(株式会社LASSIC運営)に登録して、リモートで参画できる案件の条件を見てみると、来年の稼働の計画と帳簿の始め方を、同じ机の上で考えられます。来年の帳簿は、1月1日から要件を満たして始められるかを先に確かめます。

    8. よくある質問

    書面で申告すると控除はいくらになりますか

    令和9年分以降は、書面申告の場合の控除の上限が10万円です。令和8年分の確定申告までは、書面申告でも55万円の控除が可能でした1。

    65万円の届出をしていれば75万円の届出も要りますか

    既に優良な電子帳簿の保存による65万円の控除を受けている人は、改めて届出書を提出する必要はありません1。当てはまるのは、優良な電子帳簿の保存による65万円を受けている人です。それ以外の場合の扱いは、この資料には書かれていないので、所轄の税務署に確かめます。

    年の途中から優良な電子帳簿にしてもよいですか

    資料が書いているのは、仕訳帳と総勘定元帳を課税期間の最初から優良な電子帳簿の要件を満たして保存する、という条件です1。年の途中からの切り替えをどう扱うかは、この資料には書かれていません。切り替えを考えている場合は、所轄の税務署に確かめます。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 国税庁「優良な電子帳簿」(2026年8月・2026年10月確認)
    *2 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能